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清算結了登記の必要書類と手続き|申請期限・記載例・登記後の届出を解説

清算結了登記の必要書類と申請期限を、会社法929条・507条と法務局の公式記載例に沿って整理します。決算報告書・株主総会議事録・株主リストの書き方、登録免許税、登記後の税務届出とよくある不備までを一括で解説します。

会社の清算手続きの最終段階が「清算結了登記」です。清算が終わった事実を登記して公示し、登記簿が閉鎖されます。

解散登記や清算人選任登記に比べれば手続き自体は簡素ですが、書類の不備や期限の徒過で補正を求められることは珍しくありません。決算報告書の記載事項が会社法施行規則150条の要件を満たしていない、株主リストの添付を忘れている、といったものが代表的です。

この記事では、必要書類と申請期限を条文の根拠つきで整理し、法務局が公開している公式の記載例に沿って、決算報告書と株主総会議事録の書き方まで踏み込みます。登記後の届出も含めて、最後のステップを自力で進められる状態を目指します。

清算結了登記とは

清算結了登記は、清算事務(資産の処分・債務の弁済・残余財産の分配)がすべて完了したことを公示する登記です。清算人が決算報告を作成し、株主総会の承認を得たうえで法務局に申請します。

会社法507条は、この流れを3段階で定めています。1項で清算人が決算報告を作成し、2項で清算人会設置会社なら清算人会の承認を受け、3項で株主総会の承認を受ける、という構成です。

同条4項には、株主総会の承認があったときは任務を怠ったことによる清算人の損害賠償責任が免除されたものとみなす、という規定も置かれています(職務の執行に不正があった場合を除く)。決算報告の承認は、一定の場合を除いて清算人の責任が解除されたものとみなされる場面です。

登記が完了すると登記簿は閉鎖されます。閉鎖後も登記事項証明書(閉鎖事項証明書)は法務局で取得できます。

ただし、この登記に法人格を消滅させる創設的な効力があるわけではありません。 清算結了登記は、実体として清算事務が終了した事実を公示するものです。未処理の債務や財産が残っていた場合は、登記後も清算の目的の範囲で法人格が問題になることがあります。

申請できるようになる条件

清算結了登記を申請するには、次の状態になっている必要があります。

  • 解散登記と清算人選任登記が完了していること
  • 債権申出の公告期間が経過していること
  • 債務の弁済が完了し、残余財産の分配が終わっていること(残余財産がない場合は弁済の完了で足ります)

会社法499条1項ただし書は、債権申出の公告について「当該期間は、二箇月を下ることができない」と定めています。この公告期間が制約になるため、実務上は解散の決議から2か月以上を置いてから決算報告の承認を行うことになります。法務局の記載例も、清算人の就任後2か月以内に清算が終了することはないと注記しています。官報公告(債権者保護手続き)を先に済ませておく必要があります。

債務超過の場合は清算結了できない

会社の債務が資産を上回る債務超過の状態では、通常清算を結了することができません。特別清算(会社法510条以下)または破産手続き(破産法)によって処理する必要があります。廃業時の債務整理については特定調停スキーム(廃業支援型)も選択肢になります。

申請期限は「株主総会の承認日から2週間以内」

会社法929条1号は、清算株式会社について「第五百七条第三項の承認の日」から2週間以内に本店所在地で清算結了の登記をしなければならないと定めています。

起算日は清算事務が終わった日でも、残余財産を分配した日でもありません。株主総会が決算報告を承認した日から数えます。 登記すべき事項に書く「令和○年○月○日清算結了」の日付も、この承認日です。

起算日は「株主総会の承認日」解散登記・清算人選任登記債権申出の公告 2か月を下れない(499条1項)株主総会で決算報告を承認(507条3項)← 起算日この日から2週間以内に清算結了登記を申請(929条1号)
清算事務が終わった日でも残余財産を分配した日でもなく、株主総会の承認日から2週間を数える

期限を過ぎても登記申請自体は可能ですが、清算人に対して裁判所から過料が科されるおそれがあります(会社法976条1号)。実務では代表清算人が対象になります。

申請先と申請方法

本店所在地を管轄する法務局(登記所)に申請します。管轄は法務局のウェブサイトで確認できます。

方法は窓口持参、郵送、オンライン(登記・供託オンライン申請システム)の3つです。郵送の場合は書留で送付し、返送用の封筒(切手貼付済み)を同封します。

必要書類は「議事録・株主リスト・委任状」

法務局が公開している株式会社の記載例では、添付書類は次の3点と示されています。

添付書類通数備考
株主総会議事録(決算報告書を含む。)1通決算報告書は議事録に添付する
株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)1通商業登記規則61条2項・3項
委任状1通代理人に申請を委任した場合のみ

決算報告書は独立した添付書類ではありません。 株主総会議事録に添付する形で提出します。「必要書類4点」と説明されることもありますが、公式の記載例に沿うなら、提出一式は登記申請書と収入印紙貼付台紙に上記3点を加えたものです。

登記申請書に書くこと

会社法人等番号、商号とそのフリガナ、本店、登記の事由(「清算結了」)、登記すべき事項、登録免許税額、添付書類を記載します。

登記すべき事項は「登記記録に関する事項」として「令和○年○月○日清算結了」と書きます。この日付が株主総会の承認日です。

登録免許税は1件につき2,000円。収入印紙または領収証書で納付し、収入印紙貼付台紙に貼り付けます。台紙を含めて申請書が複数ページになる場合は、つづり目に契印が必要です。契印には、申請書に押した印鑑(代表清算人が法務局に提出した印鑑、または代理人の印鑑)と同一のものを使います。

代理人が申請する場合は代理人の認印を押し、この場合は代表清算人の押印は不要です。

決算報告書の書き方

最も不備が出やすいのがこの書類です。会社法施行規則150条1項は、決算報告に含めるべき事項を4つ定めています。

#記載事項
1債権の取立て、資産の処分その他の行為によって得た収入の額
2債務の弁済、清算に係る費用の支払その他の行為による費用の額
3残余財産の額(支払税額がある場合には、その税額及び当該税額を控除した後の財産の額)
41株当たりの分配額(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式1株当たりの分配額)

1号と2号は適切な項目に細分して構いません。

見落とされやすいのが同条2項の注記です。 4号の1株当たりの分配額については、次の2つを注記しなければなりません。

  • 残余財産の分配を完了した日
  • 残余財産の全部または一部が金銭以外の財産である場合は、当該財産の種類及び価額

法務局の記載例は、これらを次のような文体で並べる形をとっています。

  • 令和○年○月○日から令和○年○月○日までの期間内に取立て、資産の処分その他の行為によって得た債権の総額は、金○円である
  • 債務の弁済、清算に係る費用の支払その他の行為による費用の額は、金○円である
  • 現在の残余財産の額は、金○円である
  • 令和○年○月○日、清算換価実収額金○円を、次のように株主に分配した
  • 普通株式○株に対し総額 金○円(ただし、1株につき金○円の割合)

末尾に「上記のとおり清算結了したことを報告する。」と記し、日付・商号・代表清算人および清算人の氏名を書きます。

決算報告書は清算期間の損益計算書ではありません。清算事務の結果を、収入・費用・残余財産・分配額の4区分で報告する書類です。

株主総会議事録と株主リスト

株主総会議事録

決算報告を承認した株主総会の議事録です。法務局の記載例では、開催日時と場所、株主の総数、発行済株式の総数(自己株式がある場合はその数)、議決権を行使できる株主の数と議決権の数、出席株主数と議決権数、出席清算人を記載しています。

本文は、代表清算人が議長席につき、清算結了に至るまでの経過を報告し、別紙決算報告書を朗読して承認を求め、満場異議なく承認されたという流れで書きます。末尾に議事録作成者である清算人の氏名を記します。

決算報告書はこの議事録に添付します。

株主リスト

2016年10月の商業登記規則改正で添付が義務付けられた書面です(商業登記規則61条2項・3項)。清算結了登記は株主総会の決議を要する登記なので、3項が適用されます。

議決権割合の高い順に、①10名 ②議決権割合を多い順に加算して3分の2に達するまでの人数、のいずれか少ない人数の株主について、氏名または名称、住所、株式数、議決権数、議決権数の割合を記載します。全株主を書くことも実務上ありますが、それは安全策であって法定の要件ではありません。

株主総会等の別、その年月日、対象となる議案(全議案とすることが多い)も記載します。法務局のウェブサイトに「添付書面として株主リストが必要になる場合について」という解説が用意されています。

手続きの流れ

1

清算事務の完了確認

資産の換価・債務の弁済・残余財産の分配がすべて完了していることを確認します。未済の事項がある場合は清算結了登記を申請できません。

2

決算報告書の作成

会社法施行規則150条1項の4項目と、2項の注記2つを漏れなく記載します。法務局の記載例に沿うのが確実です。

3

株主総会の開催・決算報告の承認

株主総会で決算報告を提出し、承認を受けます(会社法507条3項)。議事録と株主リストを作成します。承認日が期限の起算日です。

4

清算結了登記の申請

承認日から2週間以内に管轄法務局へ申請します。登録免許税2,000円を収入印紙貼付台紙に貼付します。

5

登記完了の確認

登記完了後、閉鎖事項証明書を取得して内容を確認します。この証明書は登記後の各種届出でも使います。

登記後に必要な届出

登記が終わっても手続きは終わりません。届出漏れがあると、法人住民税の均等割が課され続けることがあります。

税務関係の届出

税務署に対して「異動届出書」を提出します。国税庁の案内では、提出時期は「異動等後速やかに」とされており、日数の期限は示されていません。添付書類は原則不要ですが、異動事項の内容確認のため定款等の写しを求められる場合があります。提出先は異動前の納税地の所轄税務署長です。

都道府県税事務所と市区町村にも同様の届出が必要です。この届出を怠ると、実体のない会社に対して法人住民税の均等割が課され続ける事態が生じます。

なお、残余財産が確定した場合は、確定した日の翌日から1か月以内に確定申告を行う必要があります。ただしその1か月以内に残余財産の最後の分配または引渡しが行われる場合は、その行われる日の前日までが期限になります(法人税法74条2項)。清算結了登記の申請と時期が重なるため、税理士と連携して進めるのが確実です。税務処理の詳細は会社清算時の税金と残余財産の分配を参照してください。

社会保険・労働保険の届出

従業員がいた場合は、年金事務所への健康保険・厚生年金保険の適用事業所全喪届、労働基準監督署への労働保険の確定保険料申告書、ハローワークへの雇用保険適用事業所廃止届が必要です。

預金口座の解約

法人名義の預金口座は、清算結了登記の完了後に解約します。金融機関によっては閉鎖事項証明書と清算人の本人確認書類の提示を求められます。残高は清算結了前に残余財産として分配しておくのが原則です。

よくある不備

法務局で補正を求められる主な原因を整理します。

決算報告書の記載事項の不足

最も多い不備です。とくに施行規則150条2項の注記(残余財産の分配を完了した日、金銭以外の財産の種類及び価額)は見落とされやすく、記載例だけを写して条文を確認しないと漏れます。

株主リストの添付漏れ

2016年の改正で追加された要件のため、古い書式を流用すると失念しやすくなります。

公告期間の不足

期間が足りないと、経過を待って再申請することになります。解散登記と清算結了登記を同時に申請することはできません。

登記すべき事項の日付の取り違え

清算事務が終わった日や残余財産を分配した日ではなく、株主総会が決算報告を承認した日を書きます。

この記事のポイント

  • 申請期限は株主総会が決算報告を承認した日から2週間以内(会社法929条1号・507条3項)。起算日は清算事務の完了日ではない
  • 公式の添付書類は「株主総会議事録(決算報告書を含む)」「株主リスト」「委任状(代理人の場合のみ)」の3点。決算報告書は議事録に添付する
  • 決算報告書は会社法施行規則150条1項の4項目に加え、2項の注記2つ(分配を完了した日、金銭以外の財産の種類及び価額)が必要
  • 登録免許税は1件につき2,000円。収入印紙貼付台紙に貼り、複数ページになる場合はつづり目に契印する
  • 登記後の異動届出書の提出時期は、国税庁の案内では「異動等後速やかに」。届出漏れは法人住民税の均等割の課税が続く原因になる
  • 解散から清算結了までの全体の流れは会社清算の手続き、費用は解散登記の費用を参照

個別の事案では、残余財産の内容や株主構成によって書類の書き方が変わります。判断に迷う場合は、司法書士または管轄の法務局にご確認ください。清算に伴う税務は税理士にご相談ください。

清算手続きや廃業の判断について相談をご希望の場合は、無料相談からお問い合わせください。

参考にした公式情報

条文・様式・提出時期は、次の公開情報を直接確認して記載しています。様式は改定されることがあるため、申請前に法務局の最新の記載例をあわせてご確認ください。

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よくある質問

Q. 清算結了登記の申請期限はいつまでですか?
A. 株主総会で決算報告が承認された日から2週間以内です(会社法929条1号、同507条3項)。なお、債権申出の公告期間は2か月を下ることができないため(会社法499条1項ただし書)、実務上は解散の決議から2か月以上を置いてからの承認になります。期限を過ぎると清算人に過料が科されるおそれがあります。
Q. 清算結了登記に必要な書類は何ですか?
A. 法務局の記載例では、添付書類は「株主総会議事録(決算報告書を含む)」「株主リスト」「委任状(代理人に依頼する場合のみ)」です。これに登記申請書と収入印紙貼付台紙を加えたものが提出一式になります。決算報告書は独立した添付書類ではなく、議事録に添付する形をとります。
Q. 清算結了登記の費用はいくらですか?
A. 登録免許税は1件につき2,000円です。収入印紙または領収証書で納付し、収入印紙貼付台紙に貼り付けます。なお令和4年9月1日から支店・従たる事務所の所在地における登記は廃止されているため、支店ごとの登記や登録免許税の加算は生じません。司法書士に依頼する場合は別途報酬がかかります。
Q. 清算結了登記後にやるべきことは何ですか?
A. 税務署への異動届出書の提出、都道府県税事務所・市区町村への届出、社会保険の資格喪失届、預金口座の解約が必要です。税務署への異動届出書の提出時期は、国税庁の案内では「異動等後速やかに」とされています。届出漏れがあると法人住民税の均等割が課され続けることがあります。
Q. 決算報告書には何を記載しますか?
A. 会社法施行規則150条1項の4項目(収入の額、費用の額、残余財産の額、1株当たりの分配額)を記載し、さらに同条2項で1株当たりの分配額について2つの注記(残余財産の分配を完了した日、残余財産が金銭以外の場合はその種類及び価額)が必要です。清算期間中の損益計算書ではなく、清算事務の結果を報告する書類です。

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