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事業再生の相談先7選|無料で使える公的窓口

資金繰りが苦しいが、どこに相談すればいいか分からない方へ。事業再生を無料で相談できる公的機関7つを紹介。中小企業活性化協議会・よろず支援拠点・日本公庫など、状況別の窓口の選び方を解説します。相談料無料の7窓口の特徴比較、状況別の最適な相談先、相談前に整理すべき資料、初回面談で必ず聞かれる内容まで実務目線でまとめました。

経営が悪化し事業再生の必要性を感じたとき、「誰に相談すればよいのか」がわからず、問題を先送りにしてしまう経営者は少なくありません。中小企業庁の調査によると、経営危機に直面した企業のうち、早期に専門家へ相談した企業は再生成功率が高い一方、対応が遅れるほど取りうる手段が限られ、廃業に至る確率が上がるという傾向が報告されています。

事業再生に関する相談窓口は、公的機関だけでも複数存在します。費用面のハードルも低く、中小企業活性化協議会やよろず支援拠点であれば相談料は無料です。本記事では、相談先ごとの特徴と費用、対応可能なフェーズを整理し、自社の状況に合った窓口の選び方を解説します。

相談先の全体像を把握する

事業再生の相談先は、大きく分けて公的支援機関、士業(弁護士・税理士)、政府系金融機関の3つに分類できます。それぞれ得意とする領域や対応できる企業のフェーズが異なるため、自社の状況に合った相談先を選ぶことが重要です。

事業再生の主な相談先比較
相談先費用対応ステージ特徴
中小企業活性化協議会無料経営悪化〜再生局面金融機関との調整に強い。再生計画策定を支援し、リスケや債権放棄の仲介も行う
認定経営革新等支援機関計画策定費の1/3負担(2/3補助)業績悪化〜経営改善税理士・会計士等の専門家が経営改善計画を策定。405事業で費用補助あり
弁護士初回30分5,500円程度(法テラス利用で無料の場合あり)法的整理・訴訟対応民事再生・会社更生の申立て、債権者との法的交渉に対応
税理士顧問契約内または別途相談経営改善〜再生計画策定日常的に財務を把握しているため現状分析がスムーズ。認定支援機関登録者が多い
日本政策金融公庫無料(融資相談)資金繰り悪化〜再建期セーフティネット貸付や企業再建資金など、民間金融機関が対応困難な融資に対応
商工会議所・商工会無料初期相談〜経営不安段階経営課題の整理と適切な専門機関への橋渡し。地域密着型で相談しやすい

どの窓口に相談すべきか迷う場合は、商工会議所や顧問税理士に現状を伝えるところから始めると、状況に応じた適切な相談先を紹介してもらえます。

中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)

中小企業活性化協議会は、中小企業の事業再生を支援するために各都道府県に設置された公的機関です。2022年4月に中小企業再生支援協議会と経営改善支援センターが統合されて発足しました。産業競争力強化法第134条に基づき、中小企業基盤整備機構が運営を委託しています。

相談は無料で、常駐する中小企業診断士、弁護士、公認会計士などの専門家が対応します。相談内容に応じて、経営改善計画策定支援(費用の3分の2を補助)、再生計画策定支援(金融機関との調整を含む)、再チャレンジ支援(廃業後の再起支援)を受けられます。

この機関の強みは、金融機関との調整機能にあります。協議会の活用方法も参照してください。複数の取引銀行から借入がある場合、返済条件の変更(リスケジュール)や債権放棄の交渉を中立的な立場から仲介してくれるため、自社だけでは進まなかった銀行交渉が前進するケースが多く報告されています。

経営改善計画策定支援事業(通称405事業)

認定支援機関が策定する経営改善計画の費用について、3分の2(上限あり)が補助される制度です。中小企業活性化協議会が窓口となっています。自己負担が3分の1で済むため、コスト面のハードルを大幅に下げられます。

協議会への相談が適しているケース

資金繰りが3ヶ月以内に行き詰まる見込みがある場合、複数の金融機関からの借入金の返済条件を変更したい場合は、協議会への直接相談が推奨されます。銀行から「協議会を通じて再生計画を策定してほしい」と求められるケースもあり、金融機関からの信頼も厚い機関です。

認定経営革新等支援機関(認定支援機関)

認定支援機関は、中小企業等経営強化法に基づき国が認定した税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士、金融機関などの専門家です。全国に約3万6,000の認定支援機関が登録されており(2024年時点)、身近な税理士が認定を受けているケースも多くあります。

顧問税理士が認定支援機関に登録されている場合は、そこに相談するのが最もスムーズです。普段から自社の財務状況を把握しているため、現状分析から経営改善計画の策定まで一貫して支援を受けられます。顧問税理士が未登録であっても、中小企業庁の「認定経営革新等支援機関検索システム」から最寄りの認定支援機関を探せます。

認定支援機関の支援を受けて経営改善計画を策定した場合、前述の405事業により計画策定費用の3分の2が補助されます。経営改善計画の策定費用は通常100万〜300万円程度かかりますが、補助を活用すれば30万〜100万円程度の自己負担で済む計算です。

弁護士 ―法的整理が視野に入る場合

弁護士への相談が不可欠になるのは、私的整理では解決が見込めない段階です。

具体的には、債務の返済が完全に不可能な状態にある場合が該当します。取引先や金融機関から訴訟を提起されている場合も、弁護士の関与なしには対応できません。法的整理(民事再生法・会社更生法の適用申請)を検討する段階や、私的整理で債権者間の合意が得られない場合も同様です。

弁護士法72条に関する注意

弁護士でない者が報酬を得て法律事務を取り扱うことは、弁護士法第72条で禁止されています。事業再生に関する法的手続き(民事再生申立て、会社更生申立てなど)は、必ず弁護士に依頼してください。コンサルタントや経営アドバイザーが法的手続きの代理を行うことはできません。

日本弁護士連合会の法律相談センターや各地の弁護士会が、事業再生に関する相談窓口を設けています。初回相談の費用は30分5,500円程度が一般的ですが、法テラス(日本司法支援センター)の収入・資産要件を満たせば無料で相談できます。事業再生に強い弁護士を探す場合は、弁護士会の専門分野別名簿や、事業再生実務家協会(JATP)の会員名簿が参考になります。

税理士 ―日常の財務から再生支援まで

税理士は事業再生の「入り口」として最も身近な専門家です。日常的に月次決算や税務申告を通じて企業の財務状況を把握しているため、経営の異変にいち早く気づける立場にあります。

認定支援機関に登録されている税理士であれば、経営改善計画の策定から405事業の補助金申請まで一貫して対応できます。顧問税理士との関係がすでに構築されている場合、改めて一から財務資料を説明する手間が省ける点も大きなメリットです。

ただし、税理士の専門領域はあくまで税務と会計が中心です。金融機関との債務調整や法的整理の段階になった場合は、弁護士や中小企業活性化協議会との連携が必要になります。税理士に相談したうえで、状況に応じて他の専門機関を紹介してもらうのが現実的な進め方です。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、中小企業の資金調達を支援する政府系金融機関です。経営が悪化している企業向けにも複数の融資制度を設けており、セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)や企業再建資金が代表的です。

融資相談は最寄りの支店で受け付けており、相談自体に費用はかかりません。赤字決算の場合でも、経営改善計画を提出し認定支援機関のサポートがあれば、融資を受けられる可能性があります。民間金融機関が融資に消極的な場面でも、公庫は政策的な観点から柔軟に対応するケースがあるため、選択肢として検討する価値があります。

ただし、追加融資だけでは事業の根本的な再建にはつながりません。債務超過が深刻な場合や、借入の返済原資が見込めない状況では、融資よりも事業構造そのものの見直しが優先されます。公庫への相談と並行して、活性化協議会や認定支援機関への相談も進めるのが望ましい進め方です。資金繰り改善の具体策も参考にしてください。

商工会議所・商工会

商工会議所・商工会は、地域に根ざした経営支援の総合窓口です。経営指導員が常駐しており、資金繰りの不安から人材確保、販路開拓まで幅広い相談に対応しています。相談料は無料で、回数の制限もありません。

事業再生に特化した機関ではありませんが、経営課題の整理と適切な専門機関への橋渡しに強みがあります。「経営が苦しいが、どこに相談すればよいかわからない」という段階では、最寄りの商工会議所に足を運ぶのが現実的な第一歩です。状況に応じて、中小企業活性化協議会や認定支援機関、日本政策金融公庫への紹介を受けられます。

相談の進め方

事業再生の相談は、準備なしに飛び込むよりも、基本的な資料を整えてから臨む方が具体的な話に進みやすくなります。

1

資料の準備

直近3期分の決算書、月次試算表、借入金一覧表(金融機関別の残高・金利・返済額)、[資金繰り表](/glossary/shikin-guri-hyou/)を用意する

2

初回相談の予約

商工会議所や中小企業活性化協議会に連絡し、相談日を確保する。電話やWebから予約できる機関が多い

3

現状の把握と課題の整理

専門家とともに財務状況を分析し、経営悪化の原因と対応すべき課題を明確にする

4

経営改善計画の策定

認定支援機関の支援を受けて、数値目標を含む具体的な改善計画を策定する。405事業の補助活用も検討

5

計画の実行と金融機関との調整

策定した計画に基づき改善施策を実行する。必要に応じてリスケジュールや追加融資の交渉を行う

準備すべき資料

相談時に持参する資料によって、アドバイスの具体性は大きく変わります。最低限、直近3期分の決算書(貸借対照表・損益計算書)と、直近の月次試算表は準備しておきたいところです。

加えて、借入金の一覧表(金融機関名、借入残高、金利、毎月の返済額、返済期限を整理したもの)と、向こう6ヶ月程度の資金繰り表があれば、相談の精度が格段に上がります。資金繰り表の作成が難しい場合は、預金通帳の直近6ヶ月分のコピーでも代用可能です。

相談のタイミング

事業再生は、早く動くほど取りうる選択肢が多くなります。3ヶ月以内に資金ショートの見込みがある場合は緊急度が高いため、中小企業活性化協議会に直接相談してください。赤字が継続しているものの手元資金にまだ余裕がある段階であれば、認定支援機関やよろず支援拠点に相談する時間的猶予があります。

「まだ大丈夫だろう」と判断して相談を先延ばしにした結果、法的整理しか選択肢が残らなかったというケースは実務上珍しくありません。決算書を見て不安を感じた段階で、まず無料の窓口に連絡を取ることが、再生成功の確率を大きく高めます。

まとめ

この記事のポイント

  • 中小企業活性化協議会やよろず支援拠点など、公的機関の相談窓口は無料で利用できる。認定支援機関による計画策定も費用の3分の2が補助される
  • 相談先に迷った場合は、商工会議所や顧問税理士が「入り口」として適している。状況に応じて活性化協議会や弁護士への橋渡しを受けられる
  • 問題の先送りが最大のリスク。直近3期分の決算書と資金繰り表を持参し、早期に専門家へ相談することが再生成功の鍵になる

事業再生の相談先選びで判断に迷う場合は、無料相談窓口からご連絡ください。

よくある質問

Q. 事業再生の相談は無料でできますか?
A. 中小企業活性化協議会やよろず支援拠点など、公的機関への相談は無料です。認定経営革新等支援機関(税理士等)が策定する経営改善計画の費用も、中小企業活性化協議会の事業を通じて3分の2が補助されます。
Q. どの相談先に行けばよいかわかりません。
A. まず最寄りの商工会議所・商工会に相談するのが入り口として適しています。そこから状況に応じて、中小企業活性化協議会や認定支援機関への橋渡しを受けられます。資金繰りが逼迫している場合は、中小企業活性化協議会に直接相談することも可能です。
Q. 弁護士に相談すべきタイミングは?
A. 法的整理(民事再生法や会社更生法の適用)を検討する段階、取引先から訴訟を起こされている場合、債権者との交渉が難航している場合は弁護士への相談が必要です。日本弁護士連合会の法律相談センターでは、事業再生に関する相談を受け付けています。
Q. 経営改善計画の策定費用を抑える方法はありますか?
A. 中小企業活性化協議会の経営改善計画策定支援事業(405事業)を活用すれば、認定支援機関に支払う計画策定費用の3分の2(上限あり)が補助されます。また、協議会への窓口相談は無料、よろず支援拠点での経営相談も無料で利用できます。

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