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払いすぎた税金を取り戻す

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更正の請求とは|やり方・期限・必要書類を税目別に解説【税金還付の手続き】

更正の請求のやり方・提出期限・必要書類を所得税・法人税・消費税の税目別に解説。期限は「法定申告期限から5年」だけでなく、還付申告は提出日から5年、法人の欠損金は10年と場面で変わります。還付加算金の起算日、法人は地方税にもう一度2か月の期限がある点まで条文の根拠つきで整理しました。

確定申告を終えたあとに計算の誤りや控除の漏れに気づいたとき、払いすぎた税金を取り戻す手続きが更正の請求です。やり方そのものは難しくありません。つまずくのは、期限の数え方と、税目ごとに違う様式・提出方法のほうです。

期限は「法定申告期限から5年」と説明されることが多いのですが、それだけでは足りません。還付を受けるためだけに申告した人は起算日が違いますし、法人の繰越欠損金にかかわる請求は10年です。申告期限の延長承認を受けている法人も起算日がずれます。

この記事では、更正の請求のやり方と期限を、所得税・法人税・消費税の税目別に整理します。あわせて、請求しても納税は原則止まらないこと、還付の利息がいつから付くこと、法人は地方税にもう一度2か月の期限があることという、手続きの前後で見落とされやすい3点を条文の根拠つきで説明します。

更正の請求とは何か

税額を減らす方向の手続き

更正の請求は、国税通則法第23条に基づく手続きです。すでに提出した申告書について、次のいずれかにあてはまるとき、税務署長に減額を求めることができます。

  1. 納付すべき税額が過大であるとき(同条第1項第1号)
  2. 純損失等の金額が過少である、または記載しなかったとき(同項第2号)
  3. 還付金の額に相当する税額が過少である、または記載しなかったとき(同項第3号)

「更正」とは税務署が税額を正しく改める処分のことで、更正の請求はそれを納税者の側から求める手続きです。税務署長は請求内容を調査し、更正をするか、更正をすべき理由がない旨を通知します(同条第4項)。請求すれば必ず還付されるわけではなく、審査を通る必要があります。

2番目の「純損失等の金額」は個人だと純損失、法人だと翌期へ繰り越す欠損金額を指します。税金が戻らなくても、繰越欠損金を正しい金額に直すために更正の請求をする場面があるということです。これは後述する期限の10年ルールにも関わります。

訂正申告・修正申告との使い分け

似た手続きが3つあります。気づいたタイミングと、税額が増えるか減るかで決まります。

いつ気づいたか税額の方向手続き
訂正申告申告期限内増える・減るどちらも申告書を出し直す(正式な制度名ではなく実務上の呼び名)
更正の請求申告期限後減る(納めすぎ・還付が少ない・繰越欠損金が少ない)更正請求書を提出し、税務署の審査を受ける
修正申告申告期限後増える(納め足りない)修正申告書を提出し、差額を納付する

申告期限内であれば、増える方向でも減る方向でも申告書を出し直せば済みます。期限後に分かれ道が生じます。どちらを選ぶかで迷う場合は修正申告と更正の請求の違いで判断基準を整理しています。

修正申告をすると不服申立てはできなくなる

修正申告を提出すると、その修正申告そのものに対して不服申立てをすることはできません。税務当局の処分ではなく自分で出した申告だからです。ただし、あとで修正申告に誤りがあると考えられる場合、期限内であれば更正の請求はできます。修正申告書も国税通則法上の納税申告書だからです(同法第19条第3項・第23条第1項)。

国税庁も、調査の場で修正申告を勧奨する際に「修正申告を行った場合には、更正の請求をすることはできますが、不服申立てをすることはできません」と説明することとしています。税務調査の場で修正申告を勧められても、即答する義務はありません。判断に迷う場合は税理士に相談してから決めてください。

期限は「5年」だけでは足りない

更正の請求でいちばん取り返しがつかないのが期限です。5年という数字だけを覚えていると、起算日を間違えて期限を過ぎるか、逆にまだ請求できるのに諦めることになります。

原則は法定申告期限から5年

平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税については、更正の請求ができる期間が5年です。それ以前は1年でした。

所得税なら、2025年分の確定申告の法定申告期限は2026年3月15日です。ただし2026年3月15日は日曜日にあたるため、実際の期限は翌営業日の2026年3月16日になります。更正の請求の期限はそこから5年後の2031年3月16日ですが、この日も日曜日なので、実際に請求できるのは2031年3月17日までです。

還付申告は「提出した日」から5年

確定申告の義務がない人が、還付を受けるために申告した場合の起算日は、法定申告期限ではなく「その申告書を提出した日」です。 国税庁の手続案内に明記されています。

給与所得者が医療費控除やふるさと納税の申告のためだけに提出した申告書は、これにあたります。2026年1月10日に提出したなら、期限は2031年1月10日です。ここを法定申告期限(2026年3月16日)から数えると2031年3月16日まであるように見えてしまい、実際の期限を2か月あまり過ぎてから請求することになります。

申告期限の延長承認を受けている法人は「承認申告期限」から

法人税の法定申告期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。3月決算なら5月31日ですが、2026年5月31日は日曜日のため、その年は6月1日が期限になります。

一方、定款で株主総会の開催時期を定めているなどの理由で申告期限の延長承認を受けている法人は、その承認された申告期限が5年の起算日になります。3月決算で1か月の延長承認を受けていれば、起算日は6月末です。多くの中小企業が延長承認を受けているため、実務ではこちらのケースが珍しくありません。

法人税の繰越欠損金にかかわる請求は10年

国税通則法第23条第1項には、5年の後にかっこ書きがあります。「第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、十年」という部分です。

つまり翌期へ繰り越す欠損金額が過少だった、または記載しなかったという理由での更正の請求は、法人税に限り10年できます。国税庁の手続案内によれば、平成30年4月1日以後に開始した事業年度は10年、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来し平成30年3月31日までに開始した事業年度は9年です。

税務署側の更正の期間制限も、法人税の純損失等については10年とされています(国税通則法第70条第2項)。赤字の申告で欠損金を少なく計上してしまった場合、5年を過ぎていても諦める必要はないということです。

後発的な事情が起きたときは、その日から2か月

5年(または10年)を過ぎていても、あとから前提が覆るできごとがあれば請求できます。国税通則法第23条第2項の後発的事由です。期間はいずれもその事実が生じた日の翌日から起算して2か月と短いので、気づいたらすぐ動く必要があります。

根拠事由
法第23条第2項第1号課税標準等の計算の基礎となった事実について、判決(判決と同一の効力を有する和解等を含む)により異なることが確定した
法第23条第2項第2号自分に帰属するとされていた所得等が他の者に帰属するものとして、その他の者に更正・決定があった
令第6条第1項第1号計算の基礎となった事実に含まれていた行為の効力にかかる官公署の許可その他の処分が取り消された
令第6条第1項第2号計算の基礎となった事実にかかる契約が、解除権の行使や成立後のやむを得ない事情によって解除され、または取り消された
令第6条第1項第3号帳簿書類の押収その他やむを得ない事情で計算できなかった場合に、その事情が消滅した
令第6条第1項第4号租税条約の権限のある当局間の協議で、申告内容と異なる合意が行われた
令第6条第1項第5号国税庁長官の法令解釈が裁決・判決に伴って変更され、変更後の解釈が公表された

「税法が改正されたから」は後発的事由にあたらない

国税通則法施行令第6条第1項は、やむを得ない理由を5類型に限定して列挙しています。税法の改正はここに含まれていません。近いのは第5号の「国税庁長官の法令解釈が変更され公表されたこと」ですが、これは法律の改正ではなく通達などの解釈変更を指します。

このほかに、税目ごとの特例が2種類あります。どちらも2か月以内ですが、起算する事実が違います。

1つ目は、前年分や前事業年度の申告について修正申告・更正・決定があり、それに連動して翌年分以降が過大になる場合です。所得税は所得税法第153条、法人税は法人税法第81条、消費税は消費税法第56条で、いずれも修正申告書を提出した日または更正・決定の通知を受けた日の翌日から2か月以内です。

2つ目は所得税に固有のもので、事業を廃止したあとに必要経費が生じた場合や、譲渡代金が回収不能になった場合などです(所得税法第152条)。こちらはその事実が生じた日の翌日から2か月以内で、起算日が上とは異なります。

法人税の特例は第80条の2から第81条に移っている

法人税の更正の請求の特例は、令和2年度の税制改正前は第80条の2に置かれていました。現在は第81条です。国税庁の手続案内も「法人税法第81条又は令和2年旧法人税法第80条の2」と両方を併記しています。改正前に作られた資料を参照するときは、条番号がずれている前提で確認してください。

期限の早見表

同じ「更正の請求」でも、起算日と長さが違う通常の確定申告法定申告期限から 5年還付を受けるためだけの申告提出した日から 5年法人税・繰越欠損金にかかわる請求法定申告期限から 10年後発的事由・連動する特例2か月事実が生じた日・通知を受けた日の翌日から起算
横幅は期間の長さに比例させている。後発的事由の2か月は同じ縮尺だと細い帯にしかならないほど短く、しかも5年や10年を過ぎたあとに突然始まる
ケース起算日期間根拠
所得税・法人税・消費税の通常の申告法定申告期限5年通則法23条1項
還付を受けるためだけの所得税申告その申告書を提出した日5年国税庁 手続案内A1-2
申告期限の延長承認を受けた法人承認された申告期限5年国税庁 手続案内C1-12
法人税・繰越欠損金が過少法定申告期限(延長承認がある場合は承認申告期限)10年(H30.3.31までに開始した事業年度は9年)通則法23条1項2号かっこ書き
判決の確定・他者への帰属の更正その事実が生じた日の翌日2か月通則法23条2項1号・2号
許可の取消し・契約の解除など5類型その理由が生じた日の翌日2か月通則令6条1項
前年分・前事業年度の更正等に連動修正申告書の提出日または更正・決定の通知を受けた日の翌日2か月所法153/法法81/消法56
事業廃止後の必要経費・譲渡代金の回収不能など(所得税)その事実が生じた日の翌日2か月所法152

期限が土曜日・日曜日・祝日にあたる場合は、その翌日が期限になります。

期限ぎりぎりでも受け付けてもらえる

「期限まであと1か月しかないから、税務署が処理しきれないのでは」と心配する必要はありません。

国税通則法第70条第3項は、税務署が更正をできなくなる日の前6か月以内にされた更正の請求については、その請求があった日から6か月を経過する日まで更正できると定めています。期限内に請求さえ届いていれば、審査の時間は確保される仕組みです。

税目別のやり方

やり方は税目で違います。同じ「e-Taxで出せます」でも、作成する場所が違う点が見落とされがちです。

税目様式作成する場所提出先手続根拠
所得税令和◯年分所得税及び復興特別所得税の更正の請求書(令和7年分以降用が最新)確定申告書等作成コーナー納税地の所轄税務署長通則法23条、所法152・153ほか
法人税・地方法人税更正の請求書(単体申告用・事業年度別)e-Taxソフト納税地の所轄税務署長通則法23条、法法81・145条、地方法人税法24条
消費税(法人)消費税及び地方消費税の更正の請求書(法人用)e-Taxソフト納税地の所轄税務署通則法23条又は消法56条
消費税(個人事業者)消費税及び地方消費税の更正の請求書(個人事業者用)確定申告書等作成コーナー納税地の所轄税務署通則法23条又は消法56条

いずれも書面で作成して持参または送付することもできます。税務署の開庁時間は8時30分から17時までですが、閉庁日でも時間外収受箱への投函で提出できます。輸入品にかかる申告消費税等だけは例外で、税務署長ではなく税関長に対して請求します(通則法23条6項)。

所得税

更正の請求書には、請求後の課税標準等と税額、請求の理由、請求に至った事情の詳細、請求前の納付すべき税額などを記載します(通則法23条3項)。「どこが間違っていたか」「正しい金額はいくらか」「その結果いくら戻るべきか」を、税務署が確認できる形で示す書類です。

1

誤りの特定と期限の確認

申告書の控えと帳簿を突き合わせて誤りを特定し、その申告がどの起算日から何年以内かを先に確認します。

2

正しい税額の再計算

誤りを訂正した場合の課税所得と税額を再計算し、減額される金額を確認します。

3

更正の請求書の作成

請求前と請求後の数値、請求の理由、請求に至った事情の詳細を記入します。

4

証拠書類の準備

請求の理由の基礎となる事実を証明する書類を準備します。

5

税務署への提出

所轄税務署にe-Taxまたは書面で提出します。当初の税額は納期限までに納めておきます。

6

審査と減額更正

税務署が調査し、更正をするか、更正をすべき理由がない旨を通知します。

7

地方税の手続き

法人は国の税務官署が更正の通知をした日から2か月以内に、事業税・法人住民税について自治体へ別途更正の請求をします。

e-Taxで提出する場合、本人確認書類の提示や添付は不要です。書面でマイナンバーを記載した書類を提出するときは、その都度、本人確認書類の提示または写しの添付が必要になります。

具体的な記入欄の埋め方は更正の請求書の書き方と記載例、e-Taxの画面操作は更正の請求をe-Taxで行う手順で解説しています。

法人税

法人税の更正の請求はe-Taxソフトで作成します。所得税で使う確定申告書等作成コーナーには法人税のメニューがないため、初めて法人税の更正の請求をする経理担当者がここでつまずくことがあります。

様式が事業年度ごとに細かく分かれている点にも注意が必要です。令和8年4月1日以後開始事業年度分、令和5年4月1日以後終了事業年度分、令和4年4月1日以後開始令和5年4月1日前終了事業年度分といった具合に国税庁が用意しており、訂正しようとする事業年度に対応する様式を選ぶ必要があります。

法人でよくある請求の理由は、減価償却費の計上漏れ、貸倒引当金の計算誤り、交際費等の損金不算入額の誤り、試験研究費税額控除などの適用漏れ、受取配当等の益金不算入の処理漏れです。

消費税

消費税は、法人用と個人事業者用で様式が分かれ、作成する場所も違います。法人はe-Taxソフト、個人事業者は確定申告書等作成コーナーです。同じ税目でも、法人か個人事業者かで入口が変わります。

よくある請求の理由は、課税仕入れの計上漏れによる仕入税額控除の適用漏れ、簡易課税制度の事業区分の誤り、免税事業者・課税事業者の判定誤りです。法人の消費税に絞った期限と手続きは消費税の更正の請求(法人)で扱っています。

インボイス制度の下では、適格請求書の保存要件を満たさない仕入について仕入税額控除を適用してしまい、修正申告が必要になる例が出ています。逆に、控除できたはずの課税仕入れを控除しなかった場合は、更正の請求で取り戻せます。

添付書類には法令上の義務がある

添付書類は任意ではありません。国税通則法施行令第6条第2項は、請求の理由の基礎となる事実が一定期間の取引に関するものであるときは、その取引の記録等に基づいて事実を証明する書類を更正請求書に添付しなければならないと定めています。それ以外の場合も、証明する書類があるときは同様です。

国税庁の手続案内は、この2分類に具体例を挙げています。

分類添付するもの
一定期間の取引に関する事実事業所得の必要経費(事務所の賃借料)について12月分の計上漏れがあり、事業所得の金額が過大となっていた青色申告決算書(または収支内訳書)、帳簿書類の該当部分の写し、賃借料を支払った領収書の写し
それ以外の事実国民年金保険料の金額に記載漏れがあり、社会保険料控除の金額が過少となっていた社会保険料(国民年金保険料)控除証明書など、支払金額を証明する書類

変動所得や臨時所得がある場合の平均課税の計算書など、請求額の計算に使った明細書があれば、それも提出します。法人税・消費税でも考え方は同じで、「取引の記録等に基づいて請求の理由の基礎となる事実を証明する書類」を添付します。

証拠書類が足りないことが、請求が通らない最大の原因です。経費の計上漏れを理由に請求しても、その経費の領収書や帳簿の記録がなければ、税務署は請求の正当性を確認できません。

提出したあと何が起きるか

審査

税務署長は請求にかかる課税標準等または税額等について調査し、更正をするか、更正をすべき理由がない旨を通知します(通則法23条4項)。国税庁は審査基準を「請求に係る税額等について調査し、請求が適正であるか等を審査します」と示しています。

税務調査と追徴課税の相場で扱う税務調査とは性質が違いますが、帳簿や証拠書類の確認という点では似た作業が行われます。請求をきっかけに調査に発展するリスクの考え方は更正の請求のデメリットとリスクで整理しています。

請求しても納税は止まらない

見落とされやすい点です。国税通則法第23条第5項は、更正の請求があった場合でも税務署長はその国税の徴収を猶予しないと定めています(相当の理由があると認めるときは猶予できるという但し書きはあります)。

つまり、当初の申告で確定した税額は納期限までに納めなければなりません。「どうせ戻ってくるのだから」と納付を止めると延滞税がかかります。延滞税の割合は令和8年中の期間で、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以降は年9.1%です。

納めすぎた税金を取り戻すために請求したのに、納付を止めたせいで延滞税を取られるという事態は避けなければなりません。納めたうえで請求し、認められてから還付を受ける、という順序になります。

還付加算金は請求した直後には付かない

還付金には利息にあたる還付加算金が付きます。ただし更正の請求による還付は、通常の還付申告とは起算日の考え方が違います。

国税通則法第58条第1項第2号は、更正の請求に基づく更正による過納金について、還付加算金の起算日を「更正の請求があった日の翌日から起算して3か月を経過する日」と「更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日」のいずれか早い日と定めています。

還付加算金は「早いほうの日」から付く審査が長引いた場合請求請求から3か月更正この帯に還付加算金が付く審査が早く終わった場合請求更正更正から1か月この帯に還付加算金が付くどちらの場合も、請求した直後の期間には還付加算金が付かない
通常の確定申告による還付は納付日などが起算日になるが、更正の請求による還付はこの2つの日のうち早いほうから数える

割合は本則で年7.3%ですが、実際には特例基準割合による軽減が適用されます。財務省が公表している各年分の割合は次のとおりです。

年分平均貸付割合還付加算金参考:延滞税(2か月以内/超)
令和8年分0.8%年1.3%年2.8%/年9.1%
令和7年分0.4%年0.9%年2.4%/年8.7%

還付加算金の割合は毎年の告示で変わります。本則の7.3%と実際に付く利率には、これだけの開きがあります。

なお、更正の請求の標準処理期間は公表されていません。実務上は数か月かかることが多いのですが、還付加算金の起算日が「請求から3か月」に置かれていることから、3か月がひとつの区切りとして意識されています。

認められなかった場合

「更正をすべき理由がない旨の通知書」が届きます。この処分に不服がある場合、通知を受けた日の翌日から起算して3か月以内に、次のいずれかを選んで行えます(通則法75条1項1号・77条1項)。

  • 再調査の請求 — 処分をした税務署長に対して行う
  • 審査請求 — 国税不服審判所長に対して行う

どちらを先にするかは選択制です。再調査の請求をしたうえで、その決定になお不服があれば審査請求に進むこともできます(通則法75条3項)。審査請求の裁決にも不服があれば訴訟へ進みます。手続きの流れは更正処分への不服申立てで解説しています。

法人は、地方税にもう一度2か月の期限がある

国税の還付だけで手続きが終わったと考えると、ここで取りこぼす可能性があります。法人には、国税とは別に2か月の請求期限があります。

個人の住民税は原則として手続き不要

所得税の確定申告書を提出した人は、その提出日に市町村民税の申告書が提出されたものとみなされます(地方税法第317条の3第1項)。また市町村長は、税務署がした更正・決定に関する書類の閲覧・記録を請求できます(同法第325条)。

この2つの仕組みによって、所得税の更正の内容は市区町村に伝わります。個人が住民税について別途申告書を出す必要は、原則としてありません。住民税の減額は、所得税の還付より遅れて反映されるのが通常です。

法人事業税は「国の更正通知日から2か月以内」

法人はまったく事情が違います。地方税法第72条の33第2項は、法人が法人税の課税標準について国の税務官署の更正を受けたことに伴い事業税額が過大となる場合について、国の税務官署が更正の通知をした日から2か月以内に道府県知事へ更正の請求ができると定めています。

法人は、国と地方で手続きが2回ある法人税の更正の請求税務署の審査減額更正の通知法人税・地方法人税が還付される通知の日から2か月以内に、事業税・法人住民税の更正の請求地税72条の33第2項・53条の2・321条の8の2。起算は国が通知をした日個人の住民税は、所得税の更正内容が市区町村へ伝わるため別途の申告書は原則不要(地方税法第317条の3第1項・第325条)
国が更正の通知をした日が、事業税・法人住民税それぞれの2か月のスタートになる。自治体が職権で更正する運用もあるが、確実なのは自分から請求しておくこと

起算日は「国の税務官署が更正の通知をした日」であって、法人が通知を受け取った日ではありません。郵送の日数だけ、手元にある期間は2か月より短くなります。

ただし、この2か月は「納税者の側から請求できる期限」です。請求しなかったからといって、必ず地方税が減額されないまま残るとは限りません。たとえば東京都主税局は、更正の請求を行わない場合であっても、法人税の更正があったときはその所得金額・法人税額に基づいて更正すると案内しています。

取扱いは自治体によって違います。確実なのは、国の更正通知を受けたら2か月以内に自分から請求しておくことです。そのうえで、自治体側の職権更正を待つかどうかは、都道府県税事務所と市区町村に確認してください。

法人住民税も同じ構造です。道府県民税は地方税法第53条の2、市町村民税は第321条の8の2が、いずれも「国の税務官署が更正の通知をした日から2か月以内」と定めています。

つまり法人は、国の税務官署が更正の通知をした日を起点に、事業税・道府県民税・市町村民税の3つについて2か月以内に請求できます。窓口は都道府県税事務所と市区町村に分かれます。

税目請求先期限根拠
法人事業税・特別法人事業税道府県知事国の更正通知日から2か月以内地税72条の33第2項
法人道府県民税(法人税割)道府県知事同上地税53条の2
法人市町村民税(法人税割)市町村長同上地税321条の8の2

なお、地方税の更正の請求の一般的な期限は、地方税法第20条の9の3第1項により法定納期限から5年以内です。国税が「法定申告期限」起算なのに対し、地方税は「法定納期限」起算で、起算点を指す言葉が違います。

認められにくいケースと、やってはいけないこと

選び直しは対象にならない

申告のときに選んだ計算方法を、更正の請求であとから変更することは原則としてできません。減価償却の方法、棚卸資産の評価方法などがこれにあたります。

更正の請求が使えるのは「法律の規定に従っていなかった」または「計算に誤りがあった」場合です(通則法23条1項1号)。選んだ方法が誤りだったのではなく、結果的に不利だったというだけでは、請求の対象になりません。

認められやすい認められにくい
計上漏れ・記載漏れ(領収書や証明書がある)有利な計算方法への選び直し
明らかな計算ミス・転記ミス見積り要素の見直し(金額の当否が争点になる)
法令の適用誤り(要件を満たすのに適用していなかった)証拠書類が用意できない経費の計上
二重計上・重複計上の是正当初から適用していなかった選択制の特例

虚偽の記載には罰則がある

更正請求書に偽りの記載をして税務署長に提出した者は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されます(国税通則法第128条第1号)。

これは正直に請求する人が気にする話ではありません。ただ、還付を目的に事実と違う金額を書くよう勧める業者がいれば、そこには罰則があるということです。過少に申告してしまった側の加算税については過少申告加算税の計算方法重加算税の要件と対策で整理しています。

実務での判断

よくある請求の理由

個人事業主・給与所得者で多いのは、医療費控除の適用漏れ、ふるさと納税のワンストップ特例と確定申告の食い違い、住宅ローン控除の計算誤り、扶養控除・社会保険料控除の申告漏れです。

法人で多いのは、減価償却費の計算誤り、税額控除の適用漏れ、受取配当等の益金不算入の処理漏れ、外国税額控除の適用漏れです。相続税の更正の請求のように、税目によって特有の要件があるものもあります。

税理士に相談する判断基準

更正の請求は自分でも行えます。相談したほうがよいのは、次のいずれかにあてはまるときです。

  • 還付見込額が大きく、地方税まで含めた影響額が読めない
  • 適用の可否が微妙で、請求理由の書き方によって結論が変わりうる
  • 法人で、事業税・住民税の手続きを含めて2か月以内に動く必要がある
  • 過去に税務調査を受けており、請求をきっかけとした確認を想定しておきたい

税理士に依頼する場合の報酬は、還付税額の一定割合を成功報酬とする形と、固定報酬の形があります。還付額が大きいほど、依頼コストを差し引いても手元に残る金額は大きくなります。

まとめ

この記事のポイント

  • 期限は原則5年だが、還付申告は「提出した日」から、法人の繰越欠損金にかかわる請求は10年、申告期限の延長承認がある法人は「承認申告期限」から数える
  • 後発的事由は5年を過ぎても使えるが、期間は2か月しかない。「税法の改正による遡及適用」は後発的事由に含まれない
  • 税目で様式と作成場所が違う。法人税と法人の消費税はe-Taxソフト、所得税と個人事業者の消費税は確定申告書等作成コーナー
  • 請求しても徴収は原則として猶予されない(通則法23条5項。相当の理由があると認められるときの但し書きはある)。当初の税額は納期限までに納める
  • 還付加算金は請求した直後には付かない。起算日は「請求の翌日から3か月経過日」と「更正の翌日から1か月経過日」の早いほう(通則法58条1項2号)。令和8年中は年1.3%
  • 法人は国の税務官署が更正の通知をした日から2か月以内に、事業税・法人住民税の更正の請求を別途行える(地税72条の33第2項・53条の2・321条の8の2)

「数年前の申告だから今さら」と諦める前に、まず起算日を確認してください。還付を受けるためだけに出した申告なら期限は提出日から5年ですし、繰越欠損金が絡む法人税なら10年あります。

帳簿と領収書は法人税法上、原則7年(欠損金が生じた事業年度は10年)の保存義務があります。更正の請求を検討する可能性も含めて、保管を続けることが結果的に自社を守ります。

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出典

(いずれも2026年8月26日に内容を確認しています。税務の取扱いは個別事情で変わるため、実際の手続きにあたっては顧問税理士または所轄税務署にご確認ください。)

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債権の状態、決算時期、顧問士業との確認事項を分けて整理します。

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よくある質問

Q. 更正の請求の期限は本当に5年ですか?
A. 原則は法定申告期限から5年ですが、例外があります。確定申告の義務がない人が還付を受けるために申告した場合は「その申告書を提出した日から5年」です。法人税で翌期へ繰り越す欠損金額が過少だった場合は10年(平成30年3月31日までに開始した事業年度は9年)です。申告期限の延長承認を受けている法人は、承認された申告期限が起算日になります。
Q. 更正の請求をすれば、いま納める税金は待ってもらえますか?
A. 原則として待ってもらえません。国税通則法第23条第5項は、更正の請求があった場合でも税務署長は徴収を猶予しないと定めています。ただし、税務署長が相当の理由があると認めるときは、その国税の全部または一部の徴収を猶予できるという但し書きがあります。原則としては、当初の申告で確定した税額を納期限までに納め、還付は請求が認められた後に受けることになります。
Q. 還付金にはいつから利息(還付加算金)が付きますか?
A. 更正の請求による還付の場合、還付加算金の起算日は「更正の請求があった日の翌日から3か月を経過する日」と「更正があった日の翌日から1か月を経過する日」のいずれか早い日です(国税通則法第58条第1項第2号)。請求してすぐに利息が付くわけではありません。割合は令和8年中は年1.3%です。
Q. 法人税の更正の請求が認められれば、事業税や住民税も自動で戻りますか?
A. 国税とは別の手続きになります。法人事業税は道府県知事へ(地方税法第72条の33第2項)、法人道府県民税は道府県知事へ(同法第53条の2)、法人市町村民税は市町村長へ(同法第321条の8の2)、いずれも国の税務官署が更正の通知をした日から2か月以内に更正の請求ができます。請求しない場合でも自治体が職権で更正する運用はありますが、取扱いは自治体で異なるため、期限内に自分から請求しておくのが確実です。個人の住民税は所得税の申告内容が市区町村に伝わる仕組みがあるため、別途の申告書は原則不要です。
Q. 更正の請求が認められなかったときは何ができますか?
A. 「更正をすべき理由がない旨の通知書」が届きます。この処分に不服がある場合は、通知を受けた日の翌日から3か月以内に、処分をした税務署長に対する「再調査の請求」か、国税不服審判所長に対する「審査請求」のいずれかを選んで行えます(国税通則法第75条・第77条)。
Q. 更正の請求はe-Taxで提出できますか?
A. できます。ただし作成する場所が税目で違います。所得税と個人事業者の消費税は「確定申告書等作成コーナー」、法人税と法人の消費税は「e-Taxソフト」で作成します。書面で作成して所轄税務署に持参または送付することもできます。

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