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過少申告加算税の計算方法【2026年版】税率10%・15%の境界と3段階の軽減措置・重加算税との違い

過少申告加算税の計算方法を2026年版で具体例つきに解説。税率10%と15%の境界線(50万円超ルール)、調査通知前の自主修正で0%になる条件、更正を予知する前の軽減税率5%の要件、正当な理由による控除まで整理。法人税・所得税・消費税それぞれの計算式、重加算税の税率35%との違い、帳簿の提示に係る加重まで解説。

税務調査で申告漏れを指摘された場合、あるいは自分で確定申告書の誤りに気づいた場合、気になるのは「加算税がいくらになるか」です。過少申告加算税は申告内容の誤りに対するペナルティですが、修正申告のタイミングによって税率が0%から15%まで変動します。

本記事では、過少申告加算税の計算方法に絞って、3段階の税率区分と50万円超の境界線、法人税・所得税・消費税ごとの計算例、「正当な理由」による免除の条件までを整理します。延滞税・加算税の全体像は別記事で解説していますので、ペナルティ全体を把握したい方はあわせてご覧ください。

過少申告加算税の基本構造

課税される条件

過少申告加算税は、期限内に提出した申告書の税額が実際よりも少なかった場合に課されるペナルティです(国税通則法第65条第1項)。法人税、所得税、消費税、相続税、贈与税のいずれでも、申告額が過少であれば適用対象になります。

課税の前提条件は2つあります。1つめは、法定申告期限までに申告書を提出していること。期限内に申告していない場合は「無申告」に該当するため、過少申告加算税ではなく無申告加算税(原則15%)の対象になります。2つめは、修正申告または税務署の更正処分によって、当初の申告税額よりも多い金額が確定したことです。

なお、申告書を提出していたとしても、仮装・隠蔽行為(売上の除外、架空経費の計上など)があった場合は、その隠蔽・仮装に基づく税額の部分について、過少申告加算税に代えて重加算税(35%)が課されます(国税通則法第68条第1項)。同じ税額部分に両方が課されることはありませんが、1回の修正申告に隠蔽・仮装のある部分とない部分が混在していれば、部分ごとに重加算税と過少申告加算税が併存します

3段階の税率区分

過少申告加算税の税率は、修正申告を提出するタイミングによって3段階に分かれます。

段階状況基準額以下基準額超の部分根拠
1調査通知を受ける前で、更正を予知していない修正申告課されない課されない通則法65条6項
2調査通知を受けた後だが、まだ更正を予知していない修正申告5%10%通則法65条1項括弧書・2項
3更正を予知した後の修正申告、または税務署による更正10%15%通則法65条1項・2項

段階を分けるのは「調査通知の前か後か」と「更正があるべきことを予知したかどうか」の2つです。 通則法65条6項は、更正を予知してされたものでない修正申告が「調査通知」の前に行われたときは第1項を適用しないと定めています。ここでいう調査通知は、実地調査の日時・場所や調査対象の税目・期間などを税務署が事前に知らせるものです(通則法74条の9第1項第4号・第5号)。自主修正の実務は自主修正申告で加算税が免除される条件と手順で詳しく解説しています。

段階2と段階3を分ける基準は、条文上は「その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」(通則法65条1項括弧書)です。実務では実地調査の着手が予知の目安になりますが、着手日そのものが法律上の分かれ目ではありません。 着手前でも、調査担当者から具体的な指摘を受けて誤りが確実に更正されると分かった後の修正申告は、予知ありと判断される余地があります。

50万円超ルールの計算方法

基準額の考え方

過少申告加算税には「基準額」という概念があり、この基準額を超える部分の増差税額には加重税率が適用されます。

基準額は「期限内申告税額」と「50万円」のいずれか大きい方です(国税通則法第65条第2項)。

2回目以降の修正申告は累積で判定する

同じ税目・同じ年度について修正申告や更正が複数回あった場合、基準額と比べるのは今回の増差税額だけではありません。今回納付すべき税額に、それ以前の修正申告・更正で納付すべきこととなった税額(累積増差税額)を加算した金額で判定します(通則法65条2項・3項1号)。1回目が基準額以下でも、2回目で累積が基準額を超えれば、その超過部分に15%が適用されます。

増差税額(追加で納める税額)のうち、基準額以下の部分には通常税率が適用され、基準額を超える部分には5%加重された税率が適用されます。原則税率で説明すると、基準額以下の部分が10%、基準額を超える部分が15%です。

基準額の判定式

基準額 = MAX(期限内申告税額, 50万円)

増差税額が基準額以下 → 全額に通常税率を適用

増差税額が基準額超 → 基準額以下の部分に通常税率、超過部分に加重税率を適用

増差税額は基準額で2つに割って計算する期限内申告税額 200万円 → 基準額は200万円(50万円との比較で大きいほう)増差税額 300万円基準額以下 200万円税率 10%超過分 100万円税率 15%基準額 200万円200万円 × 10% = 20万円100万円 × 15% = 15万円過少申告加算税 = 35万円基準額を1円でも超えると、その超えた部分だけ税率が5%上がる
基準額による税率の分割(国税通則法第65条第1項・第2項)

期限内申告税額が50万円以上のケース

中小法人で法人税の当初申告税額が200万円だった場合を考えます。基準額は「200万円」と「50万円」のいずれか大きい方なので200万円です。

増差税額が100万円のとき、100万円は基準額200万円以下のため、全額に10%が適用されます。

過少申告加算税 = 100万円 × 10% = 10万円

増差税額が300万円のとき、200万円(基準額以下)に10%、残り100万円(基準額超過分)に15%が適用されます。

過少申告加算税 = 200万円 × 10% + 100万円 × 15% = 20万円 + 15万円 = 35万円

期限内申告税額が50万円未満のケース

個人事業主で所得税の当初申告税額が30万円だった場合を考えます。基準額は「30万円」と「50万円」のいずれか大きい方なので50万円です。

増差税額が40万円のとき、40万円は基準額50万円以下のため、全額に10%が適用されます。

過少申告加算税 = 40万円 × 10% = 4万円

増差税額が80万円のとき、50万円(基準額以下)に10%、残り30万円(基準額超過分)に15%が適用されます。

過少申告加算税 = 50万円 × 10% + 30万円 × 15% = 5万円 + 4万5,000円 = 9万5,000円

当初申告税額が0円のケース

当初の申告で税額が0円だった場合(赤字申告後に黒字に修正されるケースなど)、基準額は50万円になります。増差税額が50万円以下であれば全額10%、50万円を超える部分に15%が適用されます。

税目別の計算例

法人税の計算例

年間売上5億円、従業員30名の製造業(中小法人)の法人税修正申告を想定します。

税務調査により、外注費の一部が損金算入できないと指摘され、課税所得が400万円増加しました。法人税率は中小法人の軽減税率15%(年800万円以下)が適用される部分とします。

追加法人税(増差税額): 400万円 × 15% = 60万円

当初申告の法人税額は150万円でした。基準額はMAX(150万円, 50万円)= 150万円です。増差税額60万円は基準額150万円以下のため、全額に10%が適用されます。

過少申告加算税 = 60万円 × 10% = 6万円

仮に増差税額が200万円だった場合、150万円に10%、残り50万円に15%が適用されます。

過少申告加算税 = 150万円 × 10% + 50万円 × 15% = 15万円 + 7万5,000円 = 22万5,000円

なお、法人税の修正申告に連動して法人住民税・法人事業税の修正申告も必要になります。地方税では名称が変わり、過少申告加算金・延滞金として課されます(地方税法)。追徴の総額は法人税分だけでは収まらない点に注意してください。

所得税の計算例

不動産所得のある個人事業主が、修繕費として計上した200万円のうち100万円が資本的支出に該当すると指摘されたケースです。

所得税の税率は累進課税のため、追加所得100万円に適用される限界税率が20%(課税所得330万円超695万円以下)だったとします。

追加所得税(増差税額): 100万円 × 20% = 20万円

当初申告の所得税額が45万円の場合、基準額はMAX(45万円, 50万円)= 50万円です。増差税額20万円は基準額50万円以下のため全額10%です。

過少申告加算税 = 20万円 × 10% = 2万円

所得税は法人税と比べて1件あたりの増差税額が小さいケースが多く、基準額(50万円)を超えにくい傾向があります。ただし、複数年度にわたる指摘を受けた場合は年度ごとに計算されるため、合算すると無視できない金額になることがあります。

消費税の計算例

消費税の税務調査では、仕入税額控除の否認が頻繁に問題になります。インボイス制度の導入以降、適格請求書の保存要件を満たさない仕入について控除が否認される事例が増えています。

年間課税売上高1億円の事業者が、税込500万円の仕入について仕入税額控除を否認されたケースです(否認されたのは仕入金額であって、控除税額そのものが500万円という意味ではありません)。

追加消費税(増差税額): 500万円 × 10/110 ≒ 45万4,545円(1万円未満切捨て → 45万円)。なお加算税の計算の基礎は、消費税額と地方消費税額を合算した額になります。

当初申告の消費税額が300万円の場合、基準額はMAX(300万円, 50万円)= 300万円です。増差税額45万円は基準額300万円以下のため全額10%です。

過少申告加算税 = 45万円 × 10% = 4万5,000円

消費税は法人税や所得税とは別の税目として独立して計算されます。外注費が給与と認定された場合など、法人税と消費税で同時に追徴が発生するケースでは、それぞれの税目について過少申告加算税が計算されます。延滞税・加算税の計算方法で解説した複数税目の追徴シミュレーションもあわせて確認してください。

調査通知後・更正を予知する前の軽減税率(5%・10%)

軽減税率の適用要件

調査通知を受けた後でも、更正があるべきことを予知する前に修正申告を提出した場合は、過少申告加算税の税率が軽減されます(国税通則法第65条第1項括弧書)。具体的には次のとおりです。

基準額以下の部分: 10% → 5% に軽減

基準額超の部分: 15% → 10% に軽減

この軽減を受けるには、更正があるべきことを予知する前に修正申告書を提出している必要があります。実務上は実地調査の着手前が目安になり、調査通知から実地調査までは1〜2週間程度のことが多いものの、期間は事案によって変わります。この間に申告内容の誤りを特定して修正申告書を作成・提出する必要があるため、顧問税理士と連携して迅速に動くことが求められます。

軽減税率の計算例

先述の法人税の例(当初申告税額150万円、増差税額200万円)を使って、タイミングごとの比較をします。

1

事前通知前に自主修正した場合

過少申告加算税 = 0円(免除)。延滞税のみ発生。

2

調査通知後、更正を予知する前に修正した場合

150万円 × 5% + 50万円 × 10% = 7万5,000円 + 5万円 = 12万5,000円

3

更正を予知した後に修正した場合(原則税率)

150万円 × 10% + 50万円 × 15% = 15万円 + 7万5,000円 = 22万5,000円

調査通知の前に自主修正すればゼロ、通知後でも予知の前に動けば12万5,000円、何もしないまま更正されれば22万5,000円です。修正申告のタイミングだけで10万円の差が出ます。

事前通知を受けた段階で、まだ対応の余地があります。税務調査の事前通知への対応方法を参照のうえ、速やかに行動することが経済的な負担を下げる有効な手段です。

帳簿の提示を求められて応じない場合の加重

2026年時点で見落とされやすいのが、帳簿を提示・提出しなかった場合の加重です。国税通則法第65条第4項は、修正申告等の前に税務署等の職員から帳簿の提示または提出を求められ、一定の場合に該当するとき、通常の計算額に加えて次の割合を上乗せすると定めています。

状況加重
1号帳簿の提示・提出をしなかった場合、または提示・提出された帳簿の「特定事項」の記載・記録が著しく不十分である場合10%
2号提示・提出された帳簿の「特定事項」の記載・記録が不十分である場合(1号に当たる場合を除く)5%

「特定事項」は、納税申告書の作成の基礎となる重要なものとして財務省令で定める事項です。対象となる帳簿も財務省令で定めるものに限られ、電磁的記録として作成・保存している場合はその記録を含みます。納税者の責めに帰すべき事由がない場合は適用されません。

加重の対象は、帳簿に記載すべき事項に係る税額の部分です。 増差税額のうち、その帳簿と関係のない事実に基づく部分は控除して計算します(65条4項括弧書)。関係する部分については原則税率10%に10%が上乗せされて20%、基準額超の部分は25%になります。無申告加算税にも同様の加重があります(同法第66条第5項)。

「正当な理由」による免除

正当な理由とは

増差税額のうち、過少に申告したことについて「正当な理由があると認められる」部分は、加算税の計算の基礎から除かれます(国税通則法第65条第5項第1号)。増差税額の全体が免除されるのではなく、正当な理由が認められる事実に基づく税額だけを控除して計算する仕組みです

「正当な理由」は法律で具体的に列挙されておらず、個別の事案ごとに判断されます。国税庁の事務運営指針や裁判例で認められた主な類型を以下に示します。

税務署の誤った指導に従って申告した場合が代表的なケースです。税務相談で税務署職員から受けた回答に基づいて申告したが、その回答が誤っていたという場合には、正当な理由が認められることがあります。ただし、口頭での指導を証明するのは困難な場合が多いため、税務署への相談内容は日時・担当者名・回答内容を記録に残しておくことが重要です。

税法の解釈について、申告の時点では取扱いが明確でなく、判例や通達に照らして相当と言える解釈を採って申告した場合にも、正当な理由が認められる余地があります。ただし「複数の解釈があり得たから」というだけでは足りません。後述の最高裁の判示のとおり、納税者に帰責できない客観的な事情があると言えるかどうかで判断されます。

災害などやむを得ない事情があった場合もあります。地震、台風、火災などで帳簿・書類が滅失し、正確な申告ができなかった場合には正当な理由が認められることがあります。

正当な理由が認められにくいケース

「税法を知らなかった」「経理担当者が処理を誤った」「税理士に任せていたので知らなかった」といった事情は、正当な理由とは認められないのが原則です

最高裁判例(平成18年4月20日判決)では、正当な理由の適用範囲について「真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税を課すことが不当又は酷になる場合」に限定する厳格な解釈が示されています。

実務上、正当な理由による免除が認められるケースは限定的です。免除の主張を検討する場合は、税理士や税務訴訟に詳しい専門家に事前に相談することが重要です。

過少申告加算税の計算手順まとめ

実際に過少申告加算税を計算する手順を整理します。

1

増差税額を確定する

修正申告後の税額から当初申告の税額を差し引き、追加で納める税額を算出する。加算税の計算の基礎となる税額は1万円未満を切り捨てる(通則法118条3項)。

2

基準額を求める

期限内申告税額と50万円のいずれか大きい金額が基準額になる。当初申告税額が0円の場合、基準額は50万円。

3

適用税率を確認する

調査通知前かつ更正を予知していない修正申告は0%、通知後でまだ予知していなければ5%/10%、予知した後は10%/15%。

4

加算税額を計算する

基準額以下の部分に通常税率、基準額超の部分に加重税率を適用し、それぞれの金額を合算する。

5

端数処理を行う

計算の基礎となる税額は1万円未満を切り捨てる(通則法118条3項)。算出した加算税額は100円未満を切り捨て、全額が5,000円未満なら全額を切り捨てる(同法119条4項)。

国税庁の計算ツールを活用する

延滞税の計算については国税庁のWebサイトで計算ツールが公開されています。過少申告加算税そのものの自動計算ツールは提供されていませんが、上記の手順に沿って計算すれば、金額の概算は把握できます。正確な金額の確認が必要な場合は、所轄の税務署または顧問税理士に確認してください。

過少申告加算税と他のペナルティの関係

延滞税との関係

過少申告加算税と延滞税は別のペナルティです。過少申告加算税は「申告が過少だったこと」に対するペナルティ、延滞税は「税金の支払いが遅れたこと」に対する利息的なペナルティで、両者は同時に課されます。

自主修正申告で過少申告加算税が0%になっても、延滞税は発生します。延滞税は法定納期限の翌日から実際の納付日まで日割りで計算され、2026年(令和8年)の税率は2か月以内が年2.8%、2か月超が年9.1%です(令和7年は年2.4%・年8.7%)。延滞税の計算方法と最新税率を確認のうえ、修正申告時の総負担額を事前に試算しておくと安心です。

重加算税との関係

仮装・隠蔽行為が認定された場合、過少申告加算税に代えて重加算税35%が課されます(国税通則法第68条第1項)。68条1項は、隠蔽・仮装されていない事実に基づく税額を控除した金額を基礎に重加算税を計算すると定めています。排他的なのは同一の税額部分についてであり、隠蔽・仮装のない部分には通常どおり過少申告加算税が課されます。

繰り返した場合はさらに10%が上乗せされます。 同法第68条第4項第1号は、隠蔽・仮装に基づく修正申告等があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、同じ税目について「無申告加算税等」を課され、または徴収されたことがある場合に、重加算税の額へ基礎となる税額の10%を加算すると定めています。対象は一定の無申告加算税と重加算税で、過去に過少申告加算税を課されただけでは該当しません。要件に当たれば過少申告の重加算税は45%になります。

重加算税が課される部分については、前述の軽減措置(調査通知前の免除、予知前の軽減)は適用されません。また、延滞税の免除特例(法定申告期限から1年超経過後の延滞税免除)も適用されないため、仮装・隠蔽と認定された場合はペナルティが格段に重くなります。重加算税の要件と認定基準もあわせてご確認ください。

無申告加算税との関係

そもそも申告書を期限内に提出していなかった場合は、過少申告加算税ではなく無申告加算税が課されます。無申告加算税の税率は原則15%で、50万円を超える部分は20%、300万円を超える部分は30%です(国税通則法第66条第1項〜第3項)。予知の有無と調査通知の前後で、次のように変わります。

状況50万円以下50万円超300万円以下300万円超
更正・決定を予知した後15%20%30%
予知する前(調査通知後)10%15%25%
調査通知前かつ予知する前5%5%5%

調査通知前かつ予知前の期限後申告は、区分に関わらず一律5%です(通則法66条8項)。いずれの段階でも過少申告加算税より重い設定です。税率体系と時効の仕組みは無申告加算税の税率と計算方法で詳しく解説しています。無申告のペナルティについてもあわせて参照してください。

過少申告加算税を最小限に抑えるためにできること

過少申告加算税の負担を抑えるための最善策は、申告誤りに気づいた時点で速やかに修正申告を提出することです

日常の経理業務の中で帳簿や証憑を定期的に見直し、申告内容と帳簿の整合性を確認する習慣が、結果として加算税リスクの低減につながります。特に決算期の前後は経費の計上時期に関する誤りが発生しやすいため、期末前後の取引について重点的にチェックするのが有効です。

調査通知を受けた後でも、更正を予知する前であれば軽減の余地が残ります。通知から実地調査までの期間に顧問税理士と連携して申告内容を精査し、誤りが見つかれば予知の前に修正申告を提出する。この動き方が軽減措置を活かすことにつながります。税務調査の完全ガイドで調査対応の全体像を把握しておくと、事前通知を受けた際に落ち着いて行動できます。

追徴課税の相場も参照しておくと、自社のケースで発生しうるペナルティの規模感がつかめます。

業種別・取引別の過少申告加算税 ケーススタディ

過少申告加算税の計算は税法上の規定が一律ですが、実務では業種や取引パターンによって典型的な誤りが異なります。代表的なケースを取り上げ、具体的な金額シミュレーションで負担感を整理します。

ケース1: 建設業の工事進行基準の認識誤り

建設業で長期請負工事の収益を工事進行基準で計上する際、進捗度の見積りを誤って実際より低く申告し、決算後に修正が必要になるケースです。

  • 当初申告: 期限内申告税額 600万円
  • 修正後税額: 800万円(増差税額 200万円)
  • 通常の過少申告加算税: 200万円 × 10% = 20万円
  • 基準額は MAX(600万円, 50万円)= 600万円。増差税額200万円は基準額以下のため、15%が適用される部分はない
  • 増差税額 200万円は全額 10%適用 = 20万円
  • 更正を予知する前に自主修正すれば 5%適用 = 10万円
  • 自主修正(事前通知前)なら 0円

工事進行基準の見積り誤りは「事実認識の困難性」として正当な理由が認められる可能性もありますが、判例上は厳格に判断されます。決算前後で進捗度を再検証する社内チェック体制が重要です。

ケース2: 飲食業の現金売上の計上漏れ

飲食店で店頭現金売上の一部が帳簿に記録されておらず、税務調査で売上計上漏れが指摘されるケースです。

  • 当初申告: 期限内申告税額 200万円
  • 修正後税額: 350万円(増差税額 150万円)
  • 通常の過少申告加算税: 150万円 × 10% = 15万円
  • ただし、「故意の売上除外」と認定されると重加算税35%に格上げ = 52.5万円(10% との差額 +37.5万円)
  • 売上除外の認定回避には、POS データ・現金出納帳・銀行入金記録の整合性証明が必要

現金商売の業種は売上除外リスクが構造的に高いため、日常の売上管理体制の整備が加算税リスクの最大の予防策です。

ケース3: 不動産業の経費按分の誤り

不動産業で自宅兼事務所の経費按分(家事関連費)が過大計上されており、税務調査で按分比率の妥当性を否認されるケースです。

  • 当初申告: 期限内申告税額 100万円
  • 修正後税額: 130万円(増差税額 30万円)
  • 通常の過少申告加算税: 30万円 × 10% = 3万円
  • 更正を予知する前に自主修正すれば 5%適用 = 1.5万円

按分比率の判断は専門的判断が含まれるため、税理士関与の有無で結論が変わるケースもあります。按分根拠(業務使用面積比・業務使用時間比)の文書化が望まれます。

ケース4: 製造業の在庫評価誤り

製造業で期末在庫評価方法を誤適用(先入先出法を適用すべきところ移動平均法を適用)し、結果として在庫評価額が過小計上されたケースです。

  • 当初申告: 期限内申告税額 400万円
  • 修正後税額: 480万円(増差税額 80万円)
  • 通常の過少申告加算税: 80万円 × 10% = 8万円
  • 評価方法の選択誤りは「正当な理由」が認められにくいケース

在庫評価方法は事業年度開始前に届出が必要で、無届の場合は最終仕入原価法が強制適用されます。届出と実際適用の方法の整合性を毎期確認することが必要です。

ケース5: IT受託業のソフトウェア資産化判断誤り

IT受託業務で自社利用ソフトウェアの開発費を一括費用処理したものが、税務上は無形固定資産として資産計上・減価償却すべきと指摘されるケースです。

  • 当初申告: 期限内申告税額 300万円
  • 修正後税額: 450万円(増差税額 150万円)
  • 通常の過少申告加算税: 150万円 × 10% = 15万円
  • 期限内申告税額 300万円・50万円のいずれか大きい方が 300万円なので、増差税額 150万円は全額 10%適用

ソフトウェア資産計上の判定は実務上複雑で、研究開発段階か実用化段階かの境目で判断が分かれます。税理士との事前相談で資産計上方針を明確にしておくのが現実的な対策です。

ケース別の予防策まとめ

5ケースに共通する予防策は3つです。

第一に「決算前後で当該業種固有のリスク項目を重点的に再点検する」こと。第二に「税理士と判断基準を事前共有し、グレーゾーン項目は判断根拠を文書化する」こと。第三に「申告誤りに気づいた時点で速やかに自主修正申告を提出する」ことです。

調査通知前かつ更正を予知していない自主修正なら過少申告加算税は0%、通知後でも予知の前なら5〜10%に軽減されます。「気づいたタイミング」での即時対応が、最終的な税負担を最も大きく左右します。

まとめ

過少申告加算税の計算 要点整理

  • 原則税率は増差税額の10%。期限内申告税額と50万円のいずれか大きい金額を超える部分は15%
  • 調査通知前かつ更正を予知していない自主修正で0%、通知後でも予知の前なら5%/10%に軽減される
  • 過少申告加算税と延滞税は別に課される。加算税が0%でも延滞税は発生する
  • 「正当な理由」による免除は厳格に判断される。税務署の誤指導に従った場合などに限られる
  • 仮装・隠蔽があると重加算税35%に置き換わり、軽減措置も適用されない

過少申告加算税の計算は、増差税額と基準額の関係さえ理解できれば、難しいものではありません。修正申告を検討している場合は、まず本記事の手順で概算額を把握したうえで、具体的な手続きについて顧問税理士に相談してください。

出典

  • e-Gov法令検索「国税通則法」第65条(過少申告加算税)第1項・第2項・第4項・第5項・第6項、第66条(無申告加算税)第1項〜第3項、第68条(重加算税)第1項・第4項、第74条の9(納税義務者に対する調査の事前通知等)、第118条第3項・第119条第4項(端数計算)
  • 国税庁「No.9205 延滞税について」(令和8年1月1日から令和8年12月31日までの割合は年2.8%・年9.1%)
  • 国税庁「加算税制度(概要)

(いずれも2026年8月29日に内容を確認しています。個別の税務処理は事案によって変わるため、実務にあたっては顧問税理士にご確認ください。)

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調査通知を受ける前で更正を予知していない段階なら、過少申告加算税は課されません(国税通則法第65条第6項)。自社のケースがどの段階にあたるかを整理したい場合にご相談ください。個別の税額計算と申告の判断は税理士が行います。

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債権の状態、決算時期、顧問士業との確認事項を分けて整理します。

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よくある質問

Q. 過少申告加算税の税率は何%ですか?
A. 原則は追加納税額の10%です。ただし、期限内申告税額と50万円のいずれか大きい金額を超える部分は15%になります。また、調査通知を受ける前で更正を予知していない修正申告は0%(同条第6項)、調査通知後でもまだ更正を予知していない段階の修正申告は5%(超過部分10%)に軽減されます(同条第1項括弧書)。
Q. 過少申告加算税がかからないケースはありますか?
A. 調査通知を受ける前で更正を予知していない修正申告なら課されません。また『正当な理由』が認められる事実に基づく税額は、加算税の計算の基礎から除かれます。ただし最高裁は、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情がある場合に限ると判示しており、認められる範囲は狭いのが実情です。税務署の誤指導に従った場合が代表例です。
Q. 過少申告加算税と重加算税の違いは何ですか?
A. 過少申告加算税は申告額が過少だった場合のペナルティで税率は10〜15%です。重加算税は仮装・隠蔽があった場合に課される重いペナルティで税率は35%、要件に当たれば45%です。重加算税が課されるのは隠蔽・仮装に基づく税額の部分で、その部分には過少申告加算税は課されません。隠蔽・仮装のない部分には通常どおり過少申告加算税が課されます(国税通則法第68条第1項・第4項)。
Q. 50万円超ルールの具体的な計算方法を教えてください
A. 増差税額(追加で納める税額)のうち、期限内申告税額と50万円のいずれか大きい金額までは10%、それを超える部分は15%です。例えば期限内申告税額200万円で増差税額100万円の場合、200万円>50万円なので全額(100万円)に10%が適用され、過少申告加算税は10万円です。

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