更正の請求をe-Taxで行うやり方|スマホ・確定申告書等作成コーナーでの手順と注意点
更正の請求をe-Taxで行うやり方|スマホ・確定申告書等作成コーナーでの手順と注意点
更正の請求をe-Taxで行う具体的な手順を画面操作に沿って解説。必要な事前準備、確定申告書等作成コーナーでの操作方法(PC・スマホ両対応)、マイナンバーカードの利用、書面提出との違い、還付までの流れと注意点を網羅し、認証でつまずきやすいポイントも実例を交えて掲載しました。
確定申告を済ませた後に控除の計上漏れや計算ミスに気づくことがあります。納めすぎた税金を取り戻すには「更正の請求」が必要ですが、税務署に出向くのは手間がかかるし、書面での手続きは記入項目が多くて不安という方も多いのではないでしょうか。
e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使えば、自宅のパソコンやスマートフォンから更正の請求書の作成・送信が完結します。税務署に出向く必要がなく、書類の一部は記載内容の入力で提出・提示を省略できるため、手続きの負担を減らせます。
本記事では、e-Taxで更正の請求を行う具体的な手順を、事前準備から送信完了後の流れまで順を追って解説します。更正の請求の制度全体のやり方や期限は別記事で解説していますので、制度の基礎から確認したい方はそちらもご覧ください。
更正の請求の概要とe-Taxで行うメリット
更正の請求とは
更正の請求は、国税通則法第23条に基づき、確定申告で税額を多く申告してしまった場合に正しい税額への修正を税務署に求める手続きです。控除の適用漏れ、所得金額の計算誤り、税率の適用ミスなどにより税金を納めすぎていた場合に、差額の還付を受けられます。なお、更正の請求には審査期間の長さや税務署からの確認など、事前に知っておくべき注意点やデメリットもあります。
請求の期限は法定申告期限から5年以内です。所得税であれば、2025年分の確定申告の法定申告期限は2026年3月16日(2026年は3月15日が日曜のため翌営業日)なので、5年後にあたる2031年3月16日が期限です。ただしこの日は日曜のため、実際の期限は翌営業日の3月17日(月)になります。
なお、税額が少なすぎた場合に追加で納付する「修正申告」とは手続きの方向が逆です。更正の請求と修正申告を混同すると、取り戻せるはずの税金を失う可能性があります。両者の違いは修正申告のデメリットとリスクで詳しく解説しています。
e-Taxを選ぶ3つの利点
更正の請求は書面(紙)でも提出できますが、e-Taxには書面にはないメリットがあります。
1つ目は、自宅から24時間手続きが完結する点です。税務署の窓口に出向く必要がなく、郵送の手間もかかりません。平日に時間が取れない給与所得者や、日常業務で忙しい経営者にとって大きな利点です。
2つ目は、書類の提出や提示を省略できる場合がある点です。所得税では、生命保険料控除証明書などの一定の第三者作成書類について、記載内容をe-Taxで入力して送信すれば、提出や提示を省略できます。
ただし省略は「出さなくてよい」ではありません。原則5年間、税務署から提出や提示を求められることがあります。手元での保管は必要です。なお更正の請求では、請求の理由を証明する書類の添付が求められる点にも注意してください。
3つ目は、税務署側の処理が電子データで進む点です。国税庁は、e-Taxで提出された還付申告について3週間程度で処理するとしています。
ただしこの目安は通常の還付申告のもので、更正の請求にそのまま当てはめられません。更正の請求は税務署が内容を審査したうえで更正するかどうかを判断する手続きで、還付までの期間は請求の内容によって変わります。
e-Taxで更正の請求をする前に必要な準備
e-Taxで更正の請求の手続きをスムーズに進めるには、事前準備が欠かせません。準備不足のまま作成コーナーに進むと、途中で手が止まって入力データが失われることがあります。先に次の項目を確認してください。
利用環境の確認
e-Taxの確定申告書等作成コーナーを利用するには、推奨環境を満たしたパソコンまたはスマートフォンが必要です。Windows、Mac、iOS、Androidのいずれでも利用可能ですが、ブラウザのバージョンやポップアップブロックの設定によってはエラーが出ることがあります。国税庁の推奨環境ページを事前に確認しておくと安心です。
認証方式の選択
e-Taxのログインには2つの方式があります。
マイナンバーカード方式は、マイナンバーカードとICカードリーダー(またはマイナンバーカード読取対応のスマートフォン)を使う方法です。マイナポータルとの連携により、ふるさと納税や保険料の情報を自動で取得できるため、入力の手間が減ります。
ID・パスワード方式は、税務署の窓口で本人確認の後に発行される「ID・パスワード」を使う方法です。マイナンバーカードを持っていない場合や、ICカードリーダーを準備できない場合に利用します。ただし国税庁はマイナンバーカード方式への移行を推奨しており、ID・パスワード方式は暫定的な措置と位置づけられています。
手元に用意する書類
更正の請求書の作成にあたって、以下の書類を手元に準備します。

当初の確定申告書の控えは、更正前の所得金額や税額を入力する際に必要です。作成コーナーで申告して拡張子.dataの確定申告書データを保存していれば、そのファイルを読み込めるので控えの紙がなくても進められます。
請求の理由を裏付ける証拠書類として、医療費控除であれば領収書や医療費通知、寄附金控除であれば寄附金受領証明書、社会保険料控除であれば控除証明書などが必要です。更正の請求では請求の理由を証明する書類の添付が求められるため、何を出すことになるかを確認したうえで手元に揃えてください。
還付金の受取口座情報も必要です。本人名義の銀行口座またはゆうちょ銀行の口座を指定します。家族名義の口座は指定できません。
当初の申告がe-Taxでなくても更正の請求はe-Taxで可能
「当初の確定申告を書面で出したので、更正の請求もe-Taxでは出せないのではないか」と思われがちですが、そのようなことはありません。当初の申告方法に関係なく、更正の請求はe-Taxで提出できます。書面申告の場合は、手元の控えを見ながら当初の申告内容を手入力することで対応します。
e-Taxで更正の請求を行う手順(所得税の場合)
ここからは、所得税の更正の請求を確定申告書等作成コーナーで行う手順を説明します。
つまずきやすいのは最初の入口です。更正の請求は通常の確定申告とは別の入口から入ります。項目の名前は端末によらず同じですが、トップ画面の構成が違うので位置が変わります。国税庁もスマホ・タブレット向けには別の案内を用意しています。
「提出した申告書に誤りがあった場合」から入る
確定申告書等作成コーナーのトップ画面で「提出した申告書に誤りがあった場合」を押します。通常の確定申告とは入口が違い、トップ画面の下のほうに置かれています。項目の名前はパソコンでもスマートフォンでも同じですが、トップ画面の構成が端末で異なるため、位置は変わります。画面を下までスクロールして探してください。
「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」を押す
「提出した申告書に誤りがあった場合」を押すと表示される画面で、「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」を選びます。ここから先はパソコンもスマートフォンも同じ流れです。
提出方法に関する質問に答える
「提出方法に関する質問」で、税務署への提出方法を選びます。マイナンバーカードを持っている場合は「スマートフォンを使用する」または「ICカードリーダライタを使用する」、持っていない場合は「e-Tax(ID・パスワード方式)」または「書面」を選びます。パソコンでは年分の選択より前にこの質問が表示され、スマートフォンでは「作成する年分・提出方法等の選択」として1つの画面にまとまります。
作成する年分を選んで作成開始
画面に表示されたラジオボタンから、更正の請求をしたい年分を選んで「作成開始」を押します。このあと、前の画面で選んだ提出方法に応じて、マイナンバーカードの読み取りや利用者識別番号の入力を行います。
確定申告書データを読み込む(持っている場合)
当初の申告を作成コーナーで行い、拡張子.dataの確定申告書データを保存している場合は、「ファイルを選択」から読み込みます。読み込むと当初の申告内容が引き継がれ、直したい項目だけの入力で済みます。データがない場合は所得金額や控除額を各画面で入力していきます。
「修正項目の選択」で直す項目を選ぶ
所得や控除の入力を終えると「修正項目の選択」画面が表示されます。ここで実際に訂正する項目を選び、続く「更正の請求・修正申告額の入力」画面で正しい金額を入力します。医療費控除の計上漏れなら医療費控除、所得金額の誤りなら該当する所得区分を選びます。
更正の請求をする理由を入力する
「更正の請求をする理由等の入力」画面で、なぜ更正の請求に至ったかを記載します。「確定申告時に医療費控除の適用を失念したため」のように、事実を簡潔に書けば足ります。長文にする必要はありません。
計算結果と還付口座を確認する
「計算結果の確認」画面で、更正前と更正後の税額の差額を確認します。金額を証拠書類と照らし合わせたうえで、還付金を受け取る口座(本人名義)を入力します。
電子署名を付与して送信する
送信前に更正の請求書のイメージを確認し、電子署名を付与して送信します。マイナンバーカード方式の場合はここでもう一度カードを読み取ります。送信が完了すると受信通知がメッセージボックスに届くので、控えとして保存してください。
順番で戸惑いやすいのが提出方法の選び方です。パソコン版の操作の手引きでは、年分を選ぶ前に「提出方法に関する質問」に答える流れになっています。スマートフォンでは「作成する年分・提出方法等の選択」という1つの画面にまとまります。
端末や年分によって画面の分かれ方が違うので、順番を覚えるより画面名を手がかりに進めてください。
送信後はe-Taxのメッセージボックスに「受信通知」が届きます。この受信通知は更正の請求書を税務署が受け付けたことの確認であり、審査結果の通知ではありません。審査結果は後日、別途通知されます。
確定申告書データがあるかどうかで手間が変わる
作成コーナーで当初の申告をしていれば、拡張子.dataの確定申告書データを読み込めます。読み込むと当初の申告内容が引き継がれるため、直したい項目だけを入力すれば済みます。
ただし古いデータは使えない場合があります。国税庁の操作の手引きでは、修正前の確定申告書データが令和6年分の作成コーナー公開日(2025年1月6日)より前に作成されたものである場合、すべての項目を改めて入力する必要があると案内されています。数年前の申告を直すときは、データがあっても手入力になる前提で進めてください。
データがない場合や書面で申告していた場合も、更正の請求はe-Taxで出せます。当初の申告書の控えを見ながら、所得金額や控除額を各画面で入力していきます。
送信後の審査と還付の流れ
e-Taxで更正の請求書を送信した後、税務署は内容の審査を行います。更正の請求は「出せば還付される」手続きではなく、税務署が更正をするかどうかを判断します。審査の期間は請求の内容によって変わるため、一律の目安はありません。
審査の結果、更正が認められた場合は「更正通知書」が届き、指定した口座に還付金が振り込まれます。振込時には「国税還付金振込通知書」がはがきで届くため、振込日と金額を確認してください。
更正が認められなかった場合は「更正をすべき理由がない旨の通知書」が届きます。この通知に納得できない場合は、通知を受けた日の翌日から3か月以内に、処分をした税務署長に対する「再調査の請求」か、国税不服審判所長に対する「審査請求」のいずれかを選べます(国税通則法第75条・第77条)。更正処分への不服申立て手続きで具体的な流れを確認できます。
審査状況の確認方法
e-Taxのメッセージボックスでは、更正の請求書の受付状況を確認できます。審査が完了すると「更正通知書」または「更正をすべき理由がない旨の通知書」がメッセージボックスに届く設定を選択できるため(電子通知の利用に同意している場合)、定期的に確認してください。電子通知を利用していない場合は書面で郵送されます。
法人税・消費税の更正の請求をe-Taxで行う場合
ここまで所得税を前提に説明しましたが、法人税や消費税の更正の請求もe-Taxで提出可能です。
法人税の場合
法人税の更正の請求は、e-Taxソフト(ダウンロード版)またはe-Taxソフト(WEB版)から行います。確定申告書等作成コーナーは個人の所得税・贈与税・消費税が対象のため、法人税には対応していません。
法人税の更正の請求には、国税庁様式の「更正の請求書(内国法人用)」を使います。現行様式には次葉があり、更正の請求をする理由などを記載します。記入方法は法人税の更正の請求書の書き方で詳しく解説しています。e-Taxソフトの帳票選択画面から「更正の請求書」を選択し、法定申告期限から5年以内(平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来するもの)に送信します。
法人がe-Taxで送信する場合は、法人の代表者の電子証明書で電子署名を行います(税理士による代理送信を除く)。
ここで誤解されやすいのが、使える電子証明書の範囲です。代表者のマイナンバーカードはそのまま使えます。商業登記認証局の電子証明書をわざわざ取得しなくても手続きは進みます。国税庁のよくある質問でも、法人が利用できる電子証明書として、代表者のマイナンバーカードとスマートフォンのマイナンバーカードに加え、商業登記認証局や民間認証局が発行する電子証明書が挙げられています。
代表者本人が署名できない事情がある場合は、電子委任状を添付することで、委任を受けた役員または職員の電子署名でも送信できます。
消費税の場合
消費税の更正の請求は、個人事業者であれば確定申告書等作成コーナーから、法人であればe-Taxソフトから提出します。
ここで注意したいのが端末です。スマートフォンとタブレットで作成できるのは所得税の更正の請求書と修正申告書だけで、消費税と贈与税はパソコンから作成する必要があります。
消費税で更正の請求が必要になる典型的なケースとして、仕入税額控除の計上漏れや、簡易課税制度の適用ミスが挙げられます。消費税の更正の請求期限も法定申告期限から5年以内です(国税通則法第23条第1項)。
大法人の電子申告義務化に更正の請求は含まれない
2020年4月以後に開始する事業年度から、資本金1億円超の大法人は法人税・消費税の電子申告が義務化されています。ただし義務化の対象手続は、申告書・中間申告書・仮決算の中間申告書・修正申告書・還付申告書です。更正の請求書はこの列挙に含まれていません。「大法人だから更正の請求も必ず電子で」と決めつけず、提出方法は該当手続の最新の案内で確認してください。
e-Taxでの更正の請求でよくあるトラブルと対処法
e-Taxでの手続きは便利な反面、操作上のトラブルで戸惑うことがあります。事前に把握しておくことで、手続きの中断や二度手間を防げます。
スマートフォンで画面が進まない・エラーになる

スマートフォンで作成コーナーに入ったのに操作が進まない場合、まず疑うのは端末側の表示設定です。iPadOS・iOSでは、Safariの「デスクトップ用Webサイトを表示」をオフにしてから作成コーナーを開くよう国税庁が案内しています。この設定がオンのままだと、スマートフォン向けの画面が正しく表示されません。
もう一つ、作成できる税目の制限もあります。スマートフォンとタブレットで作成できるのは、所得税の更正の請求書と修正申告書だけです。消費税と贈与税はパソコンから作成する必要があるため、スマートフォンで探しても該当する項目は出てきません。
これらに当てはまらない場合は、推奨環境から外れている可能性があります。国税庁の推奨環境ページで、使っている端末とブラウザのバージョンを確認してください。
マイナンバーカードが読み取れない
ICカードリーダーやスマートフォンでマイナンバーカードが読み取れない場合、まずカードの挿入方向とリーダーの接続状態を確認してください。スマートフォンで読み取る場合は、カードとスマートフォンのNFCの位置を合わせる必要があります。機種によってNFCの位置は異なります。機種名で読み取り位置を調べてから試してください。
それでも読み取れない場合は、利用者クライアントソフト(JPKI利用者ソフト)のバージョンが古い可能性があります。最新版にアップデートしてから再度試してください。
過去の申告データが読み込めない
e-Taxで過去の申告を行っていても、利用者識別番号が当時と現在で異なる場合(転居等で再取得した場合など)はデータの自動読み込みができないことがあります。この場合は、手元の申告書の控え(e-Taxのメッセージボックスに保存されている受信通知や申告書PDFも可)を参照しながら手入力で当初の申告内容を再現してください。
送信時にエラーが発生する
送信時のエラーは、電子証明書の有効期限切れやネットワーク接続の不安定さが主な原因です。マイナンバーカードの電子証明書は発行から5回目の誕生日で失効します。有効期限が切れていないか確認してください。失効している場合は、市区町村の窓口で更新手続きを行う必要があります。
入力途中でデータが消えた
確定申告書等作成コーナーでは、一定時間操作がないとセッションが切れてデータが失われることがあります。作業中はこまめに「入力データの一時保存」機能を使ってください。保存したデータは.dataファイルとしてダウンロードされ、次回アクセス時に読み込んで続きから作業できます。
書面提出との比較と使い分け
e-Taxと書面、どちらで更正の請求を提出するかは状況によって使い分けます。
e-Taxが向いているのは、パソコンやスマートフォンの操作に抵抗がなく、マイナンバーカードまたはID・パスワードを取得済みの方です。税務署に出向く時間を取りにくい場合はe-Taxが向いています。当初の申告をe-Taxで行っている場合は、過去の申告データを自動で読み込めるため、手入力の負担もほぼありません。
書面が向いているのは、e-Taxの利用環境が整っていない方や、添付書類が複雑で紙の原本を直接見せて説明したい方です。税務署の窓口であれば職員に質問しながら手続きを進められるため、記入内容に自信がない場合は窓口持参のほうが安心できることもあります。
| 比較項目 | e-Tax | 書面(窓口持参・郵送) |
|---|---|---|
| 提出場所 | 自宅のPC・スマートフォン | 管轄税務署(持参または郵送) |
| 受付時間 | 24時間(メンテナンス時間を除く) | 税務署の開庁時間(平日8:30~17:00) |
| 書類 | 一定の第三者作成書類は記載内容の入力で提出・提示を省略可(原則5年間は提示を求められることがある) | 書類を添付して提出 |
| 控えの扱い | 送信後に受信通知がメッセージボックスに残る | 2025年1月から収受日付印は押されない。自分で控えを保管する |
| 必要な機器 | PC+ICカードリーダー(またはスマートフォン) | 不要 |
e-Taxで完結できない場合の代替提出フロー
マイナンバーカードの不所持、利用者識別番号の失効、e-Taxシステム障害、認証エラーが解消しない場合など、e-Taxで手続きを完結できない場面があります。その場合は書面提出に切り替えることになりますが、PDF化が必要な添付書類の整理と、提出先・提出方法の選択を事前に押さえておくと、二度手間を避けられます。
e-Taxから書面提出へ切り替える判断基準
以下のいずれかに該当する場合は、e-Taxにこだわらず書面提出へ切り替えることを推奨します。
- マイナンバーカードの電子証明書の更新が直近で完了できない(市区町村窓口の予約が取れない等)
- ID・パスワード方式の利用者識別番号を紛失し、再発行に時間がかかる
- 申告期限まで日数が限られており、e-Taxの障害復旧を待つ余裕がない
- 添付書類が大量で、PDFスキャンの時間より郵送のほうが現実的
- 当初の申告が書面で行われ、複雑な計算根拠を紙ベースで税務署と共有したい
切り替えを判断する基準は「期限に間に合うか」と「証拠書類の見やすさ」の2点です。e-Taxでの手続きに時間を費やすより、確実に期限内に提出することを優先してください。
提出先の確定方法
書面提出の提出先は、納税地を所轄する税務署長です。所得税なら住所地、法人税なら本店所在地が原則の納税地になります。
引っ越しや本店移転をしている場合、「当初の申告を出した税務署へ」と考えてしまいがちですが、基準はあくまで現在の納税地です。異動届の提出状況とあわせて、どの税務署が所轄になるかを確認してください。
管轄税務署は国税庁ウェブサイトの「税務署の所在地などを知りたい方」検索ページから郵便番号・住所で確認できます。提出先を誤ると審査が遅れる主因となるため、宛先は事前に必ず確認してください。
添付書類のPDF化チェックリスト
e-Taxで送信する場合は添付書類のPDF化が必要です。書面提出の場合でも、税務署からの要請でPDFで再提出を求められるケースが増えています。控除類型別の添付書類を整理しておきます。
| 控除・修正項目 | 必要な添付書類 | PDF化の留意点 |
|---|---|---|
| 医療費控除 | 医療費の領収書、医療費通知(健保組合発行) | 1枚ずつスキャンせず「医療費控除の明細書」にまとめてPDF化 |
| 寄附金控除(ふるさと納税含む) | 寄附金受領証明書、自治体発行の証明書 | 自治体ごとにまとめてPDF化(年単位で1ファイル推奨) |
| 住宅ローン控除 | 借入金年末残高証明書、住民票、登記事項証明書 | 銀行発行の証明書は両面PDF化 |
| 雑損控除 | 罹災証明書、被害状況の写真、修理見積書 | 写真は解像度を落として軽量化(合計10MB以内目安) |
| 法人税の更正の請求 | 修正後の別表1・別表4、根拠資料 | 別表は税務ソフトから直接PDF出力 |
| 消費税の更正の請求 | 仕入税額控除の根拠書類、適格請求書(インボイス) | インボイスは登録番号が読み取れる解像度に |
PDF化はスマートフォンの「メモ」アプリやスキャンアプリでも対応できますが、解像度が低いと税務署から再提出を求められます。最低200dpi以上で、文字が読み取れる解像度を確保してください。
郵送提出と窓口持参の選択

書面提出には「郵送」と「窓口持参」の2つの方法があります。
郵送提出の場合は、配達記録が残る簡易書留または特定記録郵便を利用してください。普通郵便で送ると到着確認ができず、紛失時のリスクを負うことになります。
窓口持参の場合は、税務署の開庁時間(平日8:30〜17:00)に直接持参します。確定申告期間中(2月16日〜3月15日)は税務署が混雑するため、午前中早めの時間帯に出向くか、確定申告期間を外して提出するほうが待ち時間を抑えられます。
書面で出すときに気をつけたいのが控えの扱いです。2025年1月から、申告書等の控えへの収受日付印の押なつは行われなくなりました。更正の請求書も対象に含まれます。控えは自分で作成・保管し、提出年月日を記録しておいてください。当分の間の対応として、窓口では希望者に日付と税務署名を記載したリーフレットが交付され、返信用封筒を同封して郵送した場合も同様のリーフレットが返送されます。
確定申告期間中に持参する場合、税務署によっては事前予約制を導入しているケースがあります。事前に管轄税務署のウェブサイトで予約方法を確認してください。
システム障害時の対応
e-Taxは年に数回、計画メンテナンス以外の臨時停止が発生することがあります。特に確定申告期限直前の繁忙期はアクセス集中によりレスポンスが遅延しやすくなります。
期限直前にシステム障害が発生した場合は、国税庁が「期限延長」の措置を取ることがあります。期限当日にe-Taxが利用できない場合は、国税庁ウェブサイトのお知らせ欄を確認し、延長措置の有無を確認してください。延長措置がない場合は、当日中に書面で持参することで期限内提出と認められます。
更正の請求で注意すべき法的なポイント
虚偽の更正の請求に対する罰則
更正の請求書に虚偽の記載をした場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます(国税通則法第127条第2号)。控除額の水増しや架空の経費を計上しての更正の請求は、税金を取り戻すどころか刑事罰の対象になります。更正の請求は正当な権利として認められた手続きですが、あくまで事実に基づいた請求である必要があります。
更正の請求と税務調査の関係
更正の請求を提出すると、税務署は内容を審査するために必要に応じて質問や資料の提出を求めることがあります。これは更正の請求に対する審査であり、一般的な税務調査とは性質が異なります。正当な理由があり証拠書類が揃っていれば、電話や書面での簡易な確認で審査が完了するケースがほとんどです。
ただし、更正の請求を契機として過年度の申告全体に目が向けられ、別の論点で税務調査に発展する可能性はゼロではありません。だからといって正当な更正の請求を控える必要はありませんが、更正の請求の対象年分については、ほかの項目にも誤りがないか事前に確認しておくと安心です。
更正の請求の期限に関する特例
通常の更正の請求は法定申告期限から5年以内ですが、国税通則法第23条第2項に定める「後発的事由」に該当する場合は、その事由が生じた日から2か月以内に更正の請求が認められることがあります。後発的事由は限定されています。判決や和解で課税標準等の計算の基礎となった事実が異なることが確定した場合、他の人に帰属するものとして更正・決定があった場合、そのほか国税通則法施行令第6条が定めるやむを得ない理由がある場合などです。単に「あとから証拠書類が見つかった」というだけでは該当しません。
5年を超えて更正の請求を行いたい場合は、後発的事由に該当するか否かの判断が必要になるため、税理士に相談することを推奨します。
中小企業の経理担当者が押さえるべき実務ポイント
個人事業主の所得税だけでなく、法人の経理担当者が更正の請求を行う場面もあります。中小企業で特に多いケースと実務上の注意点を整理します。
更正の請求が必要になる典型的なケース
中小企業で更正の請求が発生しやすいのは、決算後に経理処理の誤りが判明するケースです。たとえば、減価償却費の計算で耐用年数の適用を間違えていた、交際費の損金算入限度額を誤って計算していた、所得拡大促進税制の適用要件を満たしていたのに申告書で記載を漏らしていた、といった事例があります。
消費税では、課税売上割合の計算誤りや、本来控除できた仕入税額を計上していなかったケースが典型的です。インボイス制度の下では、適格請求書の保存要件に起因する仕入税額控除の過少計上も更正の請求の原因になりえます。
税理士との連携
更正の請求の内容が複雑な場合(複数年分にまたがる、税額が大きい、法人税と消費税の両方に影響するなど)は、税理士に依頼したほうが確実です。税理士がe-Taxの代理送信機能を使って、納税者に代わって更正の請求書を提出することも可能です。
税理士に依頼する場合も、当初の申告書の控え、証拠書類、更正の請求に至った経緯の説明資料は経理側で準備してから相談すると、やり取りがスムーズになります。
住民税・事業税への波及を忘れずに
所得税や法人税の更正の請求が認められると、連動して住民税や事業税にも影響が出ます。所得税の更正が認められた場合は税務署から市区町村に情報が伝達され、住民税が減額更正されるのが通常の流れです。ただし、自動では反映されないケースもあるため、数か月経っても住民税の変更通知が届かない場合は市区町村の税務課に問い合わせてください。
まとめ
この記事の要点
- e-Taxを使えば自宅から24時間、更正の請求の手続きが完結する。添付書類の原本提出も省略可能
- 入口は確定申告書等作成コーナーの「提出した申告書に誤りがあった場合」。通常の確定申告とは別の入口で、スマートフォンはトップ画面の作り自体がパソコンと異なる
- パソコンでは年分より先に提出方法を選ぶ画面が出る。スマートフォンでは年分と提出方法が1画面にまとまる
- 確定申告書データがあれば読み込めるが、2025年1月6日より前に作成したデータは全項目の再入力が必要
- 法人の送信では代表者のマイナンバーカードがそのまま使える。商業登記の電子証明書は必須ではない
- 更正の請求は法定申告期限から5年以内が期限(国税通則法第23条)。虚偽の請求には罰則がある
更正の請求は「払いすぎた税金を取り戻す」納税者の正当な権利です。e-Taxなら税務署に出向かずに手続きを進められます。
操作の途中で不明点があれば、e-Tax・作成コーナーヘルプデスク(0570-01-5901)に電話で問い合わせられます。ここで対応してもらえるのは操作方法やエラーの解消で、税務相談や審査の処理状況は対象外です。
手続きの内容そのものに不安がある場合や、更正の請求の理由が複雑な場合は、税理士に相談したうえで進めてください。
財務改善ナビでは、中小企業の財務改善に関する実務的な情報を発信しています。資金繰りや財務体質の見直しについてはお問い合わせフォームからご相談いただけます。なお、税務申告・更正の請求書の作成・税務代理は税理士の業務です。個別の税額計算や税務署対応が必要な場合は税理士にご相談ください。
参考にした公式情報
画面名や操作の順序は、国税庁が公開している操作の手引きに沿って記載しています。作成コーナーの画面は年分ごとに更新されるため、実際の手続きの際は最新の案内をあわせてご確認ください。
- 作成コーナーで「更正の請求書」・「修正申告書」を作成したい(国税庁 e-Tax) — 確定申告書データの有無による手順の違い、スマートフォン・タブレット利用時の案内
- 【スマホ・タブレット】更正の請求書・修正申告書の入力方法(国税庁 e-Tax・PDF) — スマートフォンでの入口と画面遷移
- 更正の請求書・修正申告書作成編(確定申告書データをお持ちの場合)(国税庁・PDF) — 提出方法の選択から送信までの操作手順、古いデータを再入力する条件
- 更正の請求書・修正申告書作成編(確定申告書データをお持ちでない場合)(国税庁・PDF) — データがない場合の入力手順
- 法人が利用可能な電子証明書(国税庁 e-Tax よくある質問) — 法人の電子署名に使える証明書の範囲、電子委任状
- 所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続(国税庁) — 手続きの対象者、提出時期、提出先(納税地を所轄する税務署長)
- 確定申告書等作成コーナー(スマートフォン版トップ画面) — スマートフォンで作成できる税目、iPadOS・iOSの表示設定
- 令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて(国税庁) — 収受日付印の押なつ廃止と、提出事実の確認方法
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よくある質問
- Q. e-Taxで更正の請求をするにはマイナンバーカードが必須ですか?
- A. マイナンバーカード方式のほか、税務署で発行されるID・パスワード方式でもe-Tax利用が可能です。
- Q. 更正の請求をe-Taxで送信した場合、添付書類の原本提出は必要ですか?
- A. 所得税の一定の第三者作成書類は、記載内容を入力して送信すれば提出・提示を省略できます。ただし原則5年間、税務署から提示を求められることがあるため手元で保管してください。なお更正の請求では、請求の理由を証明する書類の添付が求められます。
- Q. e-Taxで更正の請求をした場合、還付金はいつ振り込まれますか?
- A. 更正の請求は税務署が内容を審査したうえで判断する手続きのため、還付までの期間は請求の内容によって変わります。国税庁が示す「e-Taxなら3週間程度」は通常の還付申告の目安で、更正の請求には当てはまりません。
- Q. 過去にe-Taxで確定申告していなくても更正の請求はe-Taxで出せますか?
- A. 出せます。当初の申告が書面でもe-Taxで更正の請求書を作成・送信できます。
- Q. e-Taxでの更正の請求に手数料はかかりますか?
- A. 手数料は一切かかりません。税務署への手続き自体は無料です。