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否認された、どうする?

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税務調査で否認された場合の対処法|指摘を受けたときの判断基準

税務調査で経費や処理を否認された場合の対処法を解説します。否認の根拠確認・修正申告か更正処分かの選択・不服申立ての手順まで、中小企業経営者が知るべき実務を整理します。更正処分後の不服申立て期限、再調査の請求・審査請求・訴訟までの流れ、税理士同席判断、加算税の軽減交渉余地まで解説。

税務調査で「この処理は認められません」と言われたとき、その場でどう対応すればいいのか。否認という言葉の重さに戸惑い、調査官の言うとおりに修正申告を進めてしまう経営者は少なくありません。

しかし、否認された指摘がすべて正しいとは限りません。税法の解釈には幅があり、調査官の判断が覆るケースも実際に存在します。本記事では、否認を受けたときの初期対応から、修正申告か更正処分かの選択まで、判断の流れを整理します。税務調査への事前準備については税務調査の事前準備チェックリストを、修正申告を断れるかどうかの判断については税務調査で修正申告を断ることはできる?をあわせてご覧ください。

否認とは何か

税務調査における「否認」とは、申告した内容の一部について、調査官が「税務上認められない」と判断することです。否認の対象は、経費の計上・売上の計上時期・棚卸資産の評価・減価償却の方法など多岐にわたります。

否認が確定すると、否認された金額に相当する税額が追徴されます。追徴税の構成は次のとおりです。

  • 本税(否認額に対する法人税・消費税等)
  • 過少申告加算税(原則10%、50万円を超える部分は15%)
  • 延滞税(法定納期限の翌日から完納日まで、年8.7%等)

隠蔽・仮装があったと認定された場合は、過少申告加算税に代えて重加算税(35%)が課されます(国税通則法第68条)。

否認された場合の初期対応

指摘の根拠を確認する

調査官から否認の指摘を受けたとき、まず確認すべきは「どの法令・通達に基づく指摘か」です。口頭で「認められない」と言われた場合も、根拠となる条文や通達の番号を教えてもらうよう求めることができます。

根拠が明示されない指摘や、過去の判例・裁決事例と矛盾する指摘は、反論できる余地があります。税理士に指摘内容を共有し、法的な妥当性を確認してもらいます。

その場で回答・同意しない

調査中に調査官から「この処理はどう思いますか」「修正申告してもらえますか」と求められても、その場で即答・同意する必要はありません。「税理士と確認してから回答します」と伝えるのが適切な対応です。

調査の場での発言は記録に残り、後の判断に影響することがあります。不確かな情報に基づく発言や、その場の雰囲気に流された回答は避けてください。

調査中の発言には注意が必要

調査官との会話の中で「そうですね、確かに処理が雑でした」「よくわからなかったので適当にやってしまいました」といった発言は、隠蔽・仮装の認定に使われるリスクがあります。事実に基づいた正確な発言を心がけ、不明な点は「確認します」と留保してください。

否認内容別の対処方針

証憑不足による否認

領収書・請求書などの証憑が不足していることを理由に否認された場合は、取引の事実を証明できる他の書類(銀行振込明細・発注書・納品書・メール等)で補完できないかを検討します。

支払いの事実を複数の書類で証明できれば、否認を覆せる可能性があります。取引先に証明書や取引確認書を発行してもらえる場合は、税理士を通じて調査官に提示します。

解釈の相違による否認

交際費と会議費の区分、役員退職金の適正額、貸倒損失の計上時期など、税法の解釈が複数成り立つ場合は不服申立てで争える余地があります。

特に、過去の裁判例や国税不服審判所の裁決事例(国税不服審判所のウェブサイトで公表されています)に自社に有利なものがある場合は、税理士を通じてそれを根拠として提示することができます。

計上ミス・期ズレによる否認

売上や費用の計上時期が誤っていた(期をまたいだ計上ズレ等)場合は、事実関係として否定しにくく、修正申告に応じる判断が現実的になります。ただし、否認額の計算に誤りがないかは必ず確認してください。

修正申告か更正処分か

否認された場合の選択肢は2つです。

修正申告に応じる場合は、申告内容を訂正して追徴税を納付します。手続きが早期に完了する反面、申告確定後は不服申立てが原則できなくなります(国税通則法第23条)。

更正処分を受けて争う場合は、修正申告を断り、税務署が職権で更正します。更正処分を受けると、再調査の請求(処分を知った日の翌日から3ヶ月以内)または審査請求(国税不服審判所、同様に3ヶ月以内)を行うことができます(国税通則法第75条)。

どちらを選ぶかは、指摘の内容・証拠の状況・争った場合の費用対効果を総合的に判断します。この判断は税理士に相談したうえで行ってください。

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まとめ

この記事のポイント

  • 否認を受けても、その場で同意・修正申告に応じる必要はない。まず根拠を確認する
  • 証憑不足は補完書類で対応できる場合がある。解釈の相違は不服申立てで争える余地がある
  • 修正申告に応じると不服申立てが原則できなくなる。否認内容に納得できない場合は税理士と相談してから判断する
  • 調査中の発言は記録に残る。不確かなことは「確認します」と留保する

よくある質問

Q. 税務調査で否認されたらすぐに修正申告しなければなりませんか?
A. いいえ。修正申告は任意であり、強制ではありません。指摘内容の根拠を確認し、税理士と相談したうえで、応じるかどうかを判断してください。
Q. 税務調査の否認を不服申立てで覆せますか?
A. 否認内容によります。税法の解釈が分かれる項目や、事実認定に誤りがある場合は不服申立てで納税者側が認められるケースがあります。一方、証憑の不備や明確な計上ミスの場合は覆すことが難しいです。
Q. 否認されると追徴税はいくらになりますか?
A. 追徴税は、否認された金額に対する本税(法人税・消費税等)に加え、過少申告加算税(原則10%、50万円超の部分は15%)と延滞税がかかります。隠蔽・仮装があったと認定された場合は重加算税(35%)が課されます。
Q. 税務調査で否認された場合、顧問税理士に責任はありますか?
A. 顧問税理士の処理に明らかな誤りがあり、それが否認につながった場合は、税理士賠償責任が問題になることがあります。ただし、税務判断は解釈の幅があるため、否認されたこと自体が直ちに税理士の責任とはなりません。顧問税理士と経緯を確認したうえで判断してください。

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