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修正申告、断っていいの?

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税務調査で修正申告を断ることはできる?応じる前に確認すること

税務調査で修正申告を求められても、必ず応じる義務はありません。修正申告を断る権利・断った場合のリスク・更正処分との違い・不服申立ての手順を解説します。更正処分との違い、不服申立て(再調査の請求・審査請求)の手順、加算税の取扱いの違い、応じる前に必ず確認すべき項目を整理しました。

税務調査が終わりに近づくと、調査官から「この部分は修正申告をお願いしたい」と言われることがあります。このとき、多くの経営者は断れるとは思わず、そのまま応じてしまうケースが少なくありません。

しかし、修正申告は納税者が自主的に行う申告行為です。調査官に求められたからといって、必ず応じなければならないわけではありません。本記事では、修正申告を断れる根拠、断った場合に何が起きるか、判断の分かれ目となるポイントを整理します。税務調査への事前準備については税務調査の事前準備チェックリストも参考にしてください。

修正申告は「断れる」のか

修正申告の法的位置づけ

修正申告とは、一度提出した申告書の内容に誤りや漏れがあった場合に、自ら訂正する手続きです(国税通則法第19条)。「自ら」という点が重要で、修正申告はあくまで納税者の意思に基づく行為です。

税務調査で指摘を受けた場合、調査官は「修正申告をしてください」と求めることができます。しかし、これは「勧奨」であり、命令ではありません。断ったからといって罰則があるわけではなく、断ること自体は適法です。

断った場合に起きること

修正申告を断ると、税務署側が職権で「更正処分」または「決定処分」を行います(国税通則法第24条・第25条)。更正処分は増額・減額どちらもあり得ますが、調査での指摘内容をもとに税額が増額されるケースがほとんどです。

更正処分を受けた場合と、修正申告に応じた場合の最大の違いは、不服申立ての可否にあります。

修正申告に応じた場合更正処分を受けた場合
税額の確定申告時点で確定処分通知時点で確定
不服申立て原則できない再調査の請求・審査請求・訴訟が可能
加算税過少申告加算税(10%等)過少申告加算税(10%等)
心証面自主申告として扱われる税務署が職権で更正

修正申告に応じると争えなくなる

修正申告書を提出すると、その内容で申告が確定します。国税通則法第23条に基づく更正の請求(申告額が多すぎた場合の訂正)はできますが、税務署の指摘内容が不当だったとして取り消しを求める不服申立ては原則としてできません。指摘に納得できない場合は、修正申告に応じる前に税理士と相談することが重要です。

修正申告を断るべきケースと応じるべきケース

断ることを検討すべきケース

調査官の指摘内容に法的・事実的な根拠がないと思われる場合は、修正申告に応じる前に立ち止まるべきです。

指摘が税法の解釈や通達の適用に関するもので、複数の解釈が成り立つ場合は争う余地があります。たとえば、交際費と会議費の区分、役員退職金の適正額の判断、貸倒損失の計上時期など、税務判断が分かれやすい項目は不服申立てで納税者が勝つケースも実際にあります。

また、帳簿・証憑があるにもかかわらず調査官が見落としていた場合や、指摘された金額に計算ミスがある場合も、すぐに修正申告に応じるべきではありません。

応じた方が現実的なケース

一方で、指摘内容が明らかに事実に基づいており、帳簿・証憑も不足していて反論の余地がない場合は、修正申告に応じて早期解決を図ることが合理的です。

否認への対処法の全体像については税務調査で否認された場合の対処法で詳しく解説しています。

更正処分を受けて不服申立てをする場合は、時間・費用・精神的な負担がかかります。勝てる見込みが低い場合に争い続けることは、コストに見合わない結果になりやすいです。

更正処分への対応手順

修正申告を断った場合、更正処分を受けた後の手続きの流れは次のとおりです。

更正処分の通知書が届いてから3ヶ月以内に「再調査の請求」を税務署長に対して行うか、直接「審査請求」を国税不服審判所に提起します(国税通則法第75条)。審査請求の期限は処分を知った日の翌日から3ヶ月以内です。

審査請求の裁決に不服がある場合は、裁決書が送達された日の翌日から6ヶ月以内に行政訴訟(取消訴訟)を提起できます。

期限に注意

再調査の請求・審査請求には期限があります。更正処分の通知を受けたら、すぐに税理士または税務調査に詳しい専門家に相談してください。期限を過ぎると争う手段が限られます。

判断に迷ったら専門家に相談する

修正申告に応じるかどうかは、指摘の法的根拠、証拠の有無、争った場合のコストと勝算を総合的に判断する必要があります。この判断は専門的な知識を要するため、調査官に即答するのではなく、必ず税理士に相談してから決断してください。

顧問税理士がいる場合は、調査中からコミュニケーションを取り、指摘内容の妥当性を一緒に検討してもらうことが基本です。顧問税理士がいない場合や、税務調査対応の経験が豊富な専門家に相談したい場合は、調査専門のサービスを活用する選択肢もあります。

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まとめ

この記事のポイント

  • 修正申告は納税者の自主的な行為。調査官に求められても断ることができる
  • 修正申告に応じると不服申立てが原則できなくなる。指摘に納得できない場合は慎重に
  • 断った場合は更正処分となり、再調査の請求・審査請求・訴訟で争うことができる
  • 応じるか断るかの判断は必ず税理士と相談してから行う

よくある質問

Q. 税務調査で修正申告を断ることはできますか?
A. はい、修正申告は納税者の自主的な申告行為であり、断ることができます。ただし、断った場合は税務署が「更正処分」を行います。更正処分を受けた場合は不服申立て(再調査の請求・審査請求)が可能です。
Q. 修正申告を断ると更正処分になりますか?
A. 調査官の指摘に納得できず修正申告に応じない場合、税務署は更正処分または決定処分を行います。更正処分には不服申立てができますが、修正申告に一度応じると原則として不服申立てができなくなります。
Q. 修正申告に応じた場合と更正処分を受けた場合で税額は変わりますか?
A. 税額自体は変わりません。ただし、更正処分を受けた場合は不服申立て(再調査の請求、国税不服審判所への審査請求、行政訴訟)の手段が残ります。修正申告に応じると、その申告内容で確定するため、後から争うことが原則としてできなくなります。
Q. 税務調査の修正申告を断った場合、加算税は高くなりますか?
A. 加算税の税率は、修正申告か更正処分かによって変わるわけではありません。ただし、更正処分の場合は過少申告加算税(原則10%)が課されます。自主的な修正申告で事前通知前に提出すれば加算税が免除される場合があります。
Q. 修正申告を断るかどうかは誰に相談すべきですか?
A. 顧問税理士に相談するのが基本です。顧問税理士がいない場合や、調査対応の経験が豊富な税理士に相談したい場合は、税務調査専門のサービスを活用することも選択肢です。

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