財務改善ナビ
未収金処理

勘定科目、正しく使えていますか

5分で読める

未収金・売掛金・未収入金の違いと使い分け|BS表示・仕訳・税務処理を経理実務で整理【2026年版】

未収金・売掛金・未収入金の違いと使い分けを解説。企業会計原則に基づく勘定科目の分類、BSでの表示区分、税務上の取扱い、実務で間違えやすいポイントを経理担当者向けにわかりやすくまとめました。3科目の使い分け早見表、勘定科目の判断フロー、税務調査で指摘されやすい誤計上パターンを実務目線で整理しました。

「未収金」「売掛金」「未収入金」。経理の実務では似た名前の勘定科目が複数登場し、どれをどの場面で使うべきか迷うことがあります。これらは会計上は明確に異なる勘定科目であり、使い分けを誤るとBSの表示が不正確になり、金融機関からの評価にも影響しかねません。

本記事では、これらの勘定科目の違いと使い分けの基準を、企業会計原則と実務慣行の両面から整理します。

3つの勘定科目の定義と違い

売掛金とは

売掛金は、本業(営業活動)の売上から生じた未回収の代金を計上する勘定科目です。商品の販売代金やサービスの提供料のうち、まだ入金されていないものが該当します。

企業会計原則の注解16では、売掛金は「営業取引に基づいて発生した債権」として分類されています。BSでは流動資産の部に表示され、営業活動のキャッシュフローの元となる重要な項目です。

具体例として、メーカーが商品を掛け売りした場合の代金、IT企業がシステム開発を完了して請求した報酬、飲食業が法人顧客に月末締めで請求する飲食代金などが売掛金に該当します。

未収入金(未収金)とは

未収金と未収入金は同じ勘定科目

未収入金は、本業以外の取引から生じた未回収の代金を計上する勘定科目です。「未収金」は未収入金の略称であり、両者は同じ意味で使われます。

本業以外の取引とは、会社の主たる営業活動に含まれない取引のことです。固定資産の売却代金、有価証券の売却代金、保険金の未収分、貸付金に係る未収利息、不動産の賃貸料の未収分(不動産業を本業としない場合)などが典型例です。勘定科目の選び方や仕訳パターンは未収金の勘定科目ガイドで詳しく解説しています。

売掛金と未収入金を区別する理由

売掛金と未収入金を区別する理由は、BSの読み手(金融機関、投資家、取引先)にとって、本業からの債権と本業外からの債権を分けて把握することが重要だからです。

売掛金が増加していれば、本業の売上が伸びていること、あるいは回収サイトが長期化していることが推測できます。一方、未収入金が増加している場合は、何らかの臨時的な取引が発生していることを示唆しています。この情報は、経営状態の分析において異なる意味合いを持ちます。

実務で間違えやすい判断ポイント

「本業」の判断基準

売掛金と未収入金の区分は「本業か否か」で判断しますが、何が本業に該当するかは会社の定款に記載された事業目的によって異なります。

たとえば、不動産の売却代金について考えてみます。不動産販売業の会社であれば、不動産の売却は本業に該当するため売掛金で計上します。しかし、製造業の会社が保有する土地を売却した場合は、本業外の取引であるため未収入金で計上するのが正しい処理です。

同様に、利息の受取りについても、金融業であれば売掛金に相当する勘定科目で処理しますが、一般事業会社であれば「未収利息」または「未収入金」として処理します。

未収収益との違い

未収入金と混同されやすいものに「未収収益」があります。未収収益は、継続的なサービスの提供に基づいて時間の経過とともに発生する収益のうち、まだ対価の支払いを受けていないものです(企業会計原則注解5)。

具体的には、貸付金に係る未収利息、不動産の未収賃貸料(経過勘定として計上すべきもの)などが未収収益に該当します。未収収益は経過勘定項目として、未収入金とは区別して表示するのが原則です。

ただし、中小企業の実務では、金額の重要性が低い場合に未収収益を未収入金に含めて処理しているケースも見られます。

BSでの表示区分

売掛金はBSの流動資産に表示します。未収入金も、支払期日から1年以内に回収が見込まれるものは流動資産に表示します。

1年超の未収入金は長期未収入金へ振替が必要

支払期日から1年以上経過しても回収できていない未収入金は、1年基準(ワンイヤールール)に基づき、固定資産の投資その他の資産に「長期未収入金」として振り替える必要があります。

この振替を怠ると流動資産が過大に表示され、流動比率などの財務指標が実態より良く見えてしまいます。

仕訳例で違いを確認する

実際の仕訳を見ると、勘定科目の違いがより明確になります。

売掛金の仕訳(本業の売上)

IT企業がシステム開発を完了し、200万円を請求した場合:

発生時:(借方)売掛金 2,000,000 /(貸方)売上 2,000,000

入金時:(借方)普通預金 2,000,000 /(貸方)売掛金 2,000,000

未収入金の仕訳(本業以外の取引)

製造業の会社が不要になった社用車を50万円で売却し、代金が未入金の場合:

発生時:(借方)未収入金 500,000 /(貸方)車両運搬具 300,000 + 固定資産売却益 200,000

入金時:(借方)普通預金 500,000 /(貸方)未収入金 500,000

未収収益の仕訳(時の経過で発生する収益)

決算日時点で、貸付金の利息3万円が未収の場合:

決算時:(借方)未収収益 30,000 /(貸方)受取利息 30,000

翌期首(再振替仕訳):(借方)受取利息 30,000 /(貸方)未収収益 30,000

未収収益は経過勘定であるため、翌期首に再振替仕訳を行う点が未収入金と異なります。未収入金は再振替の対象にはなりません。

税務上の取扱い

貸倒損失の計上要件

売掛金と未収入金は勘定科目が異なりますが、貸倒れに関する税務上の取扱いは基本的に共通です。法人税基本通達9-6-1から9-6-3に定める要件を満たせば、いずれの債権についても貸倒損失として損金算入が認められます。

ただし、通達9-6-3の形式基準(取引停止後1年以上経過した場合の貸倒れ)は、継続的な取引に基づいて発生した売掛債権に適用が限定されています。未収入金(本業外から生じた債権)にこの形式基準を適用することはできない点に注意が必要です。

貸倒引当金の設定

法人税法上、一括評価で貸倒引当金を設定する場合の対象となる「一括評価金銭債権」には、売掛金と未収入金の両方が含まれます。ただし、中小法人に適用される法定繰入率による計算を行う際の実績繰入率の算定にあたっては、対象債権の範囲を正しく把握しておく必要があります。

まとめ

未収金・売掛金・未収入金の違い

  • 売掛金は本業の売上から生じた債権、未収入金(未収金)は本業以外の取引から生じた債権で、定款の事業目的を基準に区分する
  • 未収入金は1年超未回収のものを固定資産(長期未収入金)に振り替え、流動比率の正確性を確保する
  • 貸倒損失の形式基準(通達9-6-3)は売掛債権のみに適用され、未収入金は9-6-1または9-6-2の要件で判断する

長期化した未収金は、未収金買取という選択肢もあります。処理方針に迷う場合は、無料相談からご相談ください。

よくある質問

Q. 未収金と未収入金は同じものですか?
A. はい、同じ勘定科目です。正式な勘定科目名としては『未収入金』が一般的ですが、実務上は『未収金』と略称で呼ばれることが多く、どちらも同じ意味で使われています。本業以外の取引から生じた債権を計上する勘定科目です。
Q. 売掛金と未収入金はどちらもBSの流動資産ですか?
A. 売掛金は原則として流動資産に計上されます。未収入金も正常な営業循環内のものは流動資産に表示しますが、支払期日から1年以上経過しても回収できていないものは固定資産(投資その他の資産)の『長期未収入金』に振り替えるのが適切です。
Q. 売上に対する対価なのに売掛金ではなく未収入金で計上するケースはありますか?
A. 本業の売上に対する対価であれば売掛金で計上するのが原則です。ただし、不動産業における不動産の売却は本業に該当するため売掛金となりますが、製造業の会社が保有する不動産を売却した場合は本業外の取引であるため未収入金となります。本業か否かは会社の事業目的によって判断します。
Q. 未収入金が回収できなくなった場合、どのように処理しますか?
A. 回収不能が確定した場合は貸倒損失として費用計上します。税務上は法人税基本通達9-6-1(法律上の貸倒れ)または9-6-2(事実上の貸倒れ)の要件に該当する必要があります。なお、取引停止後1年以上経過した場合の形式基準(通達9-6-3)は売掛債権のみに適用されるため、未収入金には適用できない点に注意が必要です。

もっと読む

回収が止まった未収金を、売却対象として確認する

長期滞留している売掛金・未収金は、買取で整理できる場合があります。債権の種類、件数、滞留期間をもとに概算可否を確認します。

未収債権の買取可否を確認する