「未収金」「売掛金」「未収入金」。決算のたびに、どれで計上すべきか手が止まる科目です。名前が似ているうえ、実務では未収金と未収入金が同じ意味で使われるので、余計に見分けがつきにくくなっています。

区分を間違えると、貸借対照表の表示がずれるだけでは済みません。貸倒引当金の対象に入るかどうか、貸倒れたときに消費税額を控除できるかどうかまで変わります。しかもその判定は勘定科目の名前ではなく、その債権がどんな取引から生まれたかで決まります。

この記事では、3つの科目の違いと使い分けを、財務諸表等規則と法人税基本通達の条文にあたって整理します。あわせて、同じ「未収入金」でも税務上の扱いが分かれる場面まで踏み込みます。

3科目の違いを一枚で

先に結論を表にします。

売掛金未収入金(未収金)未収収益
どんな取引か通常の取引に基づく営業上の未収金営業上の未収金にあたらない取引継続して役務を提供し、対価が未収のもの
収益の計上履行義務を充足した時、又は充足するにつれて取引の内容により、権利と金額が確定した時時の経過に応じて
典型例商品売上、システム開発の報酬固定資産の売却代金、保険金貸付金の未収利息、未収賃料
BSの表示流動資産に独立掲記(破産更生債権等で1年内に回収されないことが明らかなものを除く)1年内に現金化できるものは流動資産の「その他」流動資産
期首の再振替しないしない行うのが一般的(経過勘定)
根拠財規15条3号・17条1項3号財規15条12号・17条1項12号財規16条/企業会計原則注解5

未収収益として認識したものでも、それが営業上の未収金であれば貸借対照表では売掛金として表示します。認識の科目と表示区分は必ずしも一致しません。

未回収の代金をどの科目で計上するか時の経過で収益が発生する継続的な役務かはい未収収益注解5・財規16条翌期首に再振替いいえ営業上の未収金にあたるかはい売掛金財規15条3号いいえ未収入金(未収金)財規15条12号未収収益のうち営業上の未収金にあたるものは、貸借対照表では売掛金として表示する
勘定科目の判定フロー(財務諸表等規則第15条・第16条、企業会計原則注解5)。貸借対照表の表示区分は後掲の図を参照

それぞれの定義

売掛金

売掛金は、本業の営業取引から生じた未回収の代金です。商品の販売代金やサービスの提供料のうち、まだ入金されていないものが該当します。

法令の文言が、この記事の主題をそのまま説明しています。財務諸表等規則15条3号は、売掛金を「顧客との契約から生じた債権その他の通常の取引に基づいて発生した営業上の未収金」と定義しています。売掛金とは、法令上「営業上の未収金」のことです。未収金という言葉が本業のものにも本業外のものにも使われるので混乱しますが、条文はこう整理しています。

メーカーが商品を掛け売りした代金、IT企業がシステム開発を完了して請求した報酬、飲食業が法人顧客に月末締めで請求する飲食代金は、いずれも売掛金です。

未収入金(未収金)

実務では未収金と未収入金を同じ意味で使う

未収入金は、通常の取引以外から生じた未回収の代金を計上する勘定科目です。会計実務では「未収金」をこの未収入金の略称として使うことがほとんどです。ただし法令の文言としての「未収金」はもっと広く、財務諸表等規則15条3号は売掛金を「営業上の未収金」と表現しています。以下この記事で「未収金」というときは、実務上の呼び方としての未収入金を指します。

本業以外の取引とは、会社の主たる営業活動に含まれない取引です。固定資産の売却代金、有価証券の売却代金、受け取るべき保険金が典型例です。いずれも一時的な取引から生じるもので、時の経過に応じて積み上がる未収賃料や未収利息は次に述べる未収収益にあたります。勘定科目の選び方や仕訳パターンは未収金の勘定科目ガイドで詳しく解説しています。

未収収益

未収収益は経過勘定項目のひとつです。企業会計原則注解5は「一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、既に提供した役務に対していまだその対価の支払を受けていないもの」と定めています。この定義に本業かどうかの限定はありません。

貸付金の未収利息、不動産の未収賃貸料が代表例です。未収入金との分かれ目は「時の経過に応じて収益が発生するか」で、一時的な取引の代金は未収入金、期間に応じて積み上がっていくものは未収収益になります。

ここで、収益を認識するときの勘定科目と、貸借対照表での表示区分は分けて考える必要があります。継続的な役務提供が通常の取引にあたり、その未収額が営業上の未収金といえる場合、財務諸表等規則15条3号の売掛金として表示されます。不動産賃貸業の会社が受け取る未収賃料がこれにあたります。

なお企業会計原則注解1は、重要性の乏しいものについて経過勘定項目として処理しないことを認めています。金額が小さい未収利息などを期末に計上しない扱いは、これによります。

貸方側との対応関係

借方だけ覚えても混乱は解けません。負債側にも同じ構造の科目があり、対応させて理解すると迷いにくくなります。

資産(受け取る側)負債(支払う側)
通常の取引に基づく営業上のもの売掛金買掛金
それ以外の一時的な取引未収入金未払金
それ以外の継続的な役務未収収益未払費用

「継続的な役務か」「営業上のものか」という2つの問いは、資産側でも負債側でも同じように使えます。なお資産側と同じく、未払費用として認識したものが営業上のものであれば、貸借対照表では買掛金として表示されます。

本業かどうかの判断基準

判断の拠り所は財務諸表等規則8条2項

売掛金と未収入金の区分は「本業か否か」で決まりますが、何が本業かは会社ごとに違います。財務諸表等規則8条2項は「通常の取引」を、事業目的のための営業活動において、経常的に又は短期間に循環して発生する取引と定義しています。事業目的への記載の有無だけでなく、実際の営業活動として反復しているかまで見ます。

不動産の売却代金で考えてみます。不動産販売業の会社であれば、不動産の売却は本業なので売掛金です。しかし製造業の会社が保有する土地を売却したなら、本業外の取引なので未収入金になります。同じ「土地を売って代金が未回収」という事実でも、会社が違えば科目が変わります。

利息の受取りも同じです。金融業であれば本業の収益ですが、一般の事業会社が取引先へ貸し付けた資金の利息は営業上のものではないため、未収収益として処理します。

判断が割れやすいケース

迷ったときに確認する順序

①収益が時の経過に応じて発生する継続的な役務か(あてはまれば未収収益) ②あてはまらないなら、その債権が「通常の取引」に基づく営業上の未収金か(事業目的のための営業活動で、経常的または短期間に循環して発生しているか) ③その債権が益金に算入済みか(税務の判定に効きます)。①②で会計上の科目が決まり、③が後述する貸倒引当金の判定に効いてきます。なお①で未収収益にあたるものでも、それが営業上の未収金であれば貸借対照表では売掛金として表示します。

助成金・補助金の未収計上は、会計上は未収入金でよいのですが、後述するとおり税務では別扱いになります。保険金も、受取額が確定した時点で未収入金に計上します。損害賠償金は、金額が確定して益金に算入した時点で計上します。

貸借対照表のどこに載るか

この節が引く財務諸表等規則について

財務諸表等規則は、金融商品取引法により提出される財務書類の用語・様式・作成方法を定めた規則です(同規則1条)。中小企業の計算書類は会社法の会社計算規則によりますが、流動資産と固定資産をどう分けるかの考え方は実務で広く参照されるため、この記事では財務諸表等規則の条文を根拠に説明します。

売掛金は独立掲記、未収入金はその他に含める

財務諸表等規則17条1項は、流動資産をどの項目に区分して掲記するかを定めています。売掛金は3号として独立した科目で掲記されますが、17条1項に未収入金という項目はなく、12号の「その他」に含まれます。決算書上の見え方が違う、というのが両者を分ける実務的な意味のひとつです。

ただし同規則の様式第五号(貸借対照表)を見ると、流動資産の表示科目として、未収収益・短期貸付金・株主役員従業員に対する短期債権と並んで「未収入金」が挙げられています。区分としては「その他」でも、金額が大きくなれば独立した科目として表に出てくるということです。

ただし「その他」に入れたままでよいとは限りません。同19条は、17条1項12号に属する資産のうち未収収益・短期貸付金・株主や役員・従業員に対する短期債権その他の資産について、その金額が資産の総額の100分の5を超えるものは、名称を付した科目で掲記しなければならないと定めています。金額が大きくなれば独立掲記が必要です。同17条2項も、別に表示することが適当と認められるものの別掲を妨げていません。

未収入金が流動資産になる根拠は15条12号の「その他の資産で一年内に現金化できると認められるもの」です。売掛金のように営業循環にあることを理由に流動資産になるのではなく、1年内に回収できるかどうかで判定します。

未収収益には期間の限定がない

見落としやすいのが財務諸表等規則16条です。この条文は「前払費用で一年内に費用となるべきもの及び未収収益は、流動資産に属する」と書いています。前払費用には1年内という限定が付いているのに、未収収益には付いていません。条文の書き分けとして、未収収益は期間で切らずに流動資産とされています。

1年内に回収できないものは固定資産へ

支払期日を過ぎても回収できず、1年内の回収が見込めなくなった未収入金は、15条12号の要件を満たさなくなります。この場合は財務諸表等規則31条7号の「流動資産、有形固定資産、無形固定資産又は繰延資産に属するもの以外の長期資産」として、投資その他の資産に区分します。実務では「長期未収入金」の科目を使います。

この振替を怠ると流動資産が過大に表示され、流動比率などの財務指標が実態より良く見えてしまいます。

破産更生債権等は売掛金から外れる

もうひとつ、流動・固定の振替とは別の論点があります。財務諸表等規則15条3号の売掛金の定義には「ただし、破産更生債権等で一年内に回収されないことが明らかなものを除く」というただし書きが付いています。

つまり取引先が法的整理に入り、1年内に回収できないことがはっきりした債権は、そもそも売掛金として表示しません。投資その他の資産に「破産更生債権等」として掲記します(同32条1項10号)。ここで科目が移るのは、破産更生債権等にあたり、かつ1年内に回収されないことが明らかなものです。単に支払が遅れているだけの売掛金が、それだけで破産更生債権等になるわけではありません。

債権は貸借対照表のどこに載るか流動資産売掛金17条1項3号。営業上の未収収益を含む未収入金12号「その他」に含める未収収益16条・期間の限定なし投資その他の資産長期未収入金1年内に回収できない分31条7号の長期資産破産更生債権等32条1項10号で独立掲記売掛金の定義から除かれる(15条3号ただし書)
債権のBS区分(財務諸表等規則第15条・第16条・第17条・第31条・第32条)

仕訳例で違いを確認する

以下はいずれも税抜経理を前提とし、消費税額の仕訳を省略した簡略例です。実務では課税取引について仮受消費税等を計上します。

売掛金(本業の売上)

IT企業がシステム開発を完了し、200万円を請求した場合です。

発生時:(借方)売掛金 2,000,000 /(貸方)売上 2,000,000

入金時:(借方)普通預金 2,000,000 /(貸方)売掛金 2,000,000

未収入金(固定資産の売却)

製造業の会社が、帳簿価額30万円の社用車を50万円で売却し、代金が未入金の場合です。

発生時:(借方)未収入金 500,000 /(貸方)車両運搬具 300,000、固定資産売却益 200,000

入金時:(借方)普通預金 500,000 /(貸方)未収入金 500,000

未収入金(保険金)

火災で損害を受け、保険会社から支払額100万円の通知を受けたが入金が翌期になる場合です。

金額確定時:(借方)未収入金 1,000,000 /(貸方)受取保険金 1,000,000

保険金は、保険契約上の支払請求権が成立し、金額が合理的に確定した時点で計上します。査定中で金額が固まっていない段階では計上しません。なお損害を受けた資産そのものの除却・評価損の処理は、この仕訳とは別に必要です。

未収収益(貸付金の利息)

決算日時点で、取引先への貸付金の利息3万円が未収の場合です。

決算時:(借方)未収収益 30,000 /(貸方)受取利息 30,000

翌期首:(借方)受取利息 30,000 /(貸方)未収収益 30,000

未収収益は経過勘定なので、翌期首に再振替仕訳を行う方法が一般的です(入金時に未収収益を直接消し込む方法もあります)。未収入金にはこの処理がありません。ここが実務上いちばん分かりやすい違いです。

買掛金との相殺

同じ相手に対して未収入金と買掛金の両方がある場合、相殺できます。根拠は民法505条1項で、二人が互いに同種の目的を有する債務を負担し、双方の債務が弁済期にあるときに、対当額について相殺できると定めています。

相殺は当事者の一方から相手方への意思表示によって行い、条件や期限を付けることはできません。効力は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼって生じます(民法506条)。

仕訳:(借方)買掛金 200,000 /(貸方)未収入金 200,000

ただし、債務の性質が相殺を許さないときは相殺できません(同条1項ただし書)。当事者が相殺を禁止または制限する意思表示をしている場合もあります(同条2項)。契約書に相殺禁止の定めがないかを先に確認してください。制約がなければ相手方の同意がなくても意思表示だけで成立しますが、実務では認識のずれを防ぐため、相殺する旨と金額を記載した通知を書面で残します。

税務の扱いは科目名では決まらない

ここからが、会計上の区分と別に押さえておく必要がある部分です。同じ「未収入金」でも、税務では扱いが分かれます。

貸倒損失の形式基準は売掛債権だけ

回収不能が確定した場合、貸倒損失として損金算入できます。要件は法人税基本通達9-6-1(法律上の貸倒れ)、9-6-2(事実上の貸倒れ)、9-6-3(形式上の貸倒れ)に定められています。詳しい計上要件は未収金の会計処理で整理しています。

このうち9-6-3の形式基準は、売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときに認められる取扱いで、次の2つの場合を定めています。(1)債務者との取引を停止した時(最後の弁済期または最後の弁済の時が取引停止より後であれば、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(担保物のある売掛債権を除く)。(2)同一地域の債務者について有する売掛債権の総額が取立てに要する旅費その他の費用に満たない場合に、支払を督促しても弁済がないとき。起算点は取引を止めた日とは限らない点に注意してください。通達は売掛債権を「売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない」と定義しています。

貸付金その他これに準ずる債権は、通達が明文で除いています。製造業の会社が社用車を売った代金のように、営業取引から生じたのではない未収入金も、売掛金・未収請負金に準ずる債権とはいえないため対象になりません。判定するのは帳簿上の科目名ではなく、その債権が売掛債権にあたるかどうかです。対象にならない債権について貸倒損失を計上するには、9-6-1か9-6-2の要件を個別に満たす必要があります。

売掛金でも形式基準が使えない場合がある

通達9-6-3の(注)は、(1)の取引の停止とは「継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合」をいうと述べ、不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対する売掛債権にはこの取扱いの適用がないとしています。科目が売掛金でも、単発の取引なら(1)は使えません。

貸倒引当金の対象になる未収金とならない未収金

まず前提として、法人税法52条による貸倒引当金の損金算入ができるのは、同条1項各号が定める法人に限られます。資本金1億円以下の中小法人等が中心ですが、同号は投資法人・特定目的会社を除き、大法人の100%子法人なども対象から外しています。また完全支配関係にある法人に対する債権は、一括評価金銭債権に含まれません(同条9項2号)。自社が適用法人にあたるかは条文を確認するか顧問税理士にご相談ください。以下は適用法人であることを前提に、債権の範囲だけを扱います。繰入限度額の計算は未収金の会計処理で扱っています。

そのうえで同条2項は、一括評価金銭債権を「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」と定めています。未収入金がここに入るかどうかは、その中身によって変わります。

一括評価金銭債権に含まれる主な例(11-2-16)含まれない主な例(11-2-18)
未収の譲渡代金・未収加工料・未収請負金・未収手数料・未収保管料・未収地代家賃、貸付金の未収利子で益金に算入されたもの預貯金や公社債の未収利子、未収配当
他人のために立替払をした立替金保証金、敷金、預け金
未収の損害賠償金で益金に算入されたもの手付金、前渡金
保証債務を履行した場合の求償権前払給料、概算払旅費などの一時的な仮払金・立替金
法令に基づき交付を受ける給付金等の未収金
仕入割戻しの未収金

固定資産を売った代金の未収分は「未収の譲渡代金で益金に算入されたもの」として、債権の範囲のうえでは対象に入ります。一方、差し入れた保証金や敷金、雇用保険法などの法令に基づき交付を受ける給付金等(雇用調整助成金など)の未収計上額は対象外です。どちらも帳簿上は未収入金で並んでいますが、繰入限度額の計算では扱いが違います。

通達11-2-18の(注)は、仮払金等として計上されている金額はその実質的な内容に応じて判定すると述べています。科目名ではなく中身で見る、というのが通達の立場です。

消費税の貸倒れ控除は課税取引の債権に限られる

債権が貸倒れたとき、その税込価額に含まれる消費税額を控除できる制度があります(消費税法39条1項)。

条文が定める前提は4つあります。消費税を納める義務が免除される事業者でないこと、国内において課税資産の譲渡等(消費税が免除されるものを除く)を行ったこと、その相手方に対する売掛金その他の債権について更生計画認可の決定による債権の切捨てその他これに準ずるものとして政令で定める事実が生じたこと、そしてそのために税込価額を領収できなくなったことです。

そのうえで対象かどうかは、売掛金か未収入金かではなく、もとの取引が課税取引だったかで決まります。原則的な扱いは次のとおりです。

  • 商品売上の売掛金 — 課税取引なので対象
  • 固定資産(車両・機械など)の売却代金の未収入金 — 課税取引なので対象
  • 有価証券の売却代金の未収入金 — 非課税取引(消費税法6条1項・別表第二)なので対象外
  • 貸付金の元本 — 利子を対価とする金銭の貸付けは非課税取引であり、元本は課税資産の譲渡等の対価ではないので対象外

この控除を受けるには、上記の事実が生じたことを証する書類の保存が必要です(同条2項)。

決算で確認すること

回収可能性と1年基準

期末の残高について、支払期日をどれだけ過ぎているかを取引先ごとに確認します。1年内の回収が見込めないものは長期未収入金へ振り替えます。法的整理に入った先の債権のうち、1年内に回収されないことが明らかなものは破産更生債権等へ振り替えます。

消滅時効

債権は、権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年で時効消滅します(民法166条1項)。取引上の債権は通常、期日を知っているので5年です。時効は、債務者などの当事者が援用しなければ、裁判所がそれによって裁判をすることはできません(民法145条)。逆にいえば援用されれば請求は認められなくなります。長期間動いていない残高は、時効の完成が近いかどうかを確認してください。自社での回収が難しい場合は、内容証明による督促やサービサーへの債権譲渡、未収金の買取といった選択肢があります。

計上漏れと二重計上

未収入金は本業以外の一時的な取引で発生するため、営業債権のように毎月の締め処理で自動的には拾われません。固定資産の売却、保険金、助成金の交付決定は、発生の都度メモを残して決算で突き合わせます。逆に、入金時に売上として処理してしまい、既に計上していた未収入金が消えずに残る二重計上も起こります。

まとめ

この記事の要点

  • 売掛金は「通常の取引に基づいて発生した営業上の未収金」(財規15条3号)。通常の取引とは、事業目的のための営業活動で経常的または短期間に循環して発生する取引(同8条2項)
  • 未収収益は継続して提供した役務の未収対価(企業会計原則注解5)。定義に本業かどうかの限定はない。収益を認識する科目と、貸借対照表での表示区分は分けて考える
  • 財務諸表等規則15条3号は売掛金を「営業上の未収金」と定義している。未収金という言葉が両方に使われるのは、この定義を知ると整理しやすい
  • 売掛金は流動資産に独立掲記、未収入金は「その他」。1年内に回収できないものは投資その他の資産へ
  • 破産更生債権等で1年内に回収されないことが明らかなものは、売掛金の定義から除かれる(長期売掛金にはならない)
  • 貸倒損失の形式基準(通達9-6-3)は売掛債権に限られる。貸付金は明文で除かれ、営業取引から生じていない未収入金も対象外
  • 貸倒引当金の一括評価に入る未収金と入らない未収金がある。保証金・敷金や、法令に基づく給付金等の未収金は対象外
  • 消費税の貸倒れ控除は、もとの取引が課税取引だったかで決まる。有価証券の売却代金は対象外

科目の使い分けに迷う場面の多くは、「本業か」「継続的な役務か」「益金に算入済みか」の3つで整理できます。滞留している債権が積み上がっている場合は、科目の整理と並行して回収可能性の見直しが必要です。売却も含めて検討するなら債権売却の相場と買取とファクタリングの違いを確認してください。財務改善ナビでは、債権の実態把握から資金繰りの改善まで無料でご相談を承っています。個別の税額計算や制度の適用可否といった税務判断は税理士が行いますので、必要に応じてご紹介します。

出典