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建設業が使える支援制度

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建設業で使える補助金・助成金まとめ

建設業向けの補助金・助成金を網羅的に解説。ものづくり補助金、事業再構築補助金、建設キャリアアップシステム関連の助成金など、中小建設業者が活用できる制度と申請のポイントをまとめました。

建設業は、設備投資や人材育成に多額の資金を必要とする業種です。重機の購入、ICT施工の導入、若手人材の確保と育成など、事業を成長させるためのコストは年々増加しています。こうした資金需要を補うために、国や自治体が用意する補助金・助成金を積極的に活用することが経営戦略上の重要な選択肢となります。

本記事では、建設業者が申請可能な主要な補助金・助成金を整理し、申請時のポイントや注意点を解説します。

建設業で活用できる主な補助金

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

ものづくり補助金は、中小企業庁が所管する補助金で、革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善に要する設備投資を支援する制度です。建設業者の場合、ICT建機の導入、BIM/CIMソフトウェアの整備、ドローン測量機器の購入などが対象経費となり得ます。

補助上限額は一般型で750万円から1,250万円(従業員数による)、補助率は中小企業で2分の1、小規模事業者で3分の2です。申請にはGビズIDプライムアカウントが必要であり、事前に取得しておく必要があります。

建設業者が採択されるためのポイントとしては、単なる設備更新ではなく「革新性」を打ち出すことが求められます。たとえば、ICT施工の導入によって工期を何パーセント短縮できるか、施工精度がどの程度向上するかといった数値目標を具体的に記載することが重要です。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新分野展開・業態転換・事業再編などに取り組む中小企業を支援する制度です。建設業者が住宅リノベーション事業に参入する、空き家再生事業を新たに立ち上げるといった「思い切った事業再構築」が対象となります。

補助上限額は類型によって異なりますが、成長枠で最大7,000万円(従業員数による)と規模が大きいのが特徴です。ただし、単なる既存事業の延長線上にある投資は対象外となるため、新規性・市場性を明確に示す事業計画が必要です。

建設業者の申請事例としては、解体業者がリサイクル事業に参入するケース、住宅建築業者が高齢者向けサービス付き住宅の運営に乗り出すケースなどが採択されています。

小規模事業者持続化補助金

従業員20人以下の建設業者が利用しやすい補助金です。販路開拓に必要な経費として、ウェブサイトの制作費、展示会出展費、チラシ・パンフレットの作成費などが補助対象となります。

一般型の補助上限額は50万円、補助率は3分の2です。特別枠(賃金引上げ枠、卒業枠など)では上限額が200万円に引き上げられます。申請手続きが比較的簡易であり、商工会議所や商工会の支援を受けながら作成できる点も中小建設業者にとって利用しやすい制度です。

IT導入補助金

建設業のDX推進を後押しする補助金として、IT導入補助金の活用も有効です。施工管理ソフト、原価管理システム、勤怠管理ツール、クラウド会計ソフトなどのITツール導入費用が補助対象となります。

通常枠の補助額は5万円から450万円、補助率は2分の1です。セキュリティ対策推進枠やデジタル化基盤導入枠など、目的に応じた複数の枠が設けられています。

建設業界ではいまだに紙の図面や手書きの日報が使われているケースも多く、IT導入補助金を活用してデジタル化を進めることで、生産性の向上と人手不足への対応を同時に実現できます。

建設業向けの助成金制度

人材確保等支援助成金(建設キャリアアップシステム等普及促進コース)

厚生労働省が所管する助成金で、建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入や、技能者の処遇改善に取り組む建設事業主を支援します。CCUSへの事業者登録、技能者登録、カードリーダーの設置費用などが助成対象です。

国土交通省は建設業界全体のCCUS普及を推進しており、公共工事の入札においてCCUS活用を評価項目とする発注機関も増えています。助成金を活用してCCUSの導入コストを抑えつつ、入札競争力を高めるという二重の効果が期待できます。

人材開発支援助成金(建設労働者認定訓練コース)

建設業の事業主が雇用する労働者に対して、認定職業訓練を実施した場合に訓練経費や賃金の一部が助成されます。建設業は技能の習得に時間がかかる業種であり、若手人材の育成費用を助成金で賄うことは経営負担の軽減に直結します。

助成率は経費助成が6分の1(中小建設事業主の場合)、賃金助成が1人1日あたり数千円です。雇用保険の適用事業所であることが要件となります。

トライアル雇用助成金

建設業界では、未経験者を含む幅広い人材の確保が課題となっています。トライアル雇用助成金は、職業経験の不足などにより就職が困難な求職者を試行的に雇用する事業主に対して、月額最大4万円(最長3か月)を支給する制度です。

建設業への就職を希望する未経験者を受け入れる際に活用でき、雇用のミスマッチを防ぎながら人材確保を進められます。

補助金申請で建設業者が押さえるべきポイント

申請スケジュールの管理

補助金は公募期間が限られているため、年間を通じたスケジュール管理が欠かせません。ものづくり補助金は年に複数回の公募があり、小規模事業者持続化補助金も年4回程度の受付があります。IT導入補助金は年度前半に集中する傾向があります。

公募開始前から準備を進めておくことが採択率の向上につながります。経営計画書や事業計画書のドラフトを事前に作成し、公募開始と同時に申請できる体制を整えておくとよいでしょう。

経営力向上計画・経営革新計画の活用

補助金の審査では加点項目が設定されており、経営力向上計画の認定や経営革新計画の承認を受けていると有利になります。これらの計画は中小企業等経営強化法に基づく制度であり、税制優遇(固定資産税の減免など)も受けられるため、補助金申請とは別のメリットもあります。

建設業者の場合、建設業許可の維持に必要な経営事項審査(経審)との整合性も考慮しながら計画を作成すると、経営全体の方向性が一貫したものになります。

補助金は「後払い」であることの理解

補助金は後払いが原則 — 資金繰りに注意

事業実施に必要な資金は自己資金や融資で先行調達する必要があります。建設業は工事代金の回収サイクルも長いため、補助事業の資金繰りと本業の資金繰りが重ならないよう事前に確認してください。

補助金の最大の注意点は、原則として後払い(精算払い)であることです。事業を実施し、実績報告を行った後に補助金が支払われるため、事業実施に必要な資金は自己資金や融資で先行調達する必要があります。

建設業は工事代金の回収サイクルが長い業種でもあるため、補助事業の資金繰りと本業の資金繰りが重なると資金ショートを起こすリスクがあります。補助金の申請を検討する際は、資金繰り表を作成し、事業実施期間中のキャッシュフローに問題がないか事前に確認してください。

日本政策金融公庫の「設備資金貸付」や信用保証協会の保証制度を併用して、補助事業の「つなぎ資金」を確保する方法もあります。

自治体独自の建設業向け支援制度

国の補助金に加えて、都道府県や市区町村が独自に設けている建設業向けの支援制度も見逃せません。たとえば、東京都では「躯体・設備工事における生産性向上支援事業」として、建設現場の生産性向上に資する取り組みに対する助成を実施しています。

各自治体の支援制度は公募期間が短いことが多く、情報収集を怠ると申請機会を逃す可能性があります。地元の商工会議所、建設業協会、中小企業支援センターなどと定期的に情報交換を行い、最新の公募情報を入手するようにしましょう。

業種を問わない資金繰り改善の全体像については、資金繰り改善の全体ガイドで体系的に解説しています。

売掛金の早期資金化を検討している場合は、ファクタリングの仕組みと選び方も参考になります。

まとめ

この記事の要点

  • 建設業者が活用できる補助金・助成金は多岐にわたる — ものづくり補助金、IT導入補助金、人材確保等支援助成金など、自社の経営課題に合った制度を選択する
  • 補助金は後払いが原則 — 資金繰りへの影響を十分に検討し、必要に応じてつなぎ融資の活用も視野に入れる
  • 採択率を高めるには具体的な数値目標と加点項目の取得が効果的 — 経営力向上計画の認定など、事前に準備できる加点要素を活用する

補助金・助成金の申請や資金調達で判断に迷う場合は、財務改善ナビの無料相談窓口で事業規模、業種、資金需要を共有してください。

よくある質問

Q. 建設業で最も採択率が高い補助金はどれですか?
A. 一概には言えませんが、小規模事業者持続化補助金は従業員20人以下の建設業者にとって比較的採択されやすい制度です。一般型で最大50万円、特別枠で最大200万円が支給されます。申請書の記載内容の質が採択率を大きく左右するため、経営計画書の作成を丁寧に行うことが重要です。
Q. 個人事業主の建設業者でも補助金は使えますか?
A. はい、個人事業主でも申請可能な補助金は多くあります。小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金は個人事業主も対象です。ただし、法人格を持たないことで一部の補助金(事業再構築補助金の一部類型など)では要件を満たさない場合があるため、公募要領で確認してください。
Q. 補助金の申請から入金までどのくらいかかりますか?
A. 一般的に、公募開始から交付決定まで2〜3か月、事業実施期間が6〜12か月、実績報告から入金まで1〜2か月程度かかります。合計すると申請から入金まで1年以上を要するケースも珍しくありません。補助金は後払いが原則のため、事業実施に必要な資金は先行して自己負担する必要があります。
Q. 補助金の申請から入金までどのくらいの期間がかかりますか?
A. 補助金は原則として後払い(精算払い)です。採択後に事業を実施し、完了報告を経て入金される流れとなるため、申請から入金までは通常6か月〜1年程度かかります。その間の資金繰りを考慮し、自己資金やつなぎ融資を確保しておく必要があります。

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