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資金調達

計画が融資の成否を分ける

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資金調達計画の立て方|必要額の算出から実行まで

中小企業が資金調達計画を策定する際の手順とポイントを解説。必要資金の算出方法、調達手段の選定、金融機関への説明資料の作成方法、計画実行後のモニタリングまでをまとめました。

資金調達を成功させるためには、「いくら必要か」「何に使うか」「どう返すか」を明確にした資金調達計画の策定が不可欠です。計画が曖昧なまま融資を申し込んでも、金融機関から資金使途の妥当性や返済能力を疑問視され、否決される可能性が高くなります。

本記事では、中小企業が資金調達計画を策定する手順を、必要額の算出から調達実行後のモニタリングまで順を追って解説します。

必要資金額の算出方法

資金調達の第一歩は、必要な資金額を正確に算出することです。資金需要は大きく「設備資金」と「運転資金」に分かれ、それぞれ算出のアプローチが異なります。

設備資金の算出は比較的シンプルで、投資する設備の見積書金額を積み上げます。機械設備、車両、内装工事、システム導入費用など、具体的な見積書を取得して積算します。設備投資に付随する費用(設置工事費、研修費、予備費など)も忘れずに計上してください。

運転資金の算出には「経常運転資金」の概念を用います。経常運転資金の算式は「売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産 − 仕入債務(買掛金+支払手形)」です。これは事業を継続するうえで常に必要となる資金の額を示しており、売上の増加に伴って増加します。

経常運転資金の計算例

売上債権が月商の2ヶ月分、棚卸資産が月商の1ヶ月分、仕入債務が月商の1.5ヶ月分の企業の場合、経常運転資金は月商の1.5ヶ月分(2+1−1.5)です。月商が2,000万円であれば、3,000万円の運転資金が常に必要という計算になります。

これに加えて、安全余裕資金として月商の1ヶ月から2ヶ月分を上乗せすることが実務上推奨されます。季節変動のある事業では、繁忙期の資金需要の増加分も考慮に入れます。

調達手段の選定と組み合わせ

必要資金額が算出できたら、どの手段で調達するかを検討します。調達手段の選定にあたっては、資金使途との適合性、調達コスト、調達スピード、自社の信用力の4つの軸で判断します。

設備資金のように使途が明確で金額が大きい場合は、銀行の長期融資(証書貸付)や日本政策金融公庫の設備資金融資が適しています。設備の経済的耐用年数と融資の返済期間を合わせることで、設備から生み出されるキャッシュフローで返済をまかなう構造を作れます。補助金の対象となる設備であれば、融資と補助金を併用して実質負担を軽減する組み合わせも有効です。

運転資金の調達には、短期の手形貸付や当座貸越が適しています。経常運転資金に対しては融資期間1年の短期融資を毎期更新する「短期継続融資(いわゆる短コロ)」が中小企業の資金繰りでよく活用されています。

複数の金融機関から融資を受けている場合は、各金融機関の融資シェアを意識して配分を調整します。[信用保証協会の保証付き融資](/shikin-choutatsu/shinyo-hosho-kyokai-katsuyo/)も組み合わせることで、調達枠を拡大できる可能性があります。メインバンクのシェアを一定以上維持しつつ、サブバンクからも融資を受けてリスクを分散する構成が一般的です。

事業計画書と資金繰り表の作成

金融機関に対して資金調達の必要性と返済の確実性を説明するために、事業計画書と資金繰り表の作成が求められます。

事業計画書には、事業の概要と強み、市場環境の分析、売上計画(根拠を含む)、費用計画、利益計画、設備投資計画を盛り込みます。売上計画の根拠には、既存顧客の継続率、新規顧客の獲得見込み(受注残を含む)、価格改定の予定など、客観的に検証可能な情報を記載します。

資金繰り表は月次で12ヶ月分を作成し、営業収入、営業支出、経常収支差額、財務収入(融資の入金)、財務支出(返済)、翌月繰越残高を時系列で示します。融資を受けた場合と受けなかった場合の2パターンを作成すると、融資の必要性がより明確に伝わります。

事業計画書と資金繰り表は整合性が取れていることが重要です。事業計画の売上が資金繰り表の営業収入と一致しているか、設備投資の支出タイミングが適切に反映されているかなど、両者を照合しながら作成してください。

計画実行後のモニタリング

資金調達の実行後は、計画と実績の乖離をモニタリングし、必要に応じて計画を修正することが重要です。

毎月の資金繰り実績を記録し、計画との差異を分析します。売上が計画を下回っている場合は、早期に追加の対策(コスト削減、回収の促進、追加融資の検討)を講じます。計画より良い実績が出ている場合は、余剰資金の有効活用(繰上返済、投資の前倒しなど)を検討します。

金融機関への定期報告も重要なモニタリング活動です。四半期ごとに試算表と計画の進捗状況を報告する体制を構築することで、金融機関との信頼関係が強化されます。仮に計画から乖離が生じた場合でも、早期に報告して対策を説明することで、追加支援を引き出しやすくなります。

まとめ

要点

  • 資金調達計画は必要資金額の算出・調達手段の選定・事業計画との整合性・実行後のモニタリングの4ステップで構成される
  • 金融機関から信頼される計画を策定し、定期的な報告を通じて計画の実行力を示すことが継続的な調達力の向上につながる
  • 複数の調達手段を組み合わせ、資金使途・金額・タイミングに応じた最適な計画を設計する

資金調達計画の策定や金融機関への説明資料の作成について専門家への相談をご希望の場合は、無料相談からお問い合わせください。

よくある質問

Q. 資金調達計画は何年先まで作るべきですか?
A. 一般的には3年から5年先までの中期計画を策定し、直近1年分については月次の資金繰り表レベルで詳細化するのが望ましいです。設備投資を伴う場合は投資の回収期間に合わせて計画期間を設定します。
Q. 資金調達計画書には何を書けばよいですか?
A. 事業概要、資金使途の説明、必要資金額の積算根拠、調達方法と条件、返済計画、事業計画(売上・利益の見通し)、リスクと対応策の7項目が基本です。金融機関向けには資金繰り表と連動させた内容にするとより効果的です。
Q. 必要な資金額をどうやって算出すればよいですか?
A. 設備資金は見積書をベースに積算し、運転資金は「売上債権回転期間+棚卸資産回転期間−仕入債務回転期間」で算出される経常運転資金をベースにします。これに安全余裕資金(月商の1ヶ月から2ヶ月分)を加えた金額が必要調達額の目安になります。
Q. 資金調達計画は誰に相談すればよいですか?
A. 顧問税理士や公認会計士に相談するのが基本です。金融機関の担当者に事前相談する方法もあります。認定経営革新等支援機関に登録された専門家であれば、融資制度の活用に関する具体的な確認事項を整理できます。

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