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外国人雇用の実務ガイド|在留資格と届出手続き

外国人を雇用する際に必要な在留資格の確認方法、届出手続き、労働関係法令の適用について解説。中小企業が知っておくべき実務上の注意点をまとめています。

人手不足が深刻化する中、外国人労働者の活用は中小企業にとっても重要な経営課題となっています。厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況」によれば、日本で就労する外国人労働者数は年々増加傾向にあります。一方、外国人を雇用する際には、在留資格の確認、各種届出、労働関係法令の遵守など、日本人の雇用にはない固有の手続きと注意点があります。出入国管理及び難民認定法(入管法)をはじめとする関連法令を正しく理解し、適法な雇用管理を行うことが不可欠です。本記事では、中小企業が外国人を雇用する際の実務的なポイントを解説します。

在留資格の基本と就労可否の判断

外国人が日本に在留するためには、出入国管理及び難民認定法に定められた在留資格のいずれかを有していなければなりません。在留資格の種類によって就労の可否や従事できる業務の範囲が異なるため、雇用前の確認が必須です。

就労が認められる在留資格

就労が認められる在留資格は大きく3つのカテゴリーに分けられます。

第一に、就労制限のない在留資格です。「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4つが該当し、業種・職種を問わず就労が可能です。

第二に、特定の活動に限り就労が認められる在留資格です。「技術・人文知識・国際業務」「技能」「特定技能」「高度専門職」「企業内転勤」「経営・管理」などが該当し、在留資格に対応する範囲の業務にのみ従事できます。たとえば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ者を単純労働に従事させることはできません。

第三に、「特定活動」の在留資格です。法務大臣が個々に指定する活動内容に応じて就労の可否が決まるため、指定書の内容を個別に確認する必要があります。

就労が認められない在留資格

「留学」「家族滞在」「文化活動」「短期滞在」などの在留資格では原則として就労が認められていません。ただし、「留学」や「家族滞在」の在留資格を持つ者が資格外活動許可を取得した場合は、一定の時間制限の範囲内でアルバイト等の就労が可能です(入管法第19条第2項)。

在留カードの確認方法

外国人を雇用する際は、必ず在留カードの原本を確認しましょう。在留カードの表面には在留資格の種類、在留期間、就労制限の有無が記載されています。裏面には資格外活動許可の有無が記載されるため、表裏両面を確認することが重要です。

在留カードの偽造・変造を防止するため、出入国在留管理庁のウェブサイトで在留カード番号の有効性を照会できます。不法就労と知らずに雇用した場合であっても、確認を怠ったことについて過失がある場合は不法就労助長罪(入管法第73条の2、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその併科)に問われるリスクがあります。

外国人雇用に関する届出と手続き

外国人を雇用する際には、通常の雇用手続きに加え、外国人に固有の届出が義務付けられています。

ハローワークへの届出

雇用対策法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)第28条により、外国人労働者(特別永住者を除く)の雇入れおよび離職の際には、ハローワークへの届出が義務付けられています。届出は、雇入れまたは離職の翌月末日までに行う必要があります。

届出事項は、氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域、資格外活動許可の有無、雇入れまたは離職の年月日、事業所の名称・所在地などです。届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金が科されます。

雇用保険の被保険者となる外国人労働者については、雇用保険の資格取得届・喪失届に在留資格等の情報を記載することで届出に代えることができます。

社会保険・労働保険の適用

外国人労働者にも、日本人と同様に社会保険(健康保険・厚生年金保険)および労働保険(雇用保険・労災保険)が適用されます。

厚生年金保険については、日本と社会保障協定を締結している国の出身者で、相手国の年金制度に加入している場合は、一定の要件のもとで日本の厚生年金保険への加入が免除されることがあります。また、外国人が帰国する際には脱退一時金の請求が可能です(厚生年金保険法附則第29条)。

在留資格の変更・更新手続き

外国人労働者の在留期間が満了する前に、在留期間の更新許可申請を行う必要があります。在留期間の満了日の3か月前から申請が可能です。更新が許可されない場合は在留資格を失い、就労ができなくなるため、期限管理を徹底する必要があります。

業務内容が変わる場合や転職によって従事する業務が在留資格の範囲外となる場合は、在留資格の変更許可申請が必要です。

外国人雇用における労務管理の注意点

外国人労働者の雇用管理においては、労働関係法令の遵守に加え、文化や言語の違いに配慮した対応が求められます。

労働条件の明示と差別の禁止

労働基準法第15条に基づき、労働条件の明示は外国人労働者に対しても義務付けられています。厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」では、労働条件を外国人が理解できる方法で明示することが求められています。母国語や平易な日本語での説明、翻訳文書の交付などの対応が望ましいとされています。

労働基準法第3条は、国籍を理由とする労働条件の差別的取扱いを禁止しています。賃金、労働時間、休日、休暇などの労働条件は、日本人労働者と同等の基準を適用しなければなりません。

安全衛生教育の実施

労働安全衛生法に基づく安全衛生教育は、外国人労働者に対しても実施が義務付けられています。言語の壁により安全教育の内容が十分に伝わらないリスクがあるため、多言語マニュアルの作成、実技を中心とした教育、動画教材の活用などの工夫が必要です。

特定技能制度への対応

2019年に創設された特定技能制度は、深刻な人手不足が認められる特定産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れるための在留資格です。「特定技能1号」(通算5年間の在留、家族帯同不可)と「特定技能2号」(在留期間の更新に上限なし、家族帯同可)の2種類があります。

特定技能1号の外国人を受け入れる場合、事業主は1号特定技能外国人支援計画を作成し、生活オリエンテーションの実施、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応などの支援を行う義務があります。支援体制の整備が困難な場合は、登録支援機関に支援業務を委託することも可能です。

まとめ

  • 外国人を雇用する際は、在留カードの原本確認により在留資格の種類と就労制限の有無を必ず確認し、不法就労助長罪(入管法第73条の2)のリスクを回避する
  • ハローワークへの外国人雇用状況の届出、社会保険・労働保険の適用、在留期間の更新管理など、外国人に固有の手続きを漏れなく実施する
  • 労働関係法令は国籍を問わず適用されるため、日本人と同等の労働条件を確保し、言語・文化の違いに配慮した労務管理を行うことが重要である

よくある質問

Q. 外国人を雇用する際に在留カードの確認は必要ですか?
A. はい、必須です。不法就労助長罪(出入国管理及び難民認定法第73条の2)に問われないためにも、雇用前に在留カードの原本を確認し、在留資格の種類、在留期間、就労制限の有無を確認する必要があります。在留カードの番号を出入国在留管理庁のサイトで有効性を照会することもできます。
Q. 外国人を雇用・離職させたときに届出は必要ですか?
A. はい、雇用対策法第28条により、外国人労働者(特別永住者を除く)の雇入れ・離職の際には、ハローワークへの届出が義務付けられています。届出を怠ったり虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金が科されます。届出は雇入れ・離職の翌月末日までに行う必要があります。
Q. 留学生をアルバイトとして雇うことはできますか?
A. 留学生は「留学」の在留資格では原則として就労が認められていませんが、資格外活動許可を取得している場合は、週28時間以内(教育機関の長期休業中は1日8時間以内)のアルバイトが可能です(出入国管理及び難民認定法第19条第2項)。在留カードの裏面に資格外活動許可の有無が記載されています。
Q. 外国人労働者にも日本の労働関係法令は適用されますか?
A. はい、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法などの労働関係法令は、国籍を問わず日本国内で就労するすべての労働者に適用されます。外国人であることを理由とした賃金の差別的取扱いは労働基準法第3条で禁止されています。

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