事業承継の進め方|親族内・従業員・M&Aの3パターンで実務を解説
中小企業の事業承継の進め方を、親族内承継・従業員承継・M&A(第三者承継)の3パターンで解説。承継計画の立て方、株式の移転方法、税制優遇措置まで、経営者が知るべき実務をまとめました。
中小企業庁が公表した「2025年版中小企業白書」によれば、経営者の平均年齢は年々上昇を続けています。後継者不在により廃業を選ぶ企業も少なくありません。しかし、適切な時期から準備を始めれば、事業承継は決して難しいものではないのです。
この記事では、事業承継の3つのパターン(親族内承継・従業員承継・M&A)ごとに具体的な進め方を解説します。株式の移転方法や税制優遇措置など、実務で必要になる知識も取り上げました。経営者として知っておくべきポイントを順を追って確認していきましょう。
事業承継とは何か
事業承継とは、現在の経営者が後継者に事業を引き継ぐことを指します。単なる代表者の交代ではなく、企業が持つあらゆる経営資源を次世代に移すプロセスです。中小企業においては、経営者個人の力量や人脈に依存している部分が大きく、計画的に進めなければ事業の継続が困難になります。
中小企業庁の「事業承継ガイドライン(第3版・令和4年3月改訂)」では、事業承継を「経営そのものの引き継ぎ」と定義しています。つまり、代表権を譲るだけでは不十分であり、企業の価値を構成するすべての要素を移転させる必要があるのです。
事業承継で引き継ぐもの(人・資産・知的資産)
事業承継で引き継ぐ要素は、大きく3つに分類されます。
1つ目は「人」の承継です。これは経営権そのものの移転を意味します。後継者が社内外から信頼を得て、リーダーシップを発揮できる状態を整えることが求められます。経営に対する理念や価値観も含めた引き継ぎが重要になるでしょう。
2つ目は「資産」の承継です。株式・事業用資産(不動産、設備、在庫など)・資金といった有形の経営資源が該当します。特に株式の移転は税務面で大きな影響を受けるため、計画的な対応が不可欠です。
3つ目は「知的資産」の承継です。経営者が長年かけて築いた取引先との関係、従業員のノウハウ、特許や技術、顧客基盤などが含まれます。目に見えない資産だけに、意識的に引き継ぎの仕組みを作らなければ失われてしまう可能性があります。
事業承継の3つのパターン
事業承継の方法は、後継者の属性によって以下の3パターンに大別されます。
親族内承継は、経営者の子や配偶者、兄弟姉妹など親族に事業を引き継ぐ方法です。日本の中小企業では伝統的にこの方法が主流でした。従業員・取引先から受け入れられやすく、相続や贈与を活用した株式移転が可能な点が特徴です。
従業員承継(MBO) は、社内の役員や従業員に経営権を移す方法です。事業内容を熟知した人材が後継者になるため、業務の継続性を保ちやすいというメリットがあります。一方で、株式取得のための資金調達が課題になりがちです。
M&A(第三者承継) は、社外の第三者に会社や事業を売却する方法です。後継者がいない企業にとっては、事業の存続と従業員の雇用を守る有効な手段となります。近年は中小企業のM&A件数が増加しており、選択肢として一般的になりつつあるのが実情です。
親族内承継の進め方
親族内承継は、多くの中小企業で最初に検討される選択肢です。とはいえ、「子どもに継がせれば済む」という単純なものではありません。後継者の選定から経営権の移行まで、段階的に進める必要があります。
後継者の選定と育成
後継者の選定にあたっては、経営に対する意欲と適性を慎重に見極めることが大切です。親族だからといって自動的に適任とは限りません。複数の候補がいる場合は、それぞれの強みと事業との相性を冷静に判断しましょう。
後継者が決まったら、育成に十分な時間をかけます。社内の各部門を経験させることで事業全体を理解してもらうのが一般的です。外部の企業や業界団体での修業を経験させるケースもあります。中小企業庁の事業承継ガイドラインでは、後継者教育に5年から10年程度の期間を見込むことを推奨しています。
育成の過程では、既存の従業員や取引先との関係構築にも注意を払いましょう。後継者が社内で孤立してしまうと、承継後の経営に支障をきたす恐れがあります。経営者自身が率先して後継者を紹介し、信頼関係の構築を支援する姿勢が求められるでしょう。
株式の移転方法(贈与・相続・売買)
親族内承継における株式の移転方法は、主に「贈与」「相続」「売買」の3つです。
贈与は、経営者の存命中に株式を無償で移転する方法です。計画的に進めやすい一方、贈与税が課されます。暦年贈与では年間110万円の基礎控除があり、長期にわたって少しずつ移転すれば税負担を軽減できます。2024年1月以降は相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除が設けられたため、制度の選択肢が広がりました(相続税法第21条の9〜21条の18)。
相続は、経営者の死亡に伴い株式が移転する方法です。経営者本人が移転の時期をコントロールできないため、事前に遺言書を作成しておくことが重要になります。遺留分との関係にも注意が必要です。民法の特例として、経営承継円滑化法に基づく遺留分に関する民法特例(除外合意・固定合意)を活用すれば、後継者への株式集中が円滑に進みます。
売買は、後継者が株式を買い取る方法です。経営者に売却代金が入るため、引退後の生活資金を確保できるメリットがあります。ただし、後継者に購入資金が必要です。非上場株式の評価は国税庁の「財産評価基本通達」に基づいて算定され、純資産価額方式や類似業種比準方式などが用いられます。
経営権の段階的な移行
株式の移転と並行して、経営権の移行も段階的に進めます。突然すべてを引き継ぐのではなく、段階を踏むことでリスクを最小化できるのです。
まずは後継者を取締役に就任させ、経営の意思決定に参画させます。その後、代表権を付与し、先代は会長や顧問として一定期間サポートに回るのが一般的な流れです。段階的な移行により、後継者は実務経験を積みながら経営の全体像を把握できます。
この際、金融機関への説明も欠かせません。中小企業の多くは経営者個人の信用力に依存した融資を受けています。後継者を金融機関に紹介し、事業計画を共有しておくことで、承継後の資金調達にも支障が出にくくなるでしょう。
従業員承継(MBO)の進め方
親族に適切な後継者がいない場合、社内の役員や従業員への承継が次の選択肢になります。MBO(Management Buyout)とも呼ばれるこの方法は、事業をよく知る人材が引き継ぐため、経営の連続性を維持しやすい点が魅力です。
MBOの基本的な仕組み
MBOとは、現在の経営陣や従業員が自社の株式を買い取り、経営権を取得する手法です。後継者となる従業員が、現経営者から株式を購入することで、オーナー経営者としての地位を引き継ぎます。
ただし、中小企業の株式評価額は数千万円から数億円に及ぶことも珍しくありません。後継者個人の資金だけでは賄えないケースが大半です。そのため、MBOでは資金調達のスキームをどう組み立てるかが成否を分ける重要なポイントとなります。
MBOは従業員承継の一形態として、親族内承継とM&Aの中間に位置する選択肢といえます。社内の人間関係や企業文化を維持できる反面、後述するように資金面と経営者保証の問題を乗り越える必要があるのです。
資金調達の方法(SPC活用・金融機関融資)
MBOにおける資金調達方法はいくつかあります。
金融機関からの融資は、最もオーソドックスな手法です。後継者個人が借り入れる方法と、会社として融資を受ける方法があります。日本政策金融公庫では、事業承継に特化した融資制度(事業承継・集約・活性化支援資金)を用意しており、通常よりも有利な条件で借り入れが可能です。
SPC(特別目的会社)を活用する方法もあります。後継者がSPCを設立し、SPCが金融機関から融資を受けて株式を取得します。その後、SPCと対象会社を合併させることで、実質的に会社の資金で株式取得資金を返済する仕組みです。この手法はレバレッジドバイアウト(LBO)の簡易版ともいえるでしょう。
中小企業基盤整備機構が運営するファンドや民間の事業承継ファンドから出資を受けるケースも増えています。後継者の自己資金と組み合わせて、株式取得に必要な資金を確保する方法です。
経営者保証の引き継ぎ問題
従業員承継において最も大きな障壁となるのが、経営者保証の問題です。中小企業の融資では、経営者個人が連帯保証人になっているケースが多く、後継者がこの保証を引き継ぐことに心理的な抵抗を感じるのは当然のことでしょう。
この問題に対応するため、「経営者保証に関するガイドライン」(2014年2月適用開始)が整備されました。このガイドラインでは、一定の要件を満たす場合に経営者保証なしでの融資を求めることができると規定しています。法人と経営者の資産を明確に分離し、適切な財務情報を開示していることが主な要件です。
さらに、2020年4月からは「事業承継時に焦点を当てた経営者保証に関するガイドラインの特則」が運用されています。この特則では、前経営者と後継者の二重保証を原則として禁止し、事業承継時の保証解除をより促進する内容となっています。金融機関との交渉に際しては、これらのガイドラインの存在を踏まえた対応が重要です。
M&A(第三者承継)の進め方
親族にも従業員にも適切な後継者が見つからない場合、M&Aによる第三者への承継が現実的な選択肢となります。M&Aに対する心理的な抵抗感は以前に比べて薄れつつあり、中小企業の事業存続手段として広く認知されるようになりました。
M&Aが選ばれるケース
M&Aによる第三者承継が選ばれるのは、主に以下のようなケースです。
後継者不在が最も典型的な理由です。帝国データバンクの「全国企業『後継者不在率』動向調査(2024年)」によれば、全国の企業の後継者不在率は依然として高い水準にあります。後継者が見つからないまま経営者が高齢化し、事業の継続が危ぶまれる状況でM&Aが検討されるケースは多いのが実態です。
また、事業の成長戦略としてM&Aを活用するケースもあります。自社単独では達成困難な事業拡大を、大手企業のグループに入ることで実現する考え方です。技術力はあるが販路が弱い企業が、販売網を持つ買い手と組む例はその典型でしょう。
経営者が引退後の生活資金を確保したい場合にも、M&Aは有効な手段です。株式を売却することで創業者利益を実現でき、退職金と合わせてまとまった資金を手にすることが可能となります。
仲介会社・FAの選び方
中小企業のM&Aでは、仲介会社やFA(ファイナンシャルアドバイザー)の活用が一般的です。選定にあたっては、いくつかの点に注意が必要になります。
まず、仲介会社とFAの違いを理解しておきましょう。仲介会社は売り手と買い手の双方の間に立ち、取引のマッチングと調整を行います。これに対し、FAは売り手または買い手の一方の利益を代理して交渉にあたります。中小企業のM&Aでは仲介方式が多い傾向にありますが、利益相反のリスクがある点は認識しておくべきです。
中小企業庁は「M&A支援機関に係る登録制度」を2021年に創設しました。登録された支援機関は、同庁の定める「中小M&Aガイドライン」を遵守する義務があります。支援機関を選ぶ際には、この登録の有無を確認することが基本的な判断材料となるでしょう。
手数料体系も重要な比較ポイントです。着手金の有無、中間報酬の有無、成功報酬の算定方式(レーマン方式が一般的)は支援機関によって異なります。複数の支援機関から見積もりを取り、費用とサービス内容を比較検討するのが望ましい進め方です。
売却前のBS整理が成約価格を左右する
M&Aで有利な条件を引き出すには、売却前の貸借対照表(BS)の整理が欠かせません。買い手はデューデリジェンス(買収監査)で企業の実態を詳細に調査するため、BSに不要な資産や簿外の負債が存在すると評価が下がる原因になります。
具体的には、以下のような整理を行います。遊休資産や事業に関係のない資産(ゴルフ会員権、役員の個人利用車両など)の処分を検討しましょう。回収見込みのない売掛金や不良在庫の処理も重要です。一方で、含み益のある資産(不動産など)があれば適正な時価評価を行い、企業価値の向上につなげるべきでしょう。
役員への過大な報酬や個人的な経費を法人で処理している場合は、それらを正常化することも大切です。買い手は「正常収益力」を重視するため、一過性の費用や私的経費を控除した実態ベースの収益力を示せるかどうかが成約価格に直結します。
事業承継税制の活用
事業承継において、株式の移転に伴う税負担は大きな課題です。特に業績が良好で株式評価額が高い企業ほど、贈与税・相続税が多額になり、承継の障壁となります。この問題を軽減するために設けられたのが事業承継税制です。
一般措置と特例措置の違い
事業承継税制には「一般措置」と「特例措置」の2種類があります。
一般措置は恒久的な制度で、先代経営者から後継者に移転した非上場株式に係る贈与税・相続税の一定割合について納税を猶予するものです。贈与税の場合は発行済議決権株式総数の3分の2までの株式について全額が、相続税の場合は同じく3分の2までの株式について80%相当額が猶予されます(租税特別措置法第70条の7、第70条の7の2)。
特例措置は2018年度税制改正で創設された時限的な制度です。一般措置を大幅に拡充した内容となっており、対象株式の上限を撤廃し、猶予割合を100%に引き上げています。つまり、先代経営者から後継者が取得したすべての非上場株式について、贈与税・相続税の全額が猶予されるのです(租税特別措置法第70条の7の5〜8)。
特例措置の適用を受けるには、2026年3月31日までに「特例承継計画」を都道府県知事に提出し、確認を受ける必要があります。その上で、2027年12月31日までに実際の贈与・相続が行われることが要件です。期限が設定されているため、適用を検討する場合は早めの対応が不可欠となります。
特例措置の適用要件
特例措置の適用を受けるためには、会社・先代経営者・後継者のそれぞれに要件が定められています。
会社の要件としては、中小企業者であること(中小企業基本法の定義に準拠)、非上場会社であること、風俗営業会社でないこと、資産保有型会社・資産運用型会社に該当しないことなどがあります。
先代経営者の要件は、会社の代表権を有していたこと、贈与時点で代表権を有していないことなどです。相続の場合は、被相続人が相続開始直前に代表権を有していたか、過去に代表権を有していたことが求められます。
後継者の要件は、贈与時点で18歳以上であること、贈与時点で3年以上継続して役員であること、贈与後に代表権を有することなどです。後継者は最大3名まで認められており、複数人への承継にも対応しています。
適用を受けるための手続き
特例措置の適用を受ける手続きは、大きく3段階に分かれます。
第1段階は「特例承継計画」の策定と提出です。認定経営革新等支援機関(税理士、公認会計士、商工会議所など)の所見を記載した計画書を都道府県知事に提出し、確認を受けます。計画書には後継者の氏名や承継の時期、承継後の経営見通しなどを記載します。
第2段階は「認定申請」です。実際に贈与または相続が発生した後、都道府県知事に認定申請を行います。贈与の場合は贈与の翌年1月15日まで、相続の場合は相続開始後8か月以内が申請期限です。
第3段階は「税務申告」です。認定書の写しを添付して贈与税または相続税の申告を行い、納税猶予を受けます。猶予期間中は、年次報告書を都道府県に提出し、継続届出書を税務署に提出する義務が課されます。
手続きが煩雑であるため、税理士や認定支援機関と連携して進めることを強く推奨します。
事業承継・引継ぎ支援センターの活用
事業承継について「何から始めればよいかわからない」という経営者は少なくないでしょう。そうした場合に頼りになるのが、各都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターです。中小企業庁の委託事業として運営されており、公的な立場から事業承継を支援しています。
相談から成約までの流れ
事業承継・引継ぎ支援センターを利用する場合、おおむね以下のような流れで進みます。
まず、電話またはWebサイトから相談予約を行います。相談は無料で、秘密厳守が徹底されています。初回の相談では、経営者の意向や事業の現状をヒアリングし、事業承継の方向性を整理します。
親族内承継や従業員承継を希望する場合は、事業承継計画の策定支援を受けられます。経営状況の把握、後継者候補の選定、承継の具体的なスケジュールなどについて、専門家が助言を行うのです。
M&Aによる第三者承継を希望する場合は、センターが買い手候補のマッチングを行います。センターに登録された買い手候補のデータベースや、他の都道府県のセンターとのネットワークを活用して、適切な相手先を探します。条件が合えば、交渉の支援やスキームの助言も受けられる仕組みです。
利用できるサービスと費用
事業承継・引継ぎ支援センターでは、以下のようなサービスを利用できます。
事業承継に関する相談は無料です。弁護士、税理士、中小企業診断士などの専門家がアドバイスを行います。親族内承継の進め方、従業員承継のスキーム、M&Aの基礎知識など、幅広いテーマに対応しています。
事業承継計画の策定支援も無料で提供されています。自社の経営状況を分析し、承継に向けた具体的な行動計画を作成するサポートです。
後継者人材バンクは、後継者を探している企業と、経営者を目指す個人をマッチングするサービスです。創業を希望する人材に事業を引き継ぐという、新しい形の事業承継を支援しています。
M&Aのマッチング支援では、センターが売り手と買い手の間を取り持ちます。民間の仲介会社を利用する場合と比較して、費用が低く抑えられるのが利点です。ただし、成約時には所定の手数料が発生する場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
なお、経営者保証の解除に向けた相談にも対応しています。事業承継時の経営者保証は後継者にとって大きな負担になるため、保証解除のための専門家派遣事業も用意されています。
よくある質問
事業承継はいつから始めるべきですか?
理想的には引退の5〜10年前から計画的に進めるべきです。後継者の育成、株式の移転、取引先・金融機関への引き継ぎなど、時間を要するプロセスが多いためです。中小企業庁の事業承継ガイドラインでも、早期着手の重要性が繰り返し指摘されています。経営者が60歳を迎えた時点で、承継の方向性を考え始めるのが一つの目安となるでしょう。
後継者がいない場合はどうすればいいですか?
M&A(第三者への事業売却)が有力な選択肢です。事業承継・引継ぎ支援センター(各都道府県に設置)に無料で相談できます。従業員への承継(MBO)も検討の余地があります。後継者人材バンクを活用し、社外の起業志望者に事業を引き継ぐという方法もあるため、複数の選択肢を比較検討することが大切です。
事業承継税制とは何ですか?
後継者が先代経営者から株式を贈与・相続により取得した場合に、贈与税・相続税の納税を猶予・免除する制度です。特例措置では全株式について100%の納税猶予が受けられます(租税特別措置法第70条の7の5〜8)。特例措置を利用するには、2026年3月31日までに特例承継計画を都道府県知事に提出する必要があるため、検討中の方は早急な対応が求められます。
まとめ
事業承継の進め方は、親族内承継・従業員承継・M&Aの3パターンに大別されます。どの方法を選ぶかは、後継者の有無、企業の財務状況、経営者の意向によって異なるものです。
いずれのパターンにも共通するのは、早期に着手することの重要性です。後継者の育成にも、株式の移転にも、取引先や金融機関との関係構築にも、相応の時間が必要になります。「まだ先のこと」と考えているうちに選択肢が狭まり、廃業を余儀なくされるケースは決して少なくありません。
事業承継税制の特例措置のように、期限が設定されている支援策もあります。活用を検討している場合は、税理士や認定支援機関に早めに相談しましょう。事業承継・引継ぎ支援センターへの無料相談も、最初の一歩として有効な手段です。
事業承継は経営者にとって最後の大仕事ともいえます。自社の状況に合った方法を選び、計画的に進めることで、長年築いてきた事業の価値を次の世代に引き継いでいきましょう。
よくある質問
- Q. 事業承継はいつから始めるべきですか?
- A. 理想的には引退の5〜10年前から計画的に進めるべきです。後継者の育成、株式の移転、取引先・金融機関への引き継ぎなど、時間を要するプロセスが多いためです。
- Q. 後継者がいない場合はどうすればいいですか?
- A. M&A(第三者への事業売却)が有力な選択肢です。事業承継・引継ぎ支援センター(各都道府県に設置)に無料で相談できます。従業員への承継(MBO)も検討の余地があります。
- Q. 事業承継税制とは何ですか?
- A. 後継者が先代経営者から株式を贈与・相続により取得した場合に、贈与税・相続税の納税を猶予・免除する制度です。特例措置では全株式について100%の納税猶予が受けられます(租税特別措置法第70条の7の5〜8)。