財務改善ナビ
補助金・助成金

特定求職者雇用開発助成金の活用法|高齢者・障害者雇用

特定求職者雇用開発助成金の対象者・支給額・申請要件を詳しく解説。高齢者や障害者の雇用を検討する中小企業が知っておくべき制度の仕組みと、申請時の実務上の注意点を紹介します。

人手不足が深刻化する中、高齢者や障害者など就職が困難な方を積極的に採用する企業を支援する制度が、特定求職者雇用開発助成金です。雇用保険法施行規則第110条を根拠とするこの助成金は、対象者の継続雇用を通じて企業の人材確保と社会的包摂の両立を実現するものです。中小企業にとっては、採用コストの軽減と多様な人材の活用を同時に進められる有効な手段となります。本記事では、この助成金の対象者、支給額、申請の流れと実務上の注意点を解説します。

特定求職者雇用開発助成金の概要と対象者

特定求職者雇用開発助成金は、厚生労働省が所管する雇用関係助成金の一つで、就職が困難な方をハローワーク等の紹介により継続して雇用する事業主に対して支給されます。いくつかのコースに分かれており、雇い入れる対象者によって適用されるコースが異なります。

特定就職困難者コース

最も利用されているコースです。対象となるのは、60歳以上65歳未満の高齢者、身体障害者、知的障害者、精神障害者、母子家庭の母、父子家庭の父などです。これらの方をハローワークまたは適正な運営を行う民間の職業紹介事業者の紹介によって雇い入れ、継続して雇用する場合に助成金が支給されます。

支給額は対象者と企業規模によって異なります。中小企業が高齢者を雇い入れた場合は60万円(短時間労働者は40万円)、重度障害者を含む身体・知的障害者の場合は120万円(短時間労働者は80万円)、重度障害者の場合は240万円(短時間労働者は80万円)が支給の目安です。支給は半年ごとに分割して行われ、支給対象期間は1年から3年の範囲で対象者の類型により異なります。

生涯現役コース

65歳以上の高齢者をハローワーク等の紹介により雇い入れた場合に支給されるコースです。高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)の趣旨に沿い、生涯現役社会の実現を目指す取り組みを支援します。

中小企業の場合、支給額は70万円(短時間労働者は50万円)です。1年間を支給対象期間として、半年ごとに分割して支給されます。

申請要件と支給までの流れ

助成金を受給するには、雇い入れの方法や雇用条件について一定の要件を満たす必要があります。要件を正しく理解し、手続きに漏れがないよう進めましょう。

受給の主な要件

まず、ハローワークまたは厚生労働大臣の許可を受けた民間の職業紹介事業者からの紹介であることが必要です。求人サイトや知人の紹介で採用した場合は対象外となります。紹介時点で対象者が雇用保険の被保険者でないことも条件の一つです。

次に、雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、対象者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用することが確実であると認められることが必要です。有期雇用契約の場合でも、更新が見込まれ実質的に継続雇用と認められれば対象となりますが、採用当初から短期間のみの雇用を想定している場合は支給されません。

さらに、雇い入れ前後の6か月間に事業主都合の解雇(退職勧奨を含む)を行っていないことが求められます。雇用保険法に基づく特定受給資格者を一定割合以上出している事業所も不支給の対象です。

申請手続きの流れ

申請は、支給対象期間(6か月)が経過した後に、管轄の労働局またはハローワークに支給申請書を提出して行います。支給申請期間は、各支給対象期末日の翌日から2か月以内です。この期限を過ぎると申請できなくなるため、カレンダーに記録して忘れないようにしましょう。

申請に必要な書類は、支給申請書のほか、対象者の雇用契約書(労働条件通知書)、出勤簿、賃金台帳、ハローワークの紹介状の写しなどです。日頃から労務関係の書類を適切に整備しておくことが、スムーズな申請につながります。

活用時の実務上の注意点

助成金の受給にあたっては、制度の趣旨を理解し、適正な雇用管理を行うことが前提です。不正受給は厳しく罰せられるため、注意すべき点を押さえておきましょう。

不正受給の防止

助成金を不正に受給した場合、雇用保険法第10条の4に基づき、支給済みの助成金の返還に加えて返還額の20%の違約金が課せられます。さらに事業所名が公表され、今後5年間は雇用関係助成金の申請ができなくなります。

具体的に注意すべきなのは、架空雇用や実態のない雇用による申請はもちろんのこと、対象労働者を不当に低い労働条件で雇い入れたり、助成金の支給期間終了後に速やかに解雇したりするケースです。助成金は継続的な雇用を前提とした制度であり、一時的な利益のために制度を悪用することは許されません。

他の助成金との併給調整

同一の対象者について、複数の助成金を同時に受給できるかどうかは、助成金の種類によって異なります。たとえば、トライアル雇用助成金を利用した後に本採用に移行した場合、特定求職者雇用開発助成金との併給が認められるケースがあります。ただし、キャリアアップ助成金の正社員化コースなど、他の助成金と支給対象期間が重複する場合は調整が入ることがあるため、事前に管轄の労働局に確認しておくことをお勧めします。

障害者雇用の法的義務との関係

障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)では、従業員数が一定以上の企業に法定雇用率以上の障害者の雇用を義務づけています。法定雇用率を達成するための雇い入れであっても、要件を満たせば特定求職者雇用開発助成金を受給できます。法律上の義務を履行しながら助成金も活用できるため、障害者雇用に取り組む際はあわせて検討しましょう。

まとめ

特定求職者雇用開発助成金の活用について、押さえておくべきポイントは以下の3つです。

  • ハローワーク等の紹介による雇い入れが必須要件であり、求人サイトや知人紹介による採用は対象外となるため、採用チャネルの選択時に留意する必要がある
  • 支給申請は支給対象期間(6か月)経過後2か月以内に行う必要があり、出勤簿・賃金台帳などの労務書類を日頃から適切に整備しておくことがスムーズな手続きにつながる
  • 助成金の不正受給は返還・違約金・事業所名公表・5年間の申請禁止という厳しいペナルティがあるため、継続雇用を前提とした適正な雇用管理を徹底することが不可欠である

よくある質問

Q. 特定求職者雇用開発助成金の対象となる労働者はどのような人ですか?
A. 60歳以上の高齢者、身体障害者・知的障害者・精神障害者、母子家庭の母、ウクライナ避難民などが対象です。ハローワークまたは民間の職業紹介事業者の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れることが要件となります。
Q. 助成金の支給額はいくらですか?
A. 対象者の類型と企業規模によって異なります。中小企業が高齢者(60歳以上65歳未満)を雇い入れた場合は60万円、重度障害者の場合は最大240万円が支給されます。支給は半年ごとに分割して行われます。
Q. パートタイムで雇い入れた場合も対象になりますか?
A. はい、短時間労働者(週20時間以上30時間未満)として雇い入れた場合も対象となりますが、支給額はフルタイム雇用の場合より低くなります。週20時間未満の雇用は対象外です。
Q. 過去に解雇を行った企業でも申請できますか?
A. 雇い入れの前後6か月間に事業主都合の解雇(勧奨退職を含む)を行っている場合は、原則として助成金を受給できません。また、雇い入れ日の前日から過去1年間に、対象者と同じ事業所で特定受給資格者となる離職者を一定数以上出している場合も不支給となります。

財務のお悩み、まずは無料相談から

未収金処理・BS改善・事業再生について、専門家が無料でご相談に応じます。

無料相談はこちら
無料相談はこちら