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統合で広がる補助金の選択肢

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ものづくり補助金 2026年度|新事業進出補助金との統合と申請ガイド

2026年度のものづくり補助金と新事業進出補助金の統合情報を解説。「新事業進出・ものづくり補助金」の3つの申請枠、補助率・上限額、賃上げ要件、事業計画書の書き方ポイントをまとめました。

2026年度から、ものづくり補助金と新事業進出補助金が「新事業進出・ものづくり補助金」に統合されます。中小企業省力化投資補助金もあわせた総額2,960億円規模の支援パッケージとして再編され、新事業への進出やDX・AI投資の支援が強化される見通しです。

統合後の公募要領は令和8年6月公開予定、公募開始は8月見込み。本記事では、統合前の現行制度(22次・23次公募)の詳細と統合後の変更点、事業計画書の書き方から口頭審査の対策まで、申請に必要な情報を網羅的に解説します。

現行のものづくり補助金(22次・23次公募)

製品・サービス高付加価値化枠の概要

ものづくり補助金は、中小企業が取り組む革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセスの改善に必要な設備投資を支援する制度です。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」で、中小企業庁が所管しています。

従業員数通常類型成長分野進出類型
5人以下750万円1,000万円
6〜20人1,000万円1,500万円
21〜50人1,500万円2,500万円
51人以上2,500万円3,500万円

補助率は中小企業1/2、小規模企業・再生事業者2/3。グローバル枠は最大3,000万円(補助率2/3)となっています。

対象経費は機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費など。グローバル枠では海外旅費・通訳翻訳費も対象に含まれます。

23次公募の変更点と申請スケジュール

23次公募から賃上げ要件が大幅に引き上げられ、給与支給総額の年平均増加率が22次の2.0%から3.5%に変更されています。事業計画書はA4サイズ10ページ以内の制約があり、この制限内で革新性・実現可能性・収益性を過不足なく伝える構成力が求められるところです。

22次公募の採択率は約40%台で推移しています。過去の傾向を見ると、初回応募よりも不採択後に計画をブラッシュアップして再応募した企業の採択率が高い傾向にあり、補助金の採択事例も参考にしながら計画を練り直す価値は十分にあるでしょう。

統合後の「新事業進出・ものづくり補助金」

3つの申請枠と制度変更のポイント

補助率上限額の目安
革新的新製品・サービス枠1/2(小規模・再生は2/3)5人以下750万円〜51人以上2,500万円
新事業進出枠1/220人以下2,500万円〜101人以上7,000万円
グローバル枠2/3従業員規模により最大9,000万円

新事業進出枠は従来の「新事業進出補助金」に該当する枠で、既存事業とは異なる新たな事業への進出を支援するものです。上限額が最大7,000万円と、ものづくり補助金の従来枠より高く設定されている点が大きな特徴でしょう。

大幅賃上げ特例として、従業員1人あたりの給与が年平均6%以上増加する計画を立てると、最大500〜2,000万円の上乗せが可能になります。

統合による主な変更点を整理すると、審査基準の一本化が挙げられます。従来はものづくり補助金と新事業進出補助金で別々だった審査体系が統一されるため、申請者にとっては比較検討がしやすくなる見込みです。また、新事業進出枠では口頭審査が引き続き実施される方向で、書面だけでは測れない経営者の事業への理解度や実行力を評価する仕組みが維持されます。

約6,000件の採択を予定

統合後は3回程度の公募が予定されており、約6,000件程度の採択を見込んでいます。公募要領の公開は令和8年6月予定。現行のものづくり補助金(22次・23次)に間に合わない場合は、統合後の公募を待つことも選択肢です。

新事業進出補助金(第4回公募: 統合前最後)

現行制度の活用

統合前の最後の公募(第4回)は令和8年5月19日〜6月19日の応募期間です。統合後の「新事業進出・ものづくり補助金」の公募開始(8月見込み)を待てない場合は、こちらの活用を検討してください。

補助額は従業員数に応じて最大2,500万円〜7,000万円(補助率1/2)。最低賃金引上げ特例で補助率が2/3に引き上げられます。

第4回の変更点として、賃上げ要件が「1人当たりの給与支給総額」で確認する形に改められました。オンラインでの口頭審査が実施され、経営者自身が事業内容を説明する場が設けられます。補助金の申請書類の準備は早めに取りかかることが重要です。

事業計画書の書き方 ── 審査員に伝わる構成と記載例

計画書の基本構成

事業計画書の書き方の詳細はリンク先で解説していますが、ものづくり補助金・新事業進出補助金に特有のポイントを補足します。

A4サイズ10ページ以内という制約の中で、審査項目に対応した構成を組み立てなければなりません。推奨される構成を示します。

  • 1〜2ページ目: 会社概要と事業の背景(業界動向・自社の課題)
  • 3〜4ページ目: 補助事業の内容(何を開発・導入するか、技術的な革新性)
  • 5〜6ページ目: 事業の実施体制とスケジュール
  • 7〜8ページ目: 市場分析・販路計画・収益見通し
  • 9〜10ページ目: 賃上げ計画と付加価値額の算定根拠

革新性をどう伝えるか ── 審査員の視点

革新性の説明が最も重視される審査項目です。「自社にとって新しい」だけでは不十分で、「業界においてどのような点が革新的か」を具体的に示してください。既存の製品・サービスとの違い、技術的な優位性、顧客にとっての価値を明確に記載する必要があります。

記載のコツとして、比較表を使う方法が効果的です。「従来品と開発品の性能比較」「競合製品との差別化ポイント」を表形式で示すと、審査員が短時間で革新性を把握できます。

具体的な記載例をひとつ挙げると、「従来の溶接工程は熟練工の感覚に依存しており品質のばらつきが課題だった。本事業ではAI画像解析を活用したリアルタイム溶接品質管理システムを導入し、不良率を現状の5.2%から1.0%以下に低減する」といった形で、数値と技術的手段を組み合わせて記述するのが望ましいでしょう。

定量データの盛り込み方

売上・利益の推移、市場規模、ターゲット顧客数、受注見込みなど、計画の根拠となる数字を盛り込みます。公的統計(経済産業省の工業統計、中小企業白書等)からデータを引用すると説得力が増します。

付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均3%以上の増加は必須要件なので、3〜5年間の数値計画を表形式で明示してください。数字の根拠が曖昧だと「絵に描いた餅」と判断されるため、受注先の見込み客リストや市場調査データで裏付けをとることが大切です。

口頭審査 ── よくある質問と回答のポイント

新事業進出補助金(および統合後の新事業進出枠)ではオンラインでの口頭審査が実施されます。審査時間は10〜15分程度で、経営者自身が対応する必要があります。代理人や外部コンサルタントによる代理回答は認められません。

よく聞かれる質問のパターンを整理しました。

  • 「なぜ今このタイミングで新事業に進出するのか」 → 市場環境の変化や自社の経営課題と結びつけて説明する
  • 「既存事業とのシナジーはあるか」 → 技術・顧客基盤・販路のいずれかで接点を示す
  • 「3.5%の賃上げ原資をどう確保するか」 → 生産性向上による利益増加の具体的な計算根拠を用意する
  • 「事業が計画どおりに進まなかった場合のリスク対策は」 → 段階的な投資計画やピボットの選択肢に触れる

口頭審査で評価されるポイント

事業計画書の内容を丸暗記するのではなく、事業への理解度と実現への熱意を自分の言葉で伝えることが評価につながります。審査員は「この経営者なら本当に実行できるか」を見ているため、現場の実情を踏まえた具体的なエピソードを交えると説得力が格段に高まります。

回答は簡潔に、結論から述べるのが鉄則です。「〇〇です。理由は△△だからです」という構成を心がけてください。質問の意図がわからない場合は「確認ですが、〇〇についてのご質問でしょうか」と聞き返しても問題ありません。

認定経営革新等支援機関の確認書

申請には認定経営革新等支援機関の確認書が必要です。顧問税理士が認定支援機関であれば追加費用なく対応できる場合があります。認定支援機関は中小企業庁のサイトで検索可能です。

まとめ

ものづくり補助金 2026年度のポイント

  • 2026年度から新事業進出補助金と統合し「新事業進出・ものづくり補助金」に。公募は8月見込み
  • 3つの枠: 革新的新製品(最大2,500万円)、新事業進出(最大7,000万円)、グローバル(最大9,000万円)
  • 賃上げ要件が3.5%以上に引上げ。大幅賃上げ特例(6%以上)で最大2,000万円上乗せ
  • 口頭審査が重視。経営者自身が事業の革新性と収益見通しを語れることが採択の鍵
  • 統合前のものづくり補助金(22次・23次)と新事業進出補助金(第4回、5月〜6月)も並行実施

補助金の申請手続きや事業計画の策定について具体的なご相談がある方は、無料相談からお問い合わせください。

よくある質問

Q. ものづくり補助金は2026年度からなくなりますか?
A. なくなるわけではなく、新事業進出補助金と統合されて「新事業進出・ものづくり補助金」になります。公募要領は令和8年6月公開予定、公募開始は8月見込みです。統合前の22次・23次公募(現行のものづくり補助金)も並行して実施されています。
Q. 新事業進出枠とは何ですか?
A. 既存事業とは異なる新たな事業への進出を支援する枠です。従業員数に応じて最大7,000万円の補助(補助率1/2)を受けられます。統合後は「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つの枠から選択します。
Q. 口頭審査とは何ですか?
A. 新事業進出補助金では、書面審査に加えてオンラインでの口頭審査が実施されます。経営者自身が事業内容を説明し、審査員の質問に回答する場です。「なぜこの事業なのか」「どう賃上げ原資を稼ぐのか」を自分の言葉で語れることが重要です。
Q. 賃上げ要件はどのくらいですか?
A. 22次公募では給与支給総額の年平均2.0%以上増加が要件でしたが、23次公募から年平均3.5%以上に引き上げられました。大幅賃上げ特例(年平均6%以上)を満たすと、補助上限額が最大2,000万円上乗せされます。

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