財務改善ナビ
補助金・助成金

キャリアアップ助成金の申請手順|正社員化コースを中心に

キャリアアップ助成金の正社員化コースを中心に、申請要件・手続きの流れ・支給額を解説。有期雇用から正社員への転換を検討する中小企業の経営者・人事担当者に向けた実務ガイドです。

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者の待遇改善を行った事業主に対して支給される厚生労働省所管の助成金です。雇用保険法に基づく雇用安定事業の一環として位置づけられており、非正規労働者のキャリアアップを促進する目的で運用されています。複数のコースが設けられていますが、特に活用頻度が高いのが「正社員化コース」です。本記事では、正社員化コースを中心に、キャリアアップ助成金の申請手順と実務上の注意点を解説します。

キャリアアップ助成金の概要とコース一覧

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進することを目的とした制度です。事業主が対象労働者に対して一定の処遇改善を行った場合に助成金が支給されます。

主なコース

キャリアアップ助成金には以下のようなコースがあります。

  • 正社員化コース:有期雇用労働者等を正社員に転換または直接雇用した場合
  • 賃金規定等改定コース:有期雇用労働者等の基本給を一定以上引き上げた場合
  • 賃金規定等共通化コース:正社員と共通の職務に応じた賃金規定を新たに適用した場合
  • 賞与・退職金制度導入コース:有期雇用労働者等に賞与・退職金制度を新たに設けて適用した場合
  • 社会保険適用時処遇改善コース:社会保険の適用拡大に伴い処遇改善を行った場合

本記事では、最も利用実績が多く、支給額も大きい正社員化コースに焦点を当てて解説します。

正社員化コースの支給額

正社員化コースでは、有期雇用労働者を正社員に転換した場合、中小企業で1人あたり80万円が支給されます。この金額は2期に分けて支給され、1期目(転換後6か月経過時)に40万円、2期目(転換後12か月経過時)に40万円が支給される仕組みです。

無期雇用労働者から正社員への転換の場合は、支給額が異なるため、公募要領で最新の金額を確認してください。

正社員化コースの申請要件

正社員化コースの助成金を受給するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。要件を一つでも満たさない場合は不支給となるため、申請前に十分な確認が必要です。

事業主に関する要件

  • 雇用保険の適用事業所であること
  • キャリアアップ管理者を配置していること
  • キャリアアップ計画書を作成し、管轄の労働局長の認定を受けていること
  • 転換した労働者を転換後6か月以上継続して雇用していること
  • 転換後6か月間の賃金を転換前6か月間と比較して3%以上増額していること

対象労働者に関する要件

  • 転換日の前日から起算して6か月以上の期間、当該事業主に雇用されている有期雇用労働者または無期雇用労働者であること
  • 正社員として雇用することを前提に雇い入れた労働者でないこと
  • 事業主の3親等以内の親族でないこと
  • 転換日前日から過去3年以内に、当該事業所で正社員として雇用されていないこと

正社員の定義

助成金における正社員とは、同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用される労働者であり、賞与または退職金制度の対象で、昇給が適用されている者を指します。就業規則や労働契約書に正社員としての処遇が明記されていることが重要です。

申請手続きの流れ

キャリアアップ助成金の申請手続きは、計画書の提出から支給申請まで複数のステップがあります。順序を間違えると助成金を受けられなくなるため、流れを正確に把握してください。

ステップ1:キャリアアップ計画書の作成・提出

まず、キャリアアップ計画書を作成し、管轄のハローワークまたは労働局に提出して認定を受けます。この計画書には、対象者の範囲、キャリアアップの目標、実施期間(3年以上5年以内)、具体的な取り組み内容を記載します。計画認定は正社員転換を実施する前に完了させる必要があります。

ステップ2:就業規則の整備

転換制度を就業規則または労働協約に規定する必要があります。具体的には、有期雇用労働者等を正社員に転換する制度が就業規則に明記されており、その規定に基づいて転換が行われたことが確認できる状態にしておきます。常時10人以上の労働者を使用する事業所は、変更後の就業規則を労働基準監督署に届け出なければなりません(労働基準法第89条)。

ステップ3:正社員への転換の実施

就業規則に定めた転換制度に基づき、対象労働者を正社員に転換します。転換日以降6か月間は正社員としての賃金を支払い、3%以上の賃金増額要件を満たす必要があります。

ステップ4:支給申請

転換後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請を行います。必要書類は、支給申請書、転換前後の雇用契約書、賃金台帳、出勤簿、就業規則の写しなどです。申請期限を過ぎると受給できなくなるため、期限管理を徹底してください。

まとめ

キャリアアップ助成金の正社員化コースを活用するにあたっては、次の3つのポイントが重要です。

  • キャリアアップ計画書の事前提出が必須:正社員転換を実施する前に計画書の認定を受けておかないと、助成金の対象外となる
  • 就業規則への転換制度の明記が前提条件:制度として整備されていないと申請できないため、就業規則の確認・改定を早期に行う
  • 賃金3%以上の増額と申請期限の管理を徹底する:賃金要件の未達や申請期限の超過は不支給の主な原因であり、労務管理体制の整備が求められる

よくある質問

Q. キャリアアップ助成金の正社員化コースではいくら支給されますか?
A. 有期雇用労働者を正社員に転換した場合、中小企業では1人あたり80万円(2期に分けて支給)が支給されます。大企業では60万円です。有期雇用から無期雇用への転換の場合は金額が異なります。
Q. パートやアルバイトでも正社員化コースの対象になりますか?
A. はい、パート・アルバイトなどの有期雇用労働者や無期雇用労働者を正社員に転換する場合が対象です。ただし、転換前に6か月以上の雇用実績があることや、転換後に賃金を一定以上引き上げることなどの要件を満たす必要があります。
Q. キャリアアップ計画書はいつ提出する必要がありますか?
A. 正社員への転換を実施する前に、管轄の労働局にキャリアアップ計画書を提出し、認定を受ける必要があります。事前の計画認定が必須であるため、転換を予定している場合は余裕を持って手続きを進めてください。
Q. 他の助成金と併給できますか?
A. 原則として、同一の労働者に対して同一の取り組みで複数の助成金を受けることはできません。ただし、対象となる取り組み内容が異なる場合は併給可能なケースもあるため、管轄の労働局に確認することをおすすめします。

関連記事

財務のお悩み、まずは無料相談から

未収金処理・BS改善・事業再生について、専門家が無料でご相談に応じます。

無料相談はこちら
無料相談はこちら