サービサー — 債権回収を専門に行う許可制の事業者
サービサーとは、サービサー法に基づき法務大臣の許可を受けて債権管理回収業を営む事業者です。許可要件や業務範囲、未収金買取との関係を解説します。
サービサーとは、特定金銭債権の管理・回収を業として行う民間の専門事業者です。「債権管理回収業に関する特別措置法」(サービサー法)に基づき、法務大臣の許可を受けた法人のみが営むことができます。
サービサーとは
サービサー法は1999年(平成11年)2月に施行されました。それ以前、債権回収を業として行えるのは弁護士に限られていましたが、不良債権処理を加速させる目的でこの法律が制定され、一定の要件を満たす株式会社にも債権回収業務が認められるようになりました。
サービサー法の正式名称は「債権管理回収業に関する特別措置法」(平成10年法律第126号)です。この法律は弁護士法第72条の特例として位置づけられており、許可を受けたサービサーは法律事務である債権回収を適法に行うことができます。
取扱いが認められる債権は「特定金銭債権」と呼ばれ、金融機関の貸付債権やリース債権、クレジット債権などが該当します。一般の売掛金や個人間の貸付債権は原則として対象外となるため、注意が必要です。
許可要件と業務範囲
サービサーとして許可を受けるには、以下の主な要件を満たす必要があります。
- 資本金が5億円以上の株式会社であること
- 常務に従事する取締役に弁護士が1名以上含まれること
- 暴力団員等の関与がないこと
- 法務大臣の許可を受けていること
許可を受けたサービサーは、債権者から委託を受けて回収を代行する「受託回収」と、債権そのものを買い取って自ら回収する「買取回収」の両方を行うことができます。法務省の公表によれば、2025年時点で許可を受けているサービサーは70社程度です。
業務の適正を確保するため、サービサー法では債務者への威迫行為の禁止や、取立てに際しての規制が設けられています。法務省による立入検査の対象にもなっており、違反があれば許可の取消しや業務停止命令が下されることがあります。
実務上のポイント
企業の財務改善においてサービサーが関わる場面は、主に不良債権の処理です。金融機関が回収困難と判断した債権をサービサーに売却することで、金融機関はバランスシートから不良債権を切り離せます。一方、債務者にとっては、サービサーとの交渉を通じて債務の圧縮が実現する可能性があります。
未収金の買取価格は、元本に対して大幅に割り引かれるのが一般的です。債権の回収可能性や担保の有無、債務者の資力などを総合的に評価して価格が決まります。そのため、債務者がサービサーと直接交渉することで、元の債務額より低い金額で一括弁済に応じてもらえるケースもあります。
ただし、サービサーは営利企業であるため、採算の見込める債権でなければ買取りに応じません。また、サービサーとの交渉にあたっては弁護士や認定支援機関などの専門家を介することが望ましいです。
関連する用語との違い
| 項目 | サービサー | 債権回収会社(無許可) |
|---|---|---|
| 法的根拠 | サービサー法に基づく許可制 | 許可なしでの回収業は弁護士法違反 |
| 取扱債権 | 特定金銭債権に限定 | 該当なし |
| 監督官庁 | 法務省 | 該当なし |
| 資本金要件 | 5億円以上 | 要件なし |
サービサーと混同されやすい概念として「ファクタリング会社」があります。ファクタリングは正常な売掛債権を買い取るサービスであり、サービサーが扱う不良債権・延滞債権の買取回収とは性質が異なります。
まとめ
サービサーは、サービサー法に基づき法務大臣の許可を受けた債権回収の専門事業者です。不良債権処理の促進を目的として制度化されており、金融機関の不良債権売却や債務者の債務圧縮に関わる重要な存在です。サービサーとの取引を検討する際は、許可の有無を法務省のウェブサイトで確認し、専門家の助言を得たうえで進めることが大切です。